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フレイル予防

フレイル予防 介護機器 嚥下

嚥下機能が落ちた高齢者に「スティックゼリー」。薄型で飲み込みやすく

嚥下機能(飲み込む力)の低下は、食品が気管に入って肺炎を起こす誤嚥性肺炎のリスクが上がることに加えて、食べる気力が低下して慢性的な栄養不足になることもあります。 そこで林兼産業は、少量でエネルギーやタンパク質が摂取できる「スティックゼリー」を開発。嚥下機能が落ちた高齢者でも飲み込みやすく誤嚥しにくい形状なので、誤嚥性肺炎のリスクを下げられるそうです。 ゼリーで手軽に栄養補給 ハムやソーセージなどの食品の製造をおこなっている林兼産業が「スティックゼリー」を開発。少量で栄養が補給できるため注目されています。 このゼリーの特徴は、1本で80キロカロリーを摂取できること。また、スティック状に個包装されており、スプーンで一口サイズにも切りやすい形をしています。 これまでのカップゼリーはスプーンですくうと山型になるため、嚥下機能の落ちた人ののどには通りづらく、くずれて口の中に残ることでかけらが誤嚥性肺炎の原因になりかねないことが問題でした。 そこで、このゼリーでは薄い短冊形にすることで噛まずに丸のみできるため、口の中やのどの奥にゼリーのかけらが残ったりむせこみの防止をしています。 また、嚥下機能が落ちてくると食事に時間がかかるため、それが精神的な負担となったり食事量の減少にもつながることも。さらに、それが原因で低栄養状態となって、身体状況が悪くなり介護度が上がることもあります。 そうした問題をこのゼリーでは、少量でも栄養を取れるようにすることで解決。1本約15グラムでしっかりカロリーを摂取できるタイプや、1本でタンパク質を2.5グラム含むタイプ、1本で1日必要量の30%以上のビタミンやミネラルが摂取できるタイプなど、食事量が少ない人の補助食として活用できます。 介助する人・される人の負担軽減に 嚥下機能が落ちると食事に時間がかかるようになることで、食欲が落ちたり食事量が減ることも。さらに、食事介助が必要な場合は職員の業務負担が大きくなります。 そこでこのゼリーのように、少量でもしっかりと栄養を補給できる食品があれば、介助される人の心身の負担も介助する人の業務の負担も減るのではないでしょうか。 またこのゼリーはスティック状に個包装されているので保存もしやすく、食事量が足りない日のおやつとしても使いやすいかもしれませんね。

2022/04/14

コロナ対策 フレイル予防 糖尿病予防

介護リスクが増えるだけじゃない⁉コロナ禍で増加中の「危ない脂肪肝」

新型コロナウイルスの感染が長期化するなかで、身体の不調を感じている人もいるのではないでしょうか。 感染予防のために外出や人との交流を控えることで運動する機会が減り、「長時間テレビの前で座りっぱなし」という人もいるかもしれませんね。 そうした状況を受けて、大阪市立大学はコロナ前後の検査データなどをもとにコロナ禍の体調への影響を調べました。 その結果、コロナ禍では脂肪肝を発症した人が増えたことがわかりました。 より危険な脂肪肝が増えている? 大阪市立大学は、同大学付属病院の患者のデータを解析して、コロナ禍がどのように患者の健康に影響しているのかを調査しました。 まず研究グループは、健康診断を受けた人のデータを解析。その結果、「代謝異常関連脂肪肝」の患者が増えていることがわかりました。 この病気は、代謝が異常な状態にある人の脂肪肝のこと。食べすぎや運動不足などの不摂生だけでなく、糖尿病や肥満などの代謝が落ちていることも原因になっている脂肪肝を表します。 この代謝異常関連脂肪肝は、通常の脂肪肝よりも肝硬変や肝がんに進行するケースも多いため「危ない脂肪肝」とも呼ばれているそうです。 また研究グループの追加の調査では、この脂肪肝の原因となった生活習慣が判明しました。 それは、夜食と飲酒。特にコロナ前では夜食がリスクを高めて、コロナ禍では飲酒がこの脂肪肝の発症リスク増加に関係していたそうです。 太ることと筋肉減少の最悪な組み合わせ コロナ禍で外出自粛が長引くと「どこも出かけられないし、テレビでも見ようかな」と何時間も座ったままになってしまうこともあるのではないでしょうか。 しかも、「テレビのお供におやつを食べていたら、お腹周りが気になるようになった」という人もいるかもしれませんね。 こうしたときに注意したいのは、「太った」というだけでなく「筋肉も落ちているかもしれない」ということ。外出が減った分だけ運動量も減っている可能性があるため、太りやすく筋肉が落ちやすい状況になっているのです。 そうなると、生活習慣病はもちろんのことフレイルや介護状態になるリスクが上がってしまいます。 そのため、たまには立ち上がって家の周りを散歩してみたりと、簡単な運動から取り入れてみると良いかもしれないですね。

2022/04/08

フレイル予防 認知症予防

認知症・フレイル予防をオンラインで!神戸大学の専門家セミナーも

コロナ禍が長期化しているなか、人との交流や運動する機会が減っている人が増えています。 特に高齢者の場合、さまざまな活動が減ることによってフレイルや認知症のリスクが上がる可能性も…。 そこで神戸大学とMoff社は、オンラインで認知症予防・健康増進できるプログラムを開発。今回、JA共済と協力することで認知症共済の契約をしている人向けのサービスの優待提供を開始しました。 神戸大学の認知症予防レッスンを自宅で JA共済は、組合員らの健康増進を支援する「げんきなカラダプロジェクト」にて、認知症共済の契約者向けに「eコグニケア powered by Moff」の優待提供を開始することを発表しました。 「eコグニケア powered by Moff」とは、神戸大学とオンラインでシニア向けサービスを提供するMoff社が協力して開発したプログラムです。 このプログラムでは、認知症やフレイル予防に有効な運動や筋トレなどのレッスンをオンライン上で提供。1回40~70分で週1回から参加できます。 加えて、認知症や健康についての神戸大学の専門家によるオンラインセミナーも開催。実際に身体を動かすだけでなく、知識も身に着けられるそうです。 また、JA共済の「げんきなカラダプロジェクト」は、組合員や利用者などの健康をサポートする取り組み。健康増進のための情報を発信したり、ヘルスケアサービスと連携して利用者の健康維持の支援をおこなっています。 身体と脳の健康を気にする時代に? 最近は健康ブームだけあって、フィットネスジムのレッスンや食事管理サポートなど、健康を維持するためのサービスが数多く登場しています。 これまでは運動や食事などの身体の健康に関するものが多い傾向でしたが、高齢化に伴って認知症予防もできるサービスも登場している様子。身体だけではなく脳の健康に気を付ける人が増えたのかもしれませんね。 またコロナ禍のため、オンラインでのサービスが増えています。感染予防にもなりますし、何より家に居ながらにしてレッスンを受けられるのは助かりますよね。 コロナ禍はもうしばらく続きそうなので、こうしたサービスを活用しながら自分のペースでフレイル・認知症予防を続けていけると良いですね。

2022/04/06

フレイル予防 最新研究 糖尿病予防

朝食を食べることがフレイル予防に⁉体内時計の異常で筋肉が減少

「食欲がないから朝食はいらない」と毎日の朝食を食べずに済ませてしまう人もいるかもしれません。 よく知られているとおり、朝食を抜くことの健康への悪影響は大きいもの。その具体的なものについて名古屋大学が調査しました。 その結果、朝食を抜くことで筋力低下を引き起こし、それによって高齢者は糖尿病やフレイル、要介護リスクを高める原因になりかねないそうです。 朝食がフレイル・メタボ・糖尿病を予防 名古屋大学が、習慣的に朝食を摂らない「朝食欠食」の健康への影響についての研究結果を公表しました。 今回の研究では、朝食を抜いたマウスの身体状況を調査。その結果、マウスの脂肪組織の重量が増加して体重が増え、筋肉の重量が低下することも判明しました。 こうしたことが起こったのは、体温や脂肪組織などに関係している体内時計に異常が出たためと考えられるそうです。 今回の結果から、朝食を摂って体内時計を正常に保ち筋肉を維持することが太りにくい体質を作りメタボを予防すると言えるそうです。 さらに、筋肉の低下によってインスリンが効きにくくなることがあるため糖尿病予防にも効果があるそう。そして、身体機能が低下するフレイルの予防にもつながると研究チームは述べています。 簡単なものでも朝食を食べる習慣を 筋肉の減少は高齢者にとって深刻な問題です。 なぜなら、筋肉が減少することで身体機能が落ちてフレイル状態となり、それが悪化すると要介護状態になりかねないから。朝食を抜くことが要介護状態を招くことになるかもしれません。 もし「朝は食事の準備をするのが面倒」という場合は、手軽に食べられるものを決めておくと良いのではないでしょうか。 例えば、「ごはんと納豆」「パンと目玉焼き」といった筋肉の材料となるタンパク質が含まれた食事にすると、よりフレイル予防につながるでしょう。 年を重ねると若い世代よりも筋肉の維持が大切になるため、少しずつフレイル予防をしていきましょう。

2022/04/04

フレイル予防 介護予防 地域の取り組み

「買い物難民」になると要介護化が加速?移動スーパーで高齢者を救え

「買い物難民」という言葉を知っていますか? これは自宅の近くに食料品店などが無く、日々の買い物が難しい状況の人のことを表した言葉です。 そして、買い物難民の多くは高齢者。というのも、高齢になって運転免許を返納して移動手段がなくなったり、身体機能の衰えから商品を家に持ち帰るのが難しくなることで、買い物難民になっていることが少なくないからです。 そうした状況を受けて、スーパーのカスミが千葉県八千代市内で移動販売を開始。市内の約30ヵ所を日替わりで巡り、食料品や日用品を販売するそうです。 スーパーが家の近くまでやってくる? 関東を中心に展開するスーパー「カスミ」が、八千代市内で移動販売を開始しました。 この移動販売は、毎週月~金曜日の間に日替わりで市内の約30ヵ所を巡回。1日で7~8ヵ所を回って販売をおこないます。 また取り扱う商品は、お弁当などの惣菜類から野菜や魚などの生鮮食品まで、購入頻度の高いものを中心に約650品目を販売するそうです。 加えて、商品のリクエストも可能。週に1度同じ場所で販売するため、要望を伝えれば次の週に持ってくることもできます。 ちなみに、この移動販売には、買い物だけではなく”高齢者を見守る”役割も担っています。 例えば同じ地域を巡回することで、買い物時の会話を通して高齢者の状況を把握したり、いつも買い物に来ている人が来ないなどの異常がないかを確認もおこなえるそうです。 問題は「買い物に困る」だけではない? 買い物難民問題は、単に買い物ができないだけではなく、高齢者の外出する機会が減ることで社会的なつながりが薄くなることも危惧されています。 さらに、高齢者は体力が低下して買い物をするだけで疲れてしまうため、簡単に食べられる物で済ませてしまって栄養が偏ってしまう問題もあります。 そうしたことが原因で、うつ病や身体機能低下、さらには要介護状態になる危険性も…。 それを避けるために、全国の自治体で今回のような移動販売や「コミュニティ交通」の整備などの取り組みがおこなわれています。 「コミュニティ交通」については、こちらの記事で紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-7038/ こうした取り組みがされているのは、まだごく一部の地域。買い物難民は誰しもなり得るものなので、さらに取り組みが拡大すると地域が便利になっていきそうですね。

2022/04/01

フレイル予防 介護予防 認知症予防

デイサービスで買い物?ショッピングモールを心おきなく楽しめる安心感

身体機能の低下を防ぐために、デイサービスに通ってリハビリをおこなっている人も多いことでしょう。 全国にはさまざまなデイサービスがあるなかで、青森県八戸市にショッピングモールで買い物をするリハビリ型デイサービス「ホップステップサンテ」がオープンします。 このデイサービスでは、脳トレやストレッチなどと合わせて職員付き添いの買い物サービスも実施。身体機能と認知機能の維持によって、介護予防を目指すそうです。 買い物がリハビリになる? 八戸市に少し変わったサービスを提供するデイサービスが登場します。 その名前は「ホップステップサンテ」。ショッピングモール「ラピア」の1階にあるリハビリ型デイサービスです。 このデイサービスの特徴は、買い物をしながらリハビリをすること。買い物リハビリ型デイサービスは青森県内では初めての試みだそうです。 ここでは1日2時間のサービスを提供しており、はじめの1時間は脳トレやストレッチ、筋力トレーニングなどを実施。残りの1時間はショッピングモールで買い物をします。 買い物をするときは、スマホを付けてオンラインでつないだり職員が付き添ってショッピングも可能です。 このデイサービスが入るショッピングモールは、食料品のほかファッションや生活雑貨を扱う専門店が軒を連ねる店舗。さまざまなお店を見て回ったり何を買おうか考えることで、認知機能の活性化にもつながるそうです。 また、このデイサービスでは公共交通機関を使って来所し、帰宅は買い物の荷物があるため車で送ってもらうスタイル。できるだけ自分の力で外出することを促しています。 不安なくショッピングを楽しめる 日常生活にそこまで不安がなくても、買い物をしたりショッピングモールの中を見て回るのは不安がある人もいるかもしれません。そういう人も、職員に付き添ってもらえると安心ですね。 また、こういったリハビリに特化したデイサービスは、「普通のデイサービスだと介護度が高い人が多くて利用するのに抵抗があるけど、身体を動かすために何かしたい」という人に良いのではないでしょうか。 全国的にデイサービスの種類が増えてくれば、選択肢が増えて自分に合ったサービスを選びやすくなるかもしれないですね。

2022/03/31

コロナ対策 フレイル予防 高齢者とデジタル

高齢者もオンラインを活用して!「社会的孤立」で健康低下リスク上昇

外部の人とコミュニケーションを取らない「社会的孤立」による健康への悪影響が問題になっています。 それを受けて、東京都健康長寿医療センターが社会的孤立と健康の関係を調査しました。 それによると、若い世代から高齢世代のどの世代も社会的孤立が健康に悪影響が出ていることがわかりました。 やはり孤立は健康に悪影響が… 東京都健康長寿医療センターの研究チームは、長引くコロナ禍の影響で社会的孤立が健康に悪影響が出ていることをふまえて、調査をおこないました。 これまでも社会的孤立についての研究があったものの、年齢別に健康への影響を調査したものはほとんどなかったそうです。 そのため今回の研究では、社会的孤立が与える健康への影響はある世代に特徴的なものなのか、全世代共通しているものなのかということに着目。首都圏に暮らす25~84歳の人を高齢世代(65~84歳)、中年世代(50~64歳)、青壮年世代(25~49歳)の3つの世代に分けて比較をしています。 さらに、社会的な接触の状況ごとに「対面接触がある」「非対面接触」「社会的接触なし」の3グループに区別。そして「精神的健康」「主観的健康」をアンケート調査することで、対象者の健康状態を測定しました。 その結果、高齢世代では「接触なし」の人に比べて、精神的健康の低下リスクが「対面接触がある」は45%、「非対面接触」は27%まで減少していることがわかりました。 さらに、主観的な健康低下リスクについては、「非対面接触」は53%、「対面接触がある」は64%減少していました。 こうした結果は他の世代も同様で、社会的孤立が精神的健康や主観的健康に悪影響があることがわかっています。 加えて、非対面であっても社会的接触がある人の方が、まったく接触のない人よりも健康低下リスクが低いことも全世代共通です。 そのため、研究チームはコロナ後も外出が困難になることを想定して、高齢者もZoomやLINEなどのオンラインのツールを活用することを推奨しています。 シニアだからこそスマホを使いこなして コロナ禍で人との交流が減り、「なんとなく気持ちが落ち込む」といった人もいるのではないでしょうか。 そこで、感染予防に配慮して対面で話をしたり、スマホやタブレットを使った会議ツールで話ができると、少しは気持ちが楽になるのかもしれませんね。 ただ、まだオンラインツールに抵抗があるシニアが多いことも事実。しかし、シニアはコロナ収束後、身体機能が落ちて外出が難しくなることも考えられるので、早めに覚えた方がいいかもしれません。 家族に教えてもらったり、「スマホ教室」に通ったりして使い方を覚えていきましょう。

2022/03/31

フレイル予防 地域の取り組み 認知症予防 高血圧

シニアの健康づくりに「Tokyoヘルスケアサポーター講座」!

コロナ禍で食生活が乱れたり運動する機会が減って、自分の健康について見直したいと感じている人もいるかもしれません。 特に年齢を重ねると、高血圧や糖尿病といった生活習慣病や認知症といったさまざまな病気への不安がつきまとうもの。しかし、改めて対策をしたいと考えても何から手を付けて良いのかわからないこともありますよね。 そこで、東京都では「Tokyoヘルスケアサポーター養成講座」を開催。無料の動画で医師や栄養士などの専門家が、健康づくりについてイチから説明しています。 動画で健康づくりを学ぶ 今月28日から、東京都は「Tokyoヘルスケアサポーター養成講座」を開催しています。 これは、無料の動画で専門の医療従事者が健康についてイチから解説しているもの。7つの講座をすべて受講し、アンケートに答えると「Tokyoヘルスケアサポーター」としてのデジタル終了証が交付されます。 このTokyoヘルスケアサポーターとは、自分の健康づくりに積極的に取り組む人や周囲の人の健康づくりに貢献したいと考えている人のこと。配信されている動画を視聴することで、健康に関する基本的な知識や予防法を学び、サポーターを育成する取り組みです。 今回の講座では、生活習慣病や認知症、フレイルなどについて取り上げています。 例えば、生活習慣が悪くなるとどんな病気を引き起こすのか、薬の管理方法なども解説。また、簡単にできる「フレイルチェック」も紹介しており、今の自分の状況を把握して自宅でできるフレイル予防についても動画付きで説明しています。 これらの講座は1本10〜20分ほど。パソコンやスマホ、タブレットからアクセス可能で何度でも視聴できるようになっています。 「今さら聞けない」ことも基礎から学べる 年齢を重ねるとさまざまな病気や健康づくりについて気になるものですが、なかなかきちんと学ぶ機会は少ないですよね。 今回の講座では「今さら聞けない」と思うような基本から解説しているので、学び始めるのにぴったりの内容です。 スマホからも視聴できて無料のものなので、これを活用して健康づくりを始めてみてはどうでしょうか。

2022/03/30

コロナ対策 フレイル予防

新型コロナ、高齢者の「原則入院」を見直し?在宅・施設療養の体制を整備

今月23日、新型コロナウイルスの専門家組織による提言が出されました。 その内容は、コロナ禍での高齢者医療のあり方について。オミクロン株の感染では、新型コロナの症状自体よりも、入院したことで身体機能の低下が激しく元の生活に復帰するのが難しい高齢患者が多いことが問題としています。 そのため、高齢者が感染した場合は「原則入院」としていたものを見直し、軽症の場合は高齢者であっても自宅や介護施設での療養も選択できる体制を整えることなどが盛り込まれています。 高齢者の「原則入院」を見直し 今月23日、新型コロナの専門家組織が高齢者の療養についての提言を提出しました。 これは、高齢者が新型コロナに感染した場合「原則入院」とされている現在の方針を見直して、本人や家族の意志を尊重した治療をできる体制を整えるべきという内容です。 こうした提言が出された背景には、第6波が第5波以前の感染状況とまったく異なっていることがあります。 現在の第6派で主流となっているオミクロン株は、これまでの変異株よりも重症化リスクが低く、新型コロナの症状そのものよりも誤嚥性肺炎の併発や、感染をきっかけとした持病の悪化が問題になっています。 さらに、高齢者は数日の入院であっても身体機能が低下してしまうこともありますが、隔離中のためリハビリが実施できない状況があります。そのため、治療が終わったあとに自宅や施設などの元の環境に戻りにくい例もしばしばみられているそうです。 そうした状況を受けて、「軽症であればなるべく住み慣れた場所での療養を継続することが望ましい」と提言。高齢者はすべて入院するのではなく、自宅や施設での療養ができるように医療体制を整える必要があるとしています。 治療後の身体状況の悪化が問題に 今回の提言は、オミクロン株の特性をふまえて新型コロナの症状そのものよりも、治療後の身体状況や生活の質に焦点を当てた内容になっています。 「できれば入院せずに今いる環境で療養したい」と考える高齢者も多いのかもしれませんが、問題はそれを実現できる体制がないことです。 もし、自宅療養をすることになれば同居する家族へ感染を拡大させてしまう可能性もありますし、施設療養も他の入居者や職員を感染させてしまうリスクがつきまといます。 医療現場のひっ迫が問題となっている今、在宅医療や介護施設への支援をどのように充実させていくかをさらに検討していく必要がありそうです

2022/03/29

フレイル予防 介護予防 最新研究

「孤食」高齢者の栄養状態が低下?死亡や介護リスクが上がる可能性も

単身世帯の増加やコロナ禍の長期化によって、誰かと一緒に食事をする「共食」の重要性が改めて注目されています。 この共食について、東北大学が調査を実施。その結果、共食の頻度が低い高齢者は体重が減少するリスクが高いことがわかりました。 体重減少は高齢者の栄養状態の悪化の指標とされており、要介護状態になったり死亡するリスクとの関連もあるとされています。 1人で食事すると体重が減少? 東北大学が「共食」と高齢者の体重減少についての研究結果を発表。それによると、共食がほとんどない高齢者は、体重減少のリスクが高いということがわかったそうです。 この研究は、要介護認定を受けていない約5万7000人の65歳以上の高齢者を対象に実施。2016年から3年間にわたって追跡調査がおこなわれました。 そしてこの研究では、対象者の共食の頻度と3年間に体重の5%以上の減少があったかどうかを調査しています。 「5%以上の体重減少」は、高齢者の栄養状態の悪化の指標のひとつ。体重が5%以上減少すると、死亡リスクが上がるという研究結果が報告されています。 加えて、意図していない体重の減少は、フレイル(虚弱)の特徴でもあります。フレイルは要介護状態の前段階であり、対策をしないと生活に介助が必要になってしまうとされています。 今回の研究では、共食の頻度によって「毎日」「週に何度か」「月に何度か」「年に何度か」「ほとんどない」の5グループに対象者を分けて分析しました。 その結果、対象者のうち5%以上の体重減少があったのは約15%。共食の頻度が「毎日」の人と比べて、「年に何回か」の人は1.07倍、「ほとんどない」は1.17倍も体重減少のリスクが高くなりました。 この結果から、共食の機会を増やすことが高齢者の健康を維持することにつながる可能性があるとのことです。 当たり前だった共食が介護予防に 「共食」に対して「孤食」という言葉があります。孤食とは1人で食事をすること。このコロナ禍において、孤食が社会問題となっています。 こうした孤食をしている人は、共食の人に比べて栄養に対する関心が薄くなることがわかっています。加えて、摂取カロリーや栄養も減少する傾向があり、身体の栄養状態が悪くなるそうです。 孤食の研究については、こちらの記事で紹介しています。参考にしてみてください。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-6997/ そして、孤食によって栄養状態が悪くなると体重減少につながり、体力や身体機能が落ちることも懸念点のひとつ。現在は介護が必要なくても、孤食によって身体機能が落ちて介護リスクが上がるかもしれません。 これまで当たり前だった「誰かと一緒に食事をする」という何気ない習慣が、高齢者の介護予防になる可能性が今注目されています。

2022/03/24

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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【動画でわかる】有料老人ホームとは?費用やサービス内容、特養との違いは

介護施設を探している中で「老人ホームにはいろいろな種類があるんだ。何が違うんだろう?」と疑問を感じることがあるかもしれません。 そこで今回は、名前に「老人ホーム」とつく施設の中でも、「有料老人ホーム」を中心に紹介。よく似ている「特別養護老人ホーム」との違いも見ていきます。 「老人ホームの種類が多すぎて訳がわからない」と思ったら、ぜひ参考にしてみてくださいね。 https://youtu.be/eMgjSeJPT8c 有料老人ホームの種類 有料老人ホームには、以下の3種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム 健康型有料老人ホーム この3種類の違いを以下にまとめています。 種類 介護付き有料老人ホーム ...

2021/10/28

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