ニュース
嚥下機能(飲み込む力)の低下は、食品が気管に入って肺炎を起こす誤嚥性肺炎のリスクが上がることに加えて、食べる気力が低下して慢性的な栄養不足になることもあります。 そこで林兼産業は、少量でエネルギーやタンパク質が摂取できる「スティックゼリー」を開発。嚥下機能が落ちた高齢者でも飲み込みやすく誤嚥しにくい形状なので、誤嚥性肺炎のリスクを下げられるそうです。 ゼリーで手軽に栄養補給 ハムやソーセージなどの食品の製造をおこなっている林兼産業が「スティックゼリー」を開発。少量で栄養が補給できるため注目されています。 このゼリーの特徴は、1本で80キロカロリーを摂取できること。また、スティック状に個包装されており、スプーンで一口サイズにも切りやすい形をしています。 これまでのカップゼリーはスプーンですくうと山型になるため、嚥下機能の落ちた人ののどには通りづらく、くずれて口の中に残ることでかけらが誤嚥性肺炎の原因になりかねないことが問題でした。 そこで、このゼリーでは薄い短冊形にすることで噛まずに丸のみできるため、口の中やのどの奥にゼリーのかけらが残ったりむせこみの防止をしています。 また、嚥下機能が落ちてくると食事に時間がかかるため、それが精神的な負担となったり食事量の減少にもつながることも。さらに、それが原因で低栄養状態となって、身体状況が悪くなり介護度が上がることもあります。 そうした問題をこのゼリーでは、少量でも栄養を取れるようにすることで解決。1本約15グラムでしっかりカロリーを摂取できるタイプや、1本でタンパク質を2.5グラム含むタイプ、1本で1日必要量の30%以上のビタミンやミネラルが摂取できるタイプなど、食事量が少ない人の補助食として活用できます。 介助する人・される人の負担軽減に 嚥下機能が落ちると食事に時間がかかるようになることで、食欲が落ちたり食事量が減ることも。さらに、食事介助が必要な場合は職員の業務負担が大きくなります。 そこでこのゼリーのように、少量でもしっかりと栄養を補給できる食品があれば、介助される人の心身の負担も介助する人の業務の負担も減るのではないでしょうか。 またこのゼリーはスティック状に個包装されているので保存もしやすく、食事量が足りない日のおやつとしても使いやすいかもしれませんね。
2022/04/14
新型コロナウイルスの感染が長期化するなかで、身体の不調を感じている人もいるのではないでしょうか。 感染予防のために外出や人との交流を控えることで運動する機会が減り、「長時間テレビの前で座りっぱなし」という人もいるかもしれませんね。 そうした状況を受けて、大阪市立大学はコロナ前後の検査データなどをもとにコロナ禍の体調への影響を調べました。 その結果、コロナ禍では脂肪肝を発症した人が増えたことがわかりました。 より危険な脂肪肝が増えている? 大阪市立大学は、同大学付属病院の患者のデータを解析して、コロナ禍がどのように患者の健康に影響しているのかを調査しました。 まず研究グループは、健康診断を受けた人のデータを解析。その結果、「代謝異常関連脂肪肝」の患者が増えていることがわかりました。 この病気は、代謝が異常な状態にある人の脂肪肝のこと。食べすぎや運動不足などの不摂生だけでなく、糖尿病や肥満などの代謝が落ちていることも原因になっている脂肪肝を表します。 この代謝異常関連脂肪肝は、通常の脂肪肝よりも肝硬変や肝がんに進行するケースも多いため「危ない脂肪肝」とも呼ばれているそうです。 また研究グループの追加の調査では、この脂肪肝の原因となった生活習慣が判明しました。 それは、夜食と飲酒。特にコロナ前では夜食がリスクを高めて、コロナ禍では飲酒がこの脂肪肝の発症リスク増加に関係していたそうです。 太ることと筋肉減少の最悪な組み合わせ コロナ禍で外出自粛が長引くと「どこも出かけられないし、テレビでも見ようかな」と何時間も座ったままになってしまうこともあるのではないでしょうか。 しかも、「テレビのお供におやつを食べていたら、お腹周りが気になるようになった」という人もいるかもしれませんね。 こうしたときに注意したいのは、「太った」というだけでなく「筋肉も落ちているかもしれない」ということ。外出が減った分だけ運動量も減っている可能性があるため、太りやすく筋肉が落ちやすい状況になっているのです。 そうなると、生活習慣病はもちろんのことフレイルや介護状態になるリスクが上がってしまいます。 そのため、たまには立ち上がって家の周りを散歩してみたりと、簡単な運動から取り入れてみると良いかもしれないですね。
2022/04/08
コロナ禍が長期化しているなか、人との交流や運動する機会が減っている人が増えています。 特に高齢者の場合、さまざまな活動が減ることによってフレイルや認知症のリスクが上がる可能性も…。 そこで神戸大学とMoff社は、オンラインで認知症予防・健康増進できるプログラムを開発。今回、JA共済と協力することで認知症共済の契約をしている人向けのサービスの優待提供を開始しました。 神戸大学の認知症予防レッスンを自宅で JA共済は、組合員らの健康増進を支援する「げんきなカラダプロジェクト」にて、認知症共済の契約者向けに「eコグニケア powered by Moff」の優待提供を開始することを発表しました。 「eコグニケア powered by Moff」とは、神戸大学とオンラインでシニア向けサービスを提供するMoff社が協力して開発したプログラムです。 このプログラムでは、認知症やフレイル予防に有効な運動や筋トレなどのレッスンをオンライン上で提供。1回40~70分で週1回から参加できます。 加えて、認知症や健康についての神戸大学の専門家によるオンラインセミナーも開催。実際に身体を動かすだけでなく、知識も身に着けられるそうです。 また、JA共済の「げんきなカラダプロジェクト」は、組合員や利用者などの健康をサポートする取り組み。健康増進のための情報を発信したり、ヘルスケアサービスと連携して利用者の健康維持の支援をおこなっています。 身体と脳の健康を気にする時代に? 最近は健康ブームだけあって、フィットネスジムのレッスンや食事管理サポートなど、健康を維持するためのサービスが数多く登場しています。 これまでは運動や食事などの身体の健康に関するものが多い傾向でしたが、高齢化に伴って認知症予防もできるサービスも登場している様子。身体だけではなく脳の健康に気を付ける人が増えたのかもしれませんね。 またコロナ禍のため、オンラインでのサービスが増えています。感染予防にもなりますし、何より家に居ながらにしてレッスンを受けられるのは助かりますよね。 コロナ禍はもうしばらく続きそうなので、こうしたサービスを活用しながら自分のペースでフレイル・認知症予防を続けていけると良いですね。
2022/04/06
「食欲がないから朝食はいらない」と毎日の朝食を食べずに済ませてしまう人もいるかもしれません。 よく知られているとおり、朝食を抜くことの健康への悪影響は大きいもの。その具体的なものについて名古屋大学が調査しました。 その結果、朝食を抜くことで筋力低下を引き起こし、それによって高齢者は糖尿病やフレイル、要介護リスクを高める原因になりかねないそうです。 朝食がフレイル・メタボ・糖尿病を予防 名古屋大学が、習慣的に朝食を摂らない「朝食欠食」の健康への影響についての研究結果を公表しました。 今回の研究では、朝食を抜いたマウスの身体状況を調査。その結果、マウスの脂肪組織の重量が増加して体重が増え、筋肉の重量が低下することも判明しました。 こうしたことが起こったのは、体温や脂肪組織などに関係している体内時計に異常が出たためと考えられるそうです。 今回の結果から、朝食を摂って体内時計を正常に保ち筋肉を維持することが太りにくい体質を作りメタボを予防すると言えるそうです。 さらに、筋肉の低下によってインスリンが効きにくくなることがあるため糖尿病予防にも効果があるそう。そして、身体機能が低下するフレイルの予防にもつながると研究チームは述べています。 簡単なものでも朝食を食べる習慣を 筋肉の減少は高齢者にとって深刻な問題です。 なぜなら、筋肉が減少することで身体機能が落ちてフレイル状態となり、それが悪化すると要介護状態になりかねないから。朝食を抜くことが要介護状態を招くことになるかもしれません。 もし「朝は食事の準備をするのが面倒」という場合は、手軽に食べられるものを決めておくと良いのではないでしょうか。 例えば、「ごはんと納豆」「パンと目玉焼き」といった筋肉の材料となるタンパク質が含まれた食事にすると、よりフレイル予防につながるでしょう。 年を重ねると若い世代よりも筋肉の維持が大切になるため、少しずつフレイル予防をしていきましょう。
2022/04/04
「買い物難民」という言葉を知っていますか? これは自宅の近くに食料品店などが無く、日々の買い物が難しい状況の人のことを表した言葉です。 そして、買い物難民の多くは高齢者。というのも、高齢になって運転免許を返納して移動手段がなくなったり、身体機能の衰えから商品を家に持ち帰るのが難しくなることで、買い物難民になっていることが少なくないからです。 そうした状況を受けて、スーパーのカスミが千葉県八千代市内で移動販売を開始。市内の約30ヵ所を日替わりで巡り、食料品や日用品を販売するそうです。 スーパーが家の近くまでやってくる? 関東を中心に展開するスーパー「カスミ」が、八千代市内で移動販売を開始しました。 この移動販売は、毎週月~金曜日の間に日替わりで市内の約30ヵ所を巡回。1日で7~8ヵ所を回って販売をおこないます。 また取り扱う商品は、お弁当などの惣菜類から野菜や魚などの生鮮食品まで、購入頻度の高いものを中心に約650品目を販売するそうです。 加えて、商品のリクエストも可能。週に1度同じ場所で販売するため、要望を伝えれば次の週に持ってくることもできます。 ちなみに、この移動販売には、買い物だけではなく”高齢者を見守る”役割も担っています。 例えば同じ地域を巡回することで、買い物時の会話を通して高齢者の状況を把握したり、いつも買い物に来ている人が来ないなどの異常がないかを確認もおこなえるそうです。 問題は「買い物に困る」だけではない? 買い物難民問題は、単に買い物ができないだけではなく、高齢者の外出する機会が減ることで社会的なつながりが薄くなることも危惧されています。 さらに、高齢者は体力が低下して買い物をするだけで疲れてしまうため、簡単に食べられる物で済ませてしまって栄養が偏ってしまう問題もあります。 そうしたことが原因で、うつ病や身体機能低下、さらには要介護状態になる危険性も…。 それを避けるために、全国の自治体で今回のような移動販売や「コミュニティ交通」の整備などの取り組みがおこなわれています。 「コミュニティ交通」については、こちらの記事で紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-7038/ こうした取り組みがされているのは、まだごく一部の地域。買い物難民は誰しもなり得るものなので、さらに取り組みが拡大すると地域が便利になっていきそうですね。
2022/04/01
身体機能の低下を防ぐために、デイサービスに通ってリハビリをおこなっている人も多いことでしょう。 全国にはさまざまなデイサービスがあるなかで、青森県八戸市にショッピングモールで買い物をするリハビリ型デイサービス「ホップステップサンテ」がオープンします。 このデイサービスでは、脳トレやストレッチなどと合わせて職員付き添いの買い物サービスも実施。身体機能と認知機能の維持によって、介護予防を目指すそうです。 買い物がリハビリになる? 八戸市に少し変わったサービスを提供するデイサービスが登場します。 その名前は「ホップステップサンテ」。ショッピングモール「ラピア」の1階にあるリハビリ型デイサービスです。 このデイサービスの特徴は、買い物をしながらリハビリをすること。買い物リハビリ型デイサービスは青森県内では初めての試みだそうです。 ここでは1日2時間のサービスを提供しており、はじめの1時間は脳トレやストレッチ、筋力トレーニングなどを実施。残りの1時間はショッピングモールで買い物をします。 買い物をするときは、スマホを付けてオンラインでつないだり職員が付き添ってショッピングも可能です。 このデイサービスが入るショッピングモールは、食料品のほかファッションや生活雑貨を扱う専門店が軒を連ねる店舗。さまざまなお店を見て回ったり何を買おうか考えることで、認知機能の活性化にもつながるそうです。 また、このデイサービスでは公共交通機関を使って来所し、帰宅は買い物の荷物があるため車で送ってもらうスタイル。できるだけ自分の力で外出することを促しています。 不安なくショッピングを楽しめる 日常生活にそこまで不安がなくても、買い物をしたりショッピングモールの中を見て回るのは不安がある人もいるかもしれません。そういう人も、職員に付き添ってもらえると安心ですね。 また、こういったリハビリに特化したデイサービスは、「普通のデイサービスだと介護度が高い人が多くて利用するのに抵抗があるけど、身体を動かすために何かしたい」という人に良いのではないでしょうか。 全国的にデイサービスの種類が増えてくれば、選択肢が増えて自分に合ったサービスを選びやすくなるかもしれないですね。
2022/03/31
外部の人とコミュニケーションを取らない「社会的孤立」による健康への悪影響が問題になっています。 それを受けて、東京都健康長寿医療センターが社会的孤立と健康の関係を調査しました。 それによると、若い世代から高齢世代のどの世代も社会的孤立が健康に悪影響が出ていることがわかりました。 やはり孤立は健康に悪影響が… 東京都健康長寿医療センターの研究チームは、長引くコロナ禍の影響で社会的孤立が健康に悪影響が出ていることをふまえて、調査をおこないました。 これまでも社会的孤立についての研究があったものの、年齢別に健康への影響を調査したものはほとんどなかったそうです。 そのため今回の研究では、社会的孤立が与える健康への影響はある世代に特徴的なものなのか、全世代共通しているものなのかということに着目。首都圏に暮らす25~84歳の人を高齢世代(65~84歳)、中年世代(50~64歳)、青壮年世代(25~49歳)の3つの世代に分けて比較をしています。 さらに、社会的な接触の状況ごとに「対面接触がある」「非対面接触」「社会的接触なし」の3グループに区別。そして「精神的健康」「主観的健康」をアンケート調査することで、対象者の健康状態を測定しました。 その結果、高齢世代では「接触なし」の人に比べて、精神的健康の低下リスクが「対面接触がある」は45%、「非対面接触」は27%まで減少していることがわかりました。 さらに、主観的な健康低下リスクについては、「非対面接触」は53%、「対面接触がある」は64%減少していました。 こうした結果は他の世代も同様で、社会的孤立が精神的健康や主観的健康に悪影響があることがわかっています。 加えて、非対面であっても社会的接触がある人の方が、まったく接触のない人よりも健康低下リスクが低いことも全世代共通です。 そのため、研究チームはコロナ後も外出が困難になることを想定して、高齢者もZoomやLINEなどのオンラインのツールを活用することを推奨しています。 シニアだからこそスマホを使いこなして コロナ禍で人との交流が減り、「なんとなく気持ちが落ち込む」といった人もいるのではないでしょうか。 そこで、感染予防に配慮して対面で話をしたり、スマホやタブレットを使った会議ツールで話ができると、少しは気持ちが楽になるのかもしれませんね。 ただ、まだオンラインツールに抵抗があるシニアが多いことも事実。しかし、シニアはコロナ収束後、身体機能が落ちて外出が難しくなることも考えられるので、早めに覚えた方がいいかもしれません。 家族に教えてもらったり、「スマホ教室」に通ったりして使い方を覚えていきましょう。
2022/03/31
コロナ禍で食生活が乱れたり運動する機会が減って、自分の健康について見直したいと感じている人もいるかもしれません。 特に年齢を重ねると、高血圧や糖尿病といった生活習慣病や認知症といったさまざまな病気への不安がつきまとうもの。しかし、改めて対策をしたいと考えても何から手を付けて良いのかわからないこともありますよね。 そこで、東京都では「Tokyoヘルスケアサポーター養成講座」を開催。無料の動画で医師や栄養士などの専門家が、健康づくりについてイチから説明しています。 動画で健康づくりを学ぶ 今月28日から、東京都は「Tokyoヘルスケアサポーター養成講座」を開催しています。 これは、無料の動画で専門の医療従事者が健康についてイチから解説しているもの。7つの講座をすべて受講し、アンケートに答えると「Tokyoヘルスケアサポーター」としてのデジタル終了証が交付されます。 このTokyoヘルスケアサポーターとは、自分の健康づくりに積極的に取り組む人や周囲の人の健康づくりに貢献したいと考えている人のこと。配信されている動画を視聴することで、健康に関する基本的な知識や予防法を学び、サポーターを育成する取り組みです。 今回の講座では、生活習慣病や認知症、フレイルなどについて取り上げています。 例えば、生活習慣が悪くなるとどんな病気を引き起こすのか、薬の管理方法なども解説。また、簡単にできる「フレイルチェック」も紹介しており、今の自分の状況を把握して自宅でできるフレイル予防についても動画付きで説明しています。 これらの講座は1本10〜20分ほど。パソコンやスマホ、タブレットからアクセス可能で何度でも視聴できるようになっています。 「今さら聞けない」ことも基礎から学べる 年齢を重ねるとさまざまな病気や健康づくりについて気になるものですが、なかなかきちんと学ぶ機会は少ないですよね。 今回の講座では「今さら聞けない」と思うような基本から解説しているので、学び始めるのにぴったりの内容です。 スマホからも視聴できて無料のものなので、これを活用して健康づくりを始めてみてはどうでしょうか。
2022/03/30
今月23日、新型コロナウイルスの専門家組織による提言が出されました。 その内容は、コロナ禍での高齢者医療のあり方について。オミクロン株の感染では、新型コロナの症状自体よりも、入院したことで身体機能の低下が激しく元の生活に復帰するのが難しい高齢患者が多いことが問題としています。 そのため、高齢者が感染した場合は「原則入院」としていたものを見直し、軽症の場合は高齢者であっても自宅や介護施設での療養も選択できる体制を整えることなどが盛り込まれています。 高齢者の「原則入院」を見直し 今月23日、新型コロナの専門家組織が高齢者の療養についての提言を提出しました。 これは、高齢者が新型コロナに感染した場合「原則入院」とされている現在の方針を見直して、本人や家族の意志を尊重した治療をできる体制を整えるべきという内容です。 こうした提言が出された背景には、第6波が第5波以前の感染状況とまったく異なっていることがあります。 現在の第6派で主流となっているオミクロン株は、これまでの変異株よりも重症化リスクが低く、新型コロナの症状そのものよりも誤嚥性肺炎の併発や、感染をきっかけとした持病の悪化が問題になっています。 さらに、高齢者は数日の入院であっても身体機能が低下してしまうこともありますが、隔離中のためリハビリが実施できない状況があります。そのため、治療が終わったあとに自宅や施設などの元の環境に戻りにくい例もしばしばみられているそうです。 そうした状況を受けて、「軽症であればなるべく住み慣れた場所での療養を継続することが望ましい」と提言。高齢者はすべて入院するのではなく、自宅や施設での療養ができるように医療体制を整える必要があるとしています。 治療後の身体状況の悪化が問題に 今回の提言は、オミクロン株の特性をふまえて新型コロナの症状そのものよりも、治療後の身体状況や生活の質に焦点を当てた内容になっています。 「できれば入院せずに今いる環境で療養したい」と考える高齢者も多いのかもしれませんが、問題はそれを実現できる体制がないことです。 もし、自宅療養をすることになれば同居する家族へ感染を拡大させてしまう可能性もありますし、施設療養も他の入居者や職員を感染させてしまうリスクがつきまといます。 医療現場のひっ迫が問題となっている今、在宅医療や介護施設への支援をどのように充実させていくかをさらに検討していく必要がありそうです
2022/03/29
単身世帯の増加やコロナ禍の長期化によって、誰かと一緒に食事をする「共食」の重要性が改めて注目されています。 この共食について、東北大学が調査を実施。その結果、共食の頻度が低い高齢者は体重が減少するリスクが高いことがわかりました。 体重減少は高齢者の栄養状態の悪化の指標とされており、要介護状態になったり死亡するリスクとの関連もあるとされています。 1人で食事すると体重が減少? 東北大学が「共食」と高齢者の体重減少についての研究結果を発表。それによると、共食がほとんどない高齢者は、体重減少のリスクが高いということがわかったそうです。 この研究は、要介護認定を受けていない約5万7000人の65歳以上の高齢者を対象に実施。2016年から3年間にわたって追跡調査がおこなわれました。 そしてこの研究では、対象者の共食の頻度と3年間に体重の5%以上の減少があったかどうかを調査しています。 「5%以上の体重減少」は、高齢者の栄養状態の悪化の指標のひとつ。体重が5%以上減少すると、死亡リスクが上がるという研究結果が報告されています。 加えて、意図していない体重の減少は、フレイル(虚弱)の特徴でもあります。フレイルは要介護状態の前段階であり、対策をしないと生活に介助が必要になってしまうとされています。 今回の研究では、共食の頻度によって「毎日」「週に何度か」「月に何度か」「年に何度か」「ほとんどない」の5グループに対象者を分けて分析しました。 その結果、対象者のうち5%以上の体重減少があったのは約15%。共食の頻度が「毎日」の人と比べて、「年に何回か」の人は1.07倍、「ほとんどない」は1.17倍も体重減少のリスクが高くなりました。 この結果から、共食の機会を増やすことが高齢者の健康を維持することにつながる可能性があるとのことです。 当たり前だった共食が介護予防に 「共食」に対して「孤食」という言葉があります。孤食とは1人で食事をすること。このコロナ禍において、孤食が社会問題となっています。 こうした孤食をしている人は、共食の人に比べて栄養に対する関心が薄くなることがわかっています。加えて、摂取カロリーや栄養も減少する傾向があり、身体の栄養状態が悪くなるそうです。 孤食の研究については、こちらの記事で紹介しています。参考にしてみてください。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6997/ そして、孤食によって栄養状態が悪くなると体重減少につながり、体力や身体機能が落ちることも懸念点のひとつ。現在は介護が必要なくても、孤食によって身体機能が落ちて介護リスクが上がるかもしれません。 これまで当たり前だった「誰かと一緒に食事をする」という何気ない習慣が、高齢者の介護予防になる可能性が今注目されています。
2022/03/24
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。