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2024年4月22日滋賀県は、同県野洲市にある介護老人福祉施設の運営法人に対して新規利用者受け入れ停止の行政処分を言い渡したことを発表しました。新規利用者受け入れ停止の期間は5月1日からの1年間です。 この施設では、2023年の10月までに施設の介護スタッフ3人が入居者12人に対して、叩いたり、押さえつけるなどの虐待が15件もあったことが確認されています。 施設では虐待と隠蔽がおこなわれていた 滋賀県によると、同県の介護施設に勤務する介護スタッフが入居者に対し、2023年4月~10月の間に15件もの虐待をしていたことが発覚。滋賀県は施設に対して2024年5月1日より1年間の新規利用者受け入れ停止の行政処分を言い渡したそうです。 今回発覚した施設の問題行動は以下です。 入居者の顔や腕を叩いたり押さえつけたりする身体的虐待 入居者が介護を求めても「あなたの体が悪い」と暴言を吐いて介護をしない心理的虐待・介護放棄 施設の施設長は介護スタッフの虐待を認識していたにもかかわらず、市に報告をしなかった 虐待による内出血のあった入居者の家族に対して「事故が原因だった」と虚偽の説明をし、虐待を隠蔽 虐待をおこなっていた介護スタッフは主に3人で、被害を受けた入居者は12人に及ぶそうです。 介護施設での高齢者虐待を防ぐためには 今回処分を受けた施設は施設内で入居者に対して暴言があったとして、2023年4月に市からの行政指導を受けていましたが、その後も虐待を続けていました。虐待をおこなった介護スタッフは「人が足りず余裕のない職場環境で虐待をしてしまった」と話しているそうです。 介護施設でおこなわれる虐待は閉鎖的な環境でおこなわれるため、周囲からわかりづらいことが多いです。 介護施設での高齢者虐待を防ぐには、まずは余裕を持った人員配置にすることが大切。施設で起こる虐待は単独でおこなわれることがほとんどのため、常に他者の目がある状況に置くことで多くの虐待が回避できるでしょう。 また、施設の雰囲気も大切です。スタッフ同士のコミュニケーションが不足している施設では、スタッフのストレスも溜まりやすくなり、虐待に至る兆候を見逃す可能性も高くなります。 もし家族など身近な人が介護施設への入居を考えている際には、事前に入居希望の施設を訪れて現場の雰囲気を見ておくと良いかもしれませんね。
2024/04/23
2023年8月31日、「認知症予防」とうその効能をうたった健康食品を高齢者に販売した疑いで、容疑者とみられる男女5人が逮捕されました。 警察の調べに対し、容疑者は容疑を認めているとのこと。高齢女性を中心に、全国で9000人以上に販売し、約4億円2000万円を売り上げたとみられています。 認知症予防をうたった健康食品を販売 今回逮捕された容疑者5人は、2023年2~6月の間、高齢女性6人に電話をかけて、認知症予防をうたった偽りの健康食品を販売した疑いがもたれています。 関係者が入手した音声によると、容疑者は高齢女性に対し「75歳を過ぎたら3人に1人が認知症。『寝たきりと認知症だけにはなりたくない』と思っているみなさんが飲んでいる商品がイチョウ葉のエキスです。」と、認知症の効能をうたい文句にうその健康食品を販売していたことがわかりました。 主犯とみられる容疑者は、これまでに少なくとも4回会社名を変えて、同じ手口で繰り返し犯行を実行したことが判明。事務所からは、電話勧誘に使われたとされる高齢者の名簿が押収されています。また、固定電話には1年3ヵ月で113万回の発信履歴があったそうです。 18万円分の被害を受けそうになった人も 捜査を進めていると、2021年に認知症の80代の女性が被害に遭ったことも判明。その娘によると、18万円もするサプリメントの箱を見つけて詐欺を疑ったといいます。 女性は電話で断ったものの一方的にサプリメントが届き、代金の一部2万円を支払ってしまったそうです。その後、詐欺を疑った娘は商品を返品。すでに支払った2万円も現金書留で戻ってきたといいます。 国民生活センターは、「強引に健康食品を送りつけられたという相談が後を絶たない。商品が届いてもクーリング・オフが適用される場合もあるため、近くの消費生活センターに相談してほしい」と注意を呼びかけています。 また、身に覚えのない商品が届いたら事業所名などをメモした上で、受け取り拒否をすることも有効だそうです。周りの人にも相談して、被害を未然に防いでいきたいですね。
2023/09/08
2023年8月25日、兵庫県尼崎市内にある介護事業所の元職員らが、同市役所で会見を開きました。元職員らが働いていた介護事業所で介護報酬を不正に受給していた疑いがあるとして、市に事実解明を求めたのです。 介護事業所で不正受給の疑いあり 元職員の会見などによると、介護事業所を運営している一般社団法人は、2017年12月から2022年の春までに、介護サービスを提供していないのにかかわらず提供したと申告して3000万円以上を不正に受給した疑いがあるとしています。 元職員の証言の中には「週6日の介護報酬を請求しているのに、実際に働いたのは週1日だけ」というものもあるそうです。 さらに、利用者の介護をする度に担当したヘルパーが記入するはずのサービス実施記録を、法人幹部が書き込んでいた疑惑も浮上。この場合、不正受給額はさらに膨らむ可能性があるといいます。 元職員らから相談を受けた議員は、住民監査請求や警察への通報なども視野に調査を進めていく方針を示しています。 不正受給は指定の取り消し処分に 兵庫県では「介護保険制度は、国民から集めた保険料と公費から成り立っている公的な制度であり、制度の健全な運営によって国民からの信頼を確保しなければならない」として、介護事業所の不正防止に取り組んでいます。 具体的には、定期的な運営状況の確認や、実際に事業所に赴いて指導をおこなう実地指導などを実施。事業所の不正が疑われるような場合は、事業所の運営状況をさらに詳しく精査し、場合によっては行政処分をおこなうといいます。 特に今回疑われているような、介護報酬の不正受給に関する処分は重く、一発で最も重い指定取り消し処分が下される可能性があります。 実際に、2014~2018年の間に、兵庫県尼崎市内にある介護事業所に下された6件の指定取り消し処分のほとんどは、介護報酬の不正受給が原因です。 施設で暮らしている高齢者が安心できる環境をつくっていくためにも、誠実な運営を心がけてほしいですね。 参考:「介護サービス事業における法令遵守・指導監査方針について」(兵庫県)
2023/09/06
80代の男性が何者かに首を絞められ、車も奪われるという事件が岩手県で発生。この取り調べをする際、対応した警察官は男性の訴えを「認知症によるものだ」と決めつけ、事件性はないと判断していたことが明らかになりました。 現在、犯人は逮捕されているものの、容疑は否認しているといいます。 被害を訴えるも「事件性はない」と判断される 警察などの調べによると、容疑者の男は2023年8月15日の夜、岩手県雫石町の神社で高齢男性の首を絞めて殺害しようとした上、男性の車を奪った疑いが持たれています。この際、被害を受けた男性は打撲などの怪我をしたそうです。 その翌朝、犯行現場の近くの道路を、怪我を負った状態で歩いている男性を見かけた通行人が警察に通報。駆けつけた警察官が男性に話を聞くと「暴行され、車を奪われた」と訴えたといいます。 しかし、この警察官は男性の説明があいまいだったことから「認知症によるものだ」と決めつけ、事件性はないと判断したそうです。 被害者の車が見つかり捜査が始まる 事件から3日が経った8月18日、青森県内で男性の車がナンバープレートが付け替えられた状態で見つかったことを受けて、警察は初めて事件性があると判断。その後、容疑者を特定し、19日に強盗殺人未遂の容疑で全国に指名手配したそうです。 容疑者の男は8月21日、青森県内で警察車両に車を衝突させ、公務執行妨害の疑いで逮捕。男は怪我の治療のために青森県内の病院に入院したといいます。 それから怪我の回復を待って、8月28日に男を強盗殺人未遂の容疑で岩手県警が再逮捕しました。男性と容疑者の男に面識はなかったそうです。 警察は事件のいきさつについて、さらに詳しく調べる方針です。 高齢者だからといってすぐに認知症と決めつけるのではなく、ファクトチェックを入念におこなっていれば、今回のような失敗は防げた可能性があります。同じ轍を踏まぬよう、再発防止に努めていってほしいですね。
2023/09/05
新潟県新潟市で、介護支援専門員(ケアマネジャー)の女が、利用者の財布から現金およそ2万円を盗んだ疑いで逮捕されました。 女は容疑を認めていると言います。 ケアマネジャーが利用者の現金を盗んで逮捕 警察などの調べによると、容疑者の女は2023年7月27日、ケアマネジャーの業務の一環で新潟市内にある80代男性の自宅を訪問しました。その際、利用者の男性が所有している財布の中から現金2万1000円を盗んだ疑いがもたれています。 被害に遭った男性の家族は警察に被害届を提出。警察が捜査したところ、ケアマネジャーの女が容疑者として浮上し、今回の逮捕に至ったそうです。 女は取り調べに対し容疑を認めていて、警察は余罪も視野に捜査を進めていく方針を示しています。 後見人制度の利用も視野に 今回のような、高齢者の金銭を無断で使用する行為は「経済的虐待」に該当します。 厚生労働省の調査によると、2020年時点で起きた訪問介護における経済的虐待はすべての虐待の中で14.4%を占めていたことが判明。特養において経済的虐待は0.2%、グループホームでは0%だったことを踏まえれば、訪問介護では特に経済的な搾取がおこなわれやすいことがわかります。 今回のような被害を防ぐためにはどのような対策をすれば良いのでしょうか? 日本高齢者虐待防止学会理事長の池田直樹氏は、判断能力が不十分な人の生活支援や財産管理などをおこなう「任意後見制度」の利用を提案。「判断能力が衰える前に、預金の出し入れを行う権限のある後見人をつくる必要がある」と話しています。 また、何かなくなったらすぐに把握できるように、所有物に名前を書いたり所有している物のリストを作ったりすることも有効です。それでも心配な方は、防犯カメラの導入などを検討してみても良いかもしれませんね。 参考:「令和2年度「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」に基づく対応状況等に関する調査結果」(厚生労働省)
2023/08/09
大阪県大阪市の特別養護老人ホームで、ショートステイ(短期宿泊)を予定していた80代の男性を迎えに行かなかったために、男性が死亡してしまうという事故が発生しました。 警察は事故のいきさつについて、慎重に調査を進めています。 送迎されなかった男性が熱中症で死亡 調べによると、85歳の男性は7月15日から特養のショートステイを利用する予定だったと言います。しかし、施設側は何らかのミスで入力した予約のデータを消してしまったため、予約に気づけなかったそうです。 その結果、6日後に別の介護事業者が自宅を訪問した際に、男性は死亡した状態で発見されました。死因は熱中症とみられています。 また、男性は最も手厚いケアを要する「要介護5」と認定されていたとのこと。要介護5は単独で生活するのが困難な段階で、エアコンをつけて室温を調節したり水を飲んだりすることも難しかったと思われます。 男性は当該の施設を複数回利用したことがあったということで、警察が施設に対して事情聴取をおこなっています。 施設側は今回の事件に対して「重大な事故として責任を感じている。このようなことが起こらないように再発防止に努めたい」と話しているそうです。 送迎ミスを減らす取り組み 今回のような送迎ミスは、長年にわたる高齢者施設の課題でもあります。 広島県広島市のとあるデイサービスセンターでは、頻発する送迎時のミスを減らすために、次のような取り組みがおこなわれました。 送迎時の注意点を視覚的に示した送迎ノートを作成 送迎前に、複数の職員でその日の送迎の内容を声に出して確認 送迎マニュアルを作成し、職員会議で共有 送迎時に特に注意を必要とする場所を示した危険箇所マップを作成し、壁に掲示 以上の取り組みをおこなう前とおこなった後の9ヵ月間の事故件数を比較した結果、送迎忘れは22件から16件に、送迎時の利用者の怪我は13件から6件と、それぞれ大幅に減少したことが明らかになりました。 また、今回のような事故を減らすためには、施設の職員だけでなく地域の人も定期的に声かけするような取り組みが必要なのかもしれません。
2023/07/31
大阪府泉佐野市にある訪問介護事業を運営している取締役が、虚偽の申請書を提出して金銭をだまし取った疑いで逮捕されました。 取締役らは、訪問介護を提供していないにもかかわらず介護給付費を申請して、約170万円を受け取ったとみられています。 介護給付費を不正にだまし取る 警察の調べによると、容疑者らはおととし、介護サービスを提供していないにもかかわらず泉佐野市に対して申請書を提出し、介護給付費10人分に相当する約170万円をだまし取ったとみられています。 情報提供を受けた泉佐野市が調査したところ、容疑者らはほかの市でも同様の不正受給をおこなったことが判明。その額は合計で9000万円にも上るそうです。 不正受給を受けて、泉佐野市は容疑者らが運営していたとされる訪問介護事業所の指定取り消し処分を実行し、刑事告訴しました。 警察は容疑者らの余罪を含め、さらに詳しい調査を進めていく方針を示しています。 取り消し処分までの流れ 介護サービスを提供している事業者は、監査などで適切な運営がなされていないと判断された場合、その重さに応じて行政処分が下されます。 介護事業所で不正がおこなわれた場合、まずは改善勧告や改善命令が下され、業務を改善するように指示されます。改善勧告はあくまでも「指導」のため強制力がありませんが、改善命令は「行政処分」なので強制力があります。 また、改善命令にも従わない場合は不正の程度に応じて、業務の一部またはすべてを一時的に停止させられます。 介護事業者に下される最も重い処分が、今回の事件の容疑者らが受けた「指定取り消し」処分で、これを受けると介護報酬が国から入ってこなくなるため、実質的に事業を続けることはできなくなります。 大阪府の発表によると、府内で指定居宅サービス事業者としての指定の取り消しや、効力停止処分を受けた事例は、2019~2021年の3年間で16件に上るそうです。処分を下した理由は、ほとんどが介護報酬の不正受給によるものでした。 介護報酬は有限なので、不正受給する事業者がいればその分きちんと運営している事業者にしわ寄せがいくことになります。高齢者が健やかに暮らせる社会をつくっていくためにも、徹底した監査をおこなってほしいですね。 参考:「指定居宅サービス事業者等に対する指導および監査について」(大阪府)
2023/07/21
2023年6月29日、トラブル解決を名目に高齢の女性から現金をだまし取ろうとした疑いで、無職で16歳の少年が逮捕されました。少年は現金の入った宅急便を受け取る「受け子」をしていました。 女性が多額の現金を宅急便で送ろうとしているのをコンビニの店員が不審に思い、警察に通報したため被害は免れたそうです。 老人ホームの入居権をめぐる詐欺が発生 警察の調べによると、今年の6月上旬から22日にかけて、愛媛県今治市に住む70代の女性宅に「あなたは老人ホームに入居する権利がある。もし入居しないなら名義を貸してほしい」などとうその電話があったと言います。 女性が電話の内容を承諾すると、今度は別の会社員を名乗る男から電話がかかってきて「名義貸しは犯罪だ。1000万円払えば今回の犯罪をなかったことにできる」などと脅し、金銭を要求してきたのだそうです。 女性が多額の現金を宅急便で送ろうとしているのを目撃したコンビニの店員が警察に通報したことで事件が発覚。送金前に通報したため、今回の事件は未遂に終わりました。 愛媛県における詐欺の現状 愛媛県警の統計によると、2023年5月時点の詐欺の被害件数が29件あったことが判明。また、被害総額は2800万円以上に上ったことが明らかになりました。 愛媛県内で起きた29件の詐欺のうち最も被害者が多かったのが、有料サイトなどの「架空請求詐欺」で、その件数は18件と過半数を占めました。それから、社会保険のお金が戻ってくるなどの「還付金詐欺」が8件、「確認するため」などとうそを言ってキャッシュカードをだまし取る「預貯金詐欺」が2件、身内の事故などを装って金銭をだまし取る「オレオレ詐欺」が1件と続きます。 愛媛県警は、「宅急便でお金を送って」「ATMに行って送金してほしい」などの電話はすべて詐欺であると注意を呼びかけています。 詐欺の電話はほとんど固定電話にかかってくると言われているため、詐欺の被害を防ぐためには「知らない人からの電話に出ない」という対策が有効です。固定電話を常に留守番電話の設定にしたり、相手の電話番号が表示されるナンバーディスプレイ機能を使ったりして、詐欺の被害を未然に防ぎましょう。 参考:「特殊詐欺多発中」(愛媛県警察)
2023/06/29
熊本県熊本市の高齢者施設で、職員が入居者のキャッシュカードを使って現金150万円を不正に引き出すという事件が発生しました。 この事件の容疑で逮捕されたのは、施設で勤務していた27歳の介護福祉士の男。警察の調べに対し、容疑を認めているそうです。 介護職員が入居者の現金を盗み取る 警察などの調べによると、介護福祉士として高齢者施設で働いていた男は2023年3~4月の間、施設に入居していた女性の名義のキャッシュカードを無断で使用。ATMから3回にわたり、合計150万円の現金を引き出した疑いが持たれています。 警察の調べに対して、男は「生活費やギャンブルに使う金が欲しかった」と容疑を認めているそうです。 警察はさらに詳しく調べていく方針です。 経済的な搾取も虐待の一種 「高齢者虐待」は、殴ったり蹴ったりする身体的虐待のみを指す言葉ではありません。今回の事件のように、高齢者の金銭を無断で使用することも「経済的虐待」という虐待の一種に該当します。 具体的には、以下の5つが高齢者虐待に当たります。 身体的虐待:暴力を振るう、食事を無理やり食べさせる、不当に身体を拘束するなど 心理的虐待:暴言を吐く、高齢者の言葉を無視する、怒鳴って威圧するなど 経済的虐待:高齢者の金銭を無断で使用する、本人の金銭の使用を理由なく制限するなど 性的虐待:無断で裸の写真を撮る、合意なく性的行為を強要するなど 介護放棄(ネグレクト):本人が必要とする介護サービスを受けさせない、必要な介助をおこなわないなど 介護職員による虐待や窃盗などを防ぐためには、職員同士がスムーズにコミュニケーションを取れていることが大切。各都道府県では、第三者視点からその高齢者施設が適切に運営されているか、職場環境が良好かなどを調査する「第三者評価」がおこなわれています。 この第三者評価は有料で、受けるかどうかはその施設次第。逆に、第三者評価を受けている施設は適切に運営されていることが多いと言えます。 各都道府県の第三者評価のホームページで、どこの施設が評価を受けているかを調べられるため、もし身近な人で施設に入居予定の人がいたら調べてみると良いかもしれませんね。
2023/06/22
宮崎県都城市の介護老人保健施設(老健)の個室内で、殺人事件が発生。同居する妻の首を絞めて殺害した容疑で、88歳の入居者の男が逮捕されました。 調べに対し、男は容疑を認めているそうです。 介護施設内で殺人事件が発生 警察の調べによると、容疑者の男は2023年6月10日の午後8~10時頃、老健の自室で86歳の妻の首をひものようなもので絞めて殺害した疑いが持たれています。司法解剖の結果、死因は窒息死でした。 事件が起きた当時、施設には3人の職員がいたと言います。午後10時頃の巡回時に、職員が妻の首にひげそりの充電用コードが巻かれているのを発見。一方、容疑者の男は室内で自分の車椅子に乗っていたそうです。 夫婦は1年前に施設に入居 およそ1年前、ともに要介護認定を受けている夫婦は老健に入居し、同じ部屋で暮らしていたと言います。妻は当時から寝たきりで、会話の受け答えも難しい状態だったそうです。一方、今回の事件の容疑者となった夫は足が不自由で、車椅子を使いながら生活していました。 関係者は「2人に目立ったトラブルはなく、自宅に戻ることを目標にリハビリを続けているような穏やかな関係だった」と話しているそうです。また家族との関係も良好で、週に1回とかなりの頻度で面会に訪れていたと言います。 警察の調べに対し、容疑者の男は「間違いない」と容疑を認めているとのこと。警察は今後、動機などを含めてさらに詳しく調べていく方針です。 夜勤を担当していた職員は、巡回時でなくとも転倒などをいち早く発見するために、物音にはかなり注意を払っていたはずです。 しかし、今回の事件は、職員がそれぞれの個室を訪れて様子を確認する定時巡回のときにはじめて発覚しました。このことから、事件発生時に物音がほとんどしなかったか、あるいは物音はしていたものの人員に余裕がなく、発見が遅れてしまった可能性などが考えられるでしょう。 高齢者が施設で安心して過ごせる体制をつくっていくためにも、事件が起きてしまった背景などを明らかにしていってほしいですね。
2023/06/16
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。