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全国に2万以上もあると言われているデイサービス。その数は年々増加してきており、高齢化が進む日本において、在宅の高齢者を支援する大きなサービスのひとつです。 しかし、デイサービスが増えているだけに、利用者としては違いがわからないというのが正直なところ。それは、事業所としても他のデイサービスとの差別化に苦労している部分のようです。 そこで、差別化のひとつの要素となるのがリハビリ。ただ、ほとんどのデイサービスでリハビリの専門職がおらず、利用者に合わせたリハビリプランを計画するのが難しい状況でした。 そうした問題を解決するための支援ソフトが「リハプラン」です。専門職ではなくても、一人ひとりに合わせたリハビリプランの立案ができるそうです。 現場の効率化と価値の提供を両立 Rehab社が開発した「リハプラン」は、リハビリの専門職ではなくても利用者にあわせたリハビリプランを計画できるソフトです。 利用者に合わせて「参加」「活動」「機能」のそれぞれの目標を設定し、それに沿ったプラン作成や機能の評価などをおこなえます。 また、「専門職ではないから、どんな運動メニューを組めばいいかわからない」という現場の悩みも解決。2200種の運動メニューの中から自動で提案されるので、業務の時間も短縮できるそうです。 加えて、リハビリ後の評価などの入力モレを防ぎ、1つの記録の複数書類への転記も自動。このソフトを導入したことで、入力文字数が6割も削減された事例もあります。 また、厚生労働省の科学的介護情報システム「LIFE」にも対応。このソフトで個別機能訓練計画書を作成すれば、LIFEの様式に自動反映されるので、煩雑な事務作業の短縮化もできるようです。 介護に付加価値が求められる 高齢化が今後進み、2040年ごろには35%が高齢者になると予測されています。 それに伴ってリハビリサービスの需要が増加。また、2021年4月に運用開始されたLIFEが少しずつ介護施設に広まっていることもあり、今回のソフトのような介護に情報システムを活用する下地ができてきたとも言えます。 こうしたソフトが出現することで、今後リハビリに限らずさらに質の高い介護が求められるようになる可能性もあるかもしれません。
2022/02/09
介護現場のICT化に向けた動きが、ついに本格的になってきたようです。 厚生労働省は、人材不足が深刻化している介護職員の配置基準の緩和を検討していることがわかりました。その条件として、ICT技術の活用を挙げています。 来年度には実証事業をおこない、見守りセンサーなどの機器を導入することで、職員の負担や業務の効率がどのように変化するかを検証します。 ICTを導入した実際の施設で検証 厚生省が、介護職員の人員配置基準の緩和を検討していることがわかりました。 現在の介護保険制度では、入居者3人に対して職員1人以上の配置が定められています。しかし実際の現場では、入居者の安全性や業務量が多さを理由にそれ以上の職員が配置されている場合もあります。 加えて、高齢者人口がピークになると予測されている2040年には、さらに70万人近くも介護職員を増やさないといけないという試算が出ています。そのため、業務の効率化による人員の削減が介護現場の大きな課題です。 この人員配置の緩和については、先月18日の日本経済団体連合会による提言でも触れられており、他業界からも注目されています。 今回、厚生省は2022年度に見守りセンサーや介護ロボットなどを活用した実証事業をおこなうとしており、来週にも方針を説明するとのことです。 この実証では、介護施設に見守りセンサーや介護ロボットを実際に導入し、どれくらい業務の効率化がされるかを数値化。人員配置を少なくした際に、入居者の安全が確保できるか、職員の負担が増加しないかを確認するそうです。 また、直接の介護業務ではない清掃や配膳などをおこなう介護助手を活用した場合の効果も検証するとのことです。 具体的な実証内容や実施施設については、公募をおこなって3月に決定する予定しています。 そもそもICT化は進むのか これまでも、介護現場のITC化の推進や職員の人員配置基準の緩和について何度も議論されてきましたが、具体的にはなりませんでした。 しかし、今回の実証事業が上手くいけば、段階を踏んで「入居者4人に対して職員1名」に人員配置に緩和されるかもしれません。 もし、単に人員配置を緩和するだけであれば、現場は崩壊することでしょう。加えて、ICT化せずに職員数を減らして、利用料を安くすることで集客するような悪質な施設が現れる可能性もあります。 しかし、ICT化が進んでいることが条件になりそうですので、実際の現場ではすぐには変化しないのではないでしょうか。 また、ICT導入のための支援をさらに充実させないと「人員配置を緩和しただけで現場のICT化は進んでいない」というのが実際のところかもしれません。 今回の実証では、どんなシステムをどれだけ導入すれば職員数を減らしても良いのかをしっかり検証したうえで、人員配置の緩和を検討してほしいですね。
2022/02/04
福祉施設の経営サポートなどをおこなっている福祉医療機構が、2020年の特別養護老人ホームの経営状況をまとめた調査結果を公表しました。 それによると、新型コロナウイルスの拡大により施設の利用率が下がったことと人件費が増加したことで、赤字経営の施設数が微増したと伝えています。 ショートステイの”利用控え”が起きている 福祉医療機構が、2020年度の特養の経営状況を公表しました。これは、福祉医療機構が貸付をおこなっている社会福祉法人が運営している5050施設を対象とした調査です。 今回の調査は、大人数で共同生活をする「従来型」と、10名程度の少人数グループで生活する「ユニット型」に分けてまとめています。 2019年と2020年を比較すると、赤字経営になっている施設は従来型は34.0%から35.2%、ユニット型は28.2%から29.0%に微増しています。 この理由として、福祉医療機構は「施設利用率の低下」「人件費の増加」を挙げています。 施設利用率について、特にショートステイが低下しているようで、従来型・ユニット型ともに約5%低下しています。これについて福祉医療機構は、新型コロナの感染拡大によって施設の”利用控え”が原因としています。 また、人件費については「感染拡大によって発熱した職員の代わりの人材を雇用したことによって増加した可能性がある」としています。 そして、赤字経営になっているのが小規模施設に多いのは例年通りとのこと。そのため福祉医療機構は「小規模施設は、ICT活用で効率化をして経営改善が求められている」と述べています。 経営状況の格差が広がる? 感染拡大による”利用控え”は、感染収束に伴ってなくなっていくと考えられますが、小規模施設の経営が厳しいのはコロナ以前からの問題のようです。 この問題に対して、福祉医療機構は小規模施設にICT活用を求めていますが、ICT活用が進まないのは導入コストがネックになっていることが理由とわかっています。 そのため、比較的に経営に余裕がある大規模施設ではICT導入が進んで業務の効率化が進み、小規模施設では依然として進まない可能性も。それによって、大規模施設と小規模施設の経営状況の格差がさらに広がることも懸念されます。 そうなってくると、介護事業所の努力だけでは経営が改善できないのではないでしょうか。事業所の取り組みに加えて、国としても財政的な支援が必要なのかもしれません。
2022/02/03
高齢化や認知症患者の増加に伴い、認知症の予防が注目されています。 そのなかで「健康脳測定会」という脳の定期健診を通して、認知症の早期発見に力を入れているのがアグリマス社。同社とAIやビッグデータ事業に実績のあるKCCSモバイルエンジニアリング社が、認知症の早期発見システムの開発について業務提携しました。 ICT化によって「健康脳測定会」をさらに発展させたシステムを開発するとのことです。 気軽に脳の健康診断を アグリマス社が提供している「健康脳測定会」とは、脳の健康診断サービスのこと。半年に1度の頻度で測定をすることで、長期的な脳の状態を把握できます。 この測定は「身体機能」「認知機能」「生活機能」といった内容です。生活意欲、記憶力、空間認識力、歩行速度などのさまざまな項目をテストすることで、脳の健康状態を簡易的にチェックできるそうです。 また、その結果は「健康脳レポート」としてまとめられます。各項目の点数や、全体的な脳の状態を確認できます。 今回の業務提携は、これまでの「健康脳測定会」のノウハウやデータを発展させたシステムを開発するのを目的としています。 この測定の結果をオンライン上で確認できるようにすることで、遠方の家族も簡単に閲覧できるようになります。さらに、測定会で集めた膨大なデータを活用して、認知症の超早期発見や、一人ひとりに合わせた認知症予防メニューの提案も進めたいとしています。 今後は、自治体が運営する集いの場所や、健康サロンなどでの活用を目指しているそうです。 早期発見に貢献するサービス 高齢化が進む日本の課題のひとつである認知症。脳トレをしたり食事に気を使ったりして、発症予防に取り組むことも大切です。そしてそれと並行して、早く認知症を発見することも重要になっています。 今回のシステムは、デイサービスや地域の集いの場など、比較的自立度の高い高齢者が集まる施設に導入することを目指しています。 そういった施設であれば「まだ元気だけど、脳の健診だったらしてみようかな」と感じる高齢者が多く集まることが予想されます。すでに介護が必要になっている人ではなく、元気な高齢者が脳健診を受けることで、認知症の早期発見ができるというわけですね。 ただ、このシステムを利用するのに月額費用がかかるところがネックかもしれません。毎日チェックするものではないので、「月謝制ならやらない」という人も出てくるのではないでしょうか。 とはいえ、早い時期に認知症が発見できれば症状の進行予防ができるので、価値のあるシステムと言えますね。
2022/02/02
独立行政法人福祉医療機構が「2021年度介護報酬改定に関するアンケート調査」の結果を発表しました。その中で「LIFE(科学的介護情報システム)」の利用状況を調査しています。 その結果、LIFEを「すでに導入している」「利用申請する予定」という回答が最も多かったのが、介護老人保健施設(老健)の93.1%。次に通所リハビリ事業所、特別養護老人ホームと続く結果でした。 多くの施設で導入予定だが… 福祉医療機構が、介護事業所にLIFEの利用状況についてアンケート調査をおこないました。 LIFEとは科学的介護情報システムのこと。利用する全国の介護事業所が、利用者情報やケア情報を登録することで、そのデータを分析して、明確なデータに基づいた介護をおこなうことを目的としています。 これまでの介護事業所では、職員のノウハウや事業所単位での知識をもとにケアを提供していました。そこで、LIFEを活用することで、全国の介護事業所のデータを利用してケア改善のフィードバックを得られるようになります。 つまり、LIFEを導入することで、全国の介護職員の知恵を活用することができるというわけですね。 そして、今回の調査はLIFEの導入状況について。すでに導入作業が終えていたり、近いうちに利用予定していたり、利用の意志がある事業所が最も多かったのは老健(93.1%)でした。続いて、通所リハビリ事業所(91%)、特別養護老人ホーム(88.2%)という結果となりました。 このようにLIFEへの関心の高い事業所もある中で、導入予定のない施設も一定数あります。「利用申請する予定はない」と最も多く回答したのはグループホームでした。グループホームの約30%が導入予定がないようです。 導入しない理由については、「システムへのデータ登録が負担」「システム全体への理解が負担」という回答が上位に。どうやら導入時の負担がネックとなっているようです。 導入時の負担が足かせに 国として、科学的根拠に基づく介護を推進しようとしています。そのひとつがLIFEというシステムです。 しかし、導入の障害もあります。これまで紙で記録を管理していた事業所は、記録を登録するのに膨大な手間がかかることでしょう。また、利用者数が少ない事業所ではLIFEの恩恵よりも、システムに慣れるための負担の方が大きく感じてしまうのかもしれません。 これについて、厚生労働省は資料などを使ってサポートをしていますが、人員不足の事業所では、それでも導入時の業務負担が懸念点になってしまうのかもしれません。 何かを始めるときには負担が大きいものですが、LIFEが広く活用されるまでにはもう少し時間がかかりそうですね。
2022/01/28
今月18日、日本経済団体連合会がヘルスケア業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進めるための提言を発表しました。 その内容は、介護システムや見守りセンサー・ロボットといったデジタルテクノロジーを導入することで、業務を効率化。そのうえで、介護施設人員基準の3:1を緩和するべきというものです。 テクノロジー化の効果と課題 今月18日に、経団連は「介護業界はDXを推進して業務を効率化し、人員配置基準を緩和するべき」という内容の提言を発表しました。 具体的なテクノロジー化の効果についても説明しています。 例えば、介護予定・記録システムの活用によって、職員のスケジュール管理や介護記録をスマホで完結し、業務が効率化すること。また、見守りセンサーを導入することで、夜間の2時間に1回の訪室による見守りから常時見守りに変わり、職員の負担軽減だけでなく利用者の睡眠を妨げなくなることなどです。 さらに、利用者の健康・生活データを活用することが、重症化予測や自立支援介護を可能にして、利用者の満足度の向上につながるとのこと。そのデータを使って、一人ひとりにあわせたリハビリも提供できるようになるとしています。 このようにテクノロジーの導入によって業務が効率化されるため、「現在の人員配置の3:1(3名の利用者に対して、介護・看護職員を1名配置する)を緩和するべき」と提言しています。 一方で、テクノロジーの導入には、課題があるとも述べています。それは、導入・運用コストです。国内の介護事業者の多くが小規模であるため、そのコストがネックになってデジタル化が進んでいないのが現状だそうです。 どうしたらテクノロジー化は進むのか 今回の提言では、介護業界のテクノロジー導入について具体的に述べられました。 経団連は、介護業務の効率化や介護予防によって、介護業界の人手不足の問題を解決できると考えているようです。確かに、今後さらに高齢者が進む日本において人材確保は急務ですが、だからといってこの提言だけでテクノロジー化がすぐに進むわけでもありません。 どのようにテクノロジーを導入していくのか、コスト面の課題は解決できるのか、そのあたりをさらに議論していく必要がありそうですね。
2022/01/27
高齢化に伴って、介護サービスを利用する人は年々増加しています。この介護サービスを利用するためには介護認定を受ける必要がありますが、今後、認定調査員の負担が大きくなると予想されています。 NTTデータ東北とNTTデータ経営研究所は、福島県郡山市と協力して要介護認定業務のICT化の実験をおこなうことを発表しました。 この実験は、認定員による訪問調査や調査票の作成など、これまで紙や人の手でおこなわれていた作業をICT化することで、どれだけ効率化できるかを検証するものです。 調査票をデジタル化して効率アップ 昨年3月から、郡山市ではNTTデータ東北の要介護認定事務支援AIを使っていましたが、今回の実験でさらなる業務効率化を目指しています。 今回の実験でICT化されるのは、3つの業務です。 まずは訪問調査と調査票の作成です。現在は、訪問調査時にヒアリング内容を紙のメモに残し、事務所に戻ってからパソコンに入力していますが、これらの作業をタブレットでおこなうことで、業務の効率化・ペーパーレス化の効果を検証するそうです。 次に、調査票の確認です。これは、調査票の内容に整合性があるかどうかを確認するのですが、これまでは事務員が目で確認していました。この業務をAIが代わりにおこなうそうです。 最後は、「介護度の一次判定システム」への取り込みです。現在は、紙に印刷した調査票を目で確認していたので、スキャナーを使って再度パソコンへ取り込んでいました。それをすべて電子データで連携し、一次判定システムへの移行をスムーズにおこなうようにできるそうです。 これらの3つの業務をICT化することで、どれだけ業務が効率化されるかを検証。実験の結果は、今年4月以降にわかる予定とのことです。 バックオフィス業務も人材が不足している 介護認定調査員として仕事をするための条件が2020年に緩和され、国としても調査員の人員を確保しようとしています。しかし、さらなる高齢化によって、まだまだ人手不足の状況は変わらないでしょう。 その状況を改善する希望になり得るのが、今回の認定業務のICT化です。 タブレットで訪問調査を記録するとのことなので、直感的に操作できるアプリが開発できれば記録も簡単になって、業務の効率化や簡易化にもつながるのではないでしょうか。そうなれば、介護認定調査員の門戸もさらに広げられて、人員の確保がしやすくなるかもしれません。 また、こういった事務作業の効率化も、介護業界の抱える問題のひとつと言えそうです。今回のような取り組みが、全国の自治体に広がることに期待ですね。
2022/01/25
神戸市が管理している「ヘルスケアデータ連携システム」の情報を活用して、市民の要介護リスクを予測する研究をおこなっていることを神戸大学が発表しました。 神戸大学によると、神戸市民の約38万人分のデータをAI(人工知能)に読み込ませて、要介護状態になる原因を予測するとのことです。 この研究データを使って、今後、神戸市の「データヘルス政策」に貢献したいとしています。 AIが介護リスクを予測する 神戸市民の健康情報データを活用して、AIによって要介護の予測をするシステムを開発していることを、神戸大学らの研究グループが発表しました。 このデータの対象となるのは、65歳以上の約38万人。医療や介護、健診などのデータを個人ごとにまとめたものを、匿名にして神戸市が提供します。これほどの大規模なデータでの取り組みは、国内初とのことです。 このデータを、日立製作所の独自技術で作られたAIが解析。年齢や性別、血液情報、病状といった膨大な情報をAIに取り込むことで、一人ひとりの要介護リスクを予測し、その根拠もAIが提示できるようになるそうです。 ちなみに、このAIが今回のシステム開発の要とのこと。これまでのAIでは、予測結果の原因となる事柄を抽出することが難しいとされていました。そのため、AIが解析した結果の理由を人が理解できないため、命やお金といった重要な事項の意思決定には、AIの活用ができないという課題がありました。 しかし、このAIは人に理由を説明できるので、今回の研究も含めてさまざまな場面での活用が期待されています。 また、この研究が成功すれば、厚生労働省が推進している「データヘルス政策」の躍進にもつながると考えられています。データヘルス政策とは、健診やレセプトデータなどを分析することで住民の健康増進を図る政策のこと。今回の研究も、要介護になることをAIで事前に予測し原因を理解することで、介護予防に活用できると考えられます。 要介護の原因を教えてくれるAI この「AIでの要介護予測」が実現できれば、要介護状態になる前の段階で自分で対策を打てることがあるはずです。 しかも、このAIは原因も教えてくれるので、自分の状況に応じた予防策を立てられるようになるでしょう。詳細は明かされていませんが、足腰が弱って歩けなくなるのか、何かの病気になるのか、など自分が要介護状態になる具体的な原因を提示してくれるかもしれません。 そうしたら、「食事を変えよう」「運動量を増やそう」「この病気のリスクが高いから気を付けよう」など、普段の生活から要介護予防ができるかもしれませんよね。 もしかしたら近い将来、AIに健康相談をする日が来るのかもしれませんね。
2022/01/24
社会保障審議会の介護現場の効率化を検討する専門委員会で、自治体が介護事業所に対しておこなっている「実地指導」の変更案が提示されました。 実地指導とは、自治体の担当者が介護事業所に訪問し、適切な介護サービスを提供しているかを確認するものです。 今回の委員会では、実地指導の効率化を目的に、所要時間の短縮や手続きなどのICT化、一部の指導内容をオンライン会議ツールでおこなうことなどが提案されました。 厚生労働省は、これらの案をもとに自治体・介護事業所の双方の負担軽減につなげたいとしています。 効率化・生産性向上を目指して 今月20日、厚生省は介護現場の負担軽減に関する専門委員会を開催。提出書類などの効率化による、生産性向上のための取り組みを話し合いました。 その中で実地指導については、実地指導の前に自治体へ提出する書類の簡素化や、オンライン会議ツールの導入などが提案されました。 加えて、実地指導の内容を以下の3点に明確化する見通しです。 介護サービスの実施状況指導 最低基準等運営体制指導 報酬請求指導 そして、2と3の指導内容については、現地でなくても指導できる内容のためオンライン会議での実施でも良いとするとのこと。感染拡大のため、特例的にオンライン会議ツールを使用したことはあったものの、正式に導入が認められるのは初めてのことです。 また、他にも所用時間の短縮や、同一所在地にある事業所へは同時に指導をおこなうことなども提案されています。 ICT導入への意識が高まる 今回の提案には、自治体と事業所の連携に積極的にICTを活用することが盛り込まれています。 このICTの活用について「国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター」が、全国の自治体に調査をおこなっています。それによると、2017年はICTの活用に対して自治体の約半数が否定的でしたが、2021年には9割が肯定的な回答をしたという結果になったそうです。 この調査結果は、この数年の間にICT活用が一般的になってきたことに加えて、感染拡大による影響もあるのかもしれません。 特に実地指導については、緊急事態宣言などを受けて延期するなど、通常通りの運用ができていない実情がありました。また、介護事業所は外部の人との接触に特に神経質になっているため、オンラインツールの使用や、web上で手続きを完結させることなどの要望があったのかもしれません。 そういった現状を踏まえて、この数年で自治体としてもICT導入への姿勢を変えざるを得なかったと考えられます。 どうやら自治体もICTへの意識が高まっているようです。ようやく自治体や介護現場にも、本格的なICTの波がくるのかもしれませんね。
2022/01/24
労働安定センターが「介護労働実態調査」で、介護職員の処遇改善や雇用継続制度など、介護現場の現状についてヒアリングしています。 その中でもICT機器の活用は、依然として課題になっているようです。介護施設の約25%がパソコンやタブレット端末といったICT機器を導入していない状況。中でも入居型の施設の約35%が、ICT機器をまったく使っていないという結果になりました。 導入の一番のネックはコスト面。導入コストが高いため二の足を踏んでいる事業所が多いようです。 小規模事業者ならではの導入障壁か 「介護労働実態調査」の結果、介護事業所の約25%がICT機器をまったく導入していないことがわかりました。一方で、導入している事業所の半数が「パソコンで利用者情報を共有している」と回答。まずはケアプランや介護記録などの管理のために、ICT機器を導入する事業所が多いようです。 しかし、職員の労務管理に関わるシステムの利用は少ないのが現状。「給与計算、シフト管理、勤怠管理を一元化したシステムを利用している」と回答したのは、約15%に留まりました。 導入が進まない理由としては、「導入コストが高い」が約50%、「設置や保管等に場所をとられてしまう」と「投資に見合うだけの効果がない(事業規模から考えて必要ない)」が約25%という結果に。介護事業者は小規模なところが多いので、資金が不足していたり、事務所が狭かったりしてICT機器を導入できない事情があるようです。 ICT活用が職員・利用者のプラスに 以前から介護業界のICT活用は問題とされていましたが、まだ解決されているとは言えないようです。特に、老人ホームなどの入居型施設での導入が進んでいないのが実態。しかし、24時間介護をおこなう入居型施設こそ、ICT機器の効果が高いのではないでしょうか。 入居型施設では昼夜問わず介護がおこなわれます。特に夜間帯は職員が少ないため、利用者の体調が変化したときの対応は重要です。利用者のバイタル、顔色、言動など記録することがたくさんあるでしょう。 それをタブレットなどで簡単に記録できれば、職員の負担は大きく減ります。次のシフト勤務者に申し送りする記録が手軽に作れるようになれば、業務の効率化だけでなく介助の安全性にもつながるのではないでしょうか。
2022/01/18
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。