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Q&A

認知症

認知症 施設入居 介護疲れ

認知症の親を介護施設に入れようとしたら「親不孝者!」と親戚が猛反対。施設に入居させるのはいけないことですか?

親を介護施設に入れるのは親不孝ですか? 父の認知症がひどくて、常に目が離せない状態です。父は週6回、デイサービスに通っていますが、デイサービスのない日曜日やデイサービス以外の時間は、家族の誰かが付き添わないといけません。 家事に介護に仕事に…もう疲れました。なので、介護施設に入れようと思ったら親族に「親不孝者!」と言われてしまい…。もうどうして良いかわかりません。 (桑原さん・パート・64歳) 親御さんを介護施設に入れるのは、まったく親不孝なことではありませんよ!在宅介護はとても大変です。しんどいと感じても、そのまま頑張りすぎてしまうと、介護離職や介護うつになりかねません。なので、認知症の方を受け入れているグループホームや有料老人ホームなどの介護施設に入居するのは、桑原さんのためでありお父様のためにもなりますよ。 認知症の親を介護施設に入れるのは親不孝? 父の認知症がひどくなって、怒鳴り散らしたり、廊下などでおしっこをしてしまったり、目を離せなくなってしまいました。週6回デイサービスに通っているものの、デイサービス以外の時間やデイサービスのない日は常に家族の誰かが付き添っていないといけない状態です。仕事も家事も介護も…となると、もう限界。でも、父を介護施設に入れようと思ったら、親族に「親の介護は子どもの役目だろう、親不孝者!」と言われてしまって…。介護施設に入れるのは親不孝なのでしょうか? そんなことはありません!!在宅介護はとても大変なことです。認知症の方の介護は、特に大変なことでしょう。介護を支えている介護保険制度は、ご家族だけでなく社会でご高齢者を支援するために生まれました。今、利用されているデイサービスと同じように、介護施設に入居することも介護サービスのひとつですから、罪悪感を持たなくて良いんですよ。 そうなんですかね…。 桑原さんは「すべて自分がやらないと」と思っているかもしれませんが、介護は誰かの助けを借りたり、介護サービスを使いながらするものです。お父様が安心して生活するためにも、積極的に介護サービスを活用していきましょう! 入居後は頻繁に面会に行こう もしお父様が介護施設に入居したら、頻繁に面会に行きましょう。面会時におしゃべりや散歩、外食など、一緒に過ごす時間を意識して作ると良いでしょう。 それはどうしてですか? 今まで同居されていた親御さんが介護施設に入ると、一緒に過ごす時間が途端に減りますよね。家事や介護や仕事で精一杯な状況だと、一緒の時間を楽しむ余裕がないですが、施設に入って余裕ができることで一緒に過ごす時間を楽しめると思いますよ。適度な距離ができて一緒の時間が少なくなったからこそ、その時間を大切に感じられるようになると思いますよ。 「介護がしんどい」をそのままにしておくと…? うーん…。デイサービスを使えば、まだ自宅で介護を続けられそうですし、もう少しがんばろうかなとも思うんですが…。 桑原さんが無理をしていないのであれば、それでも良いと思います。ただ、無理をして介護を続けるのであれば、「介護離職」や「介護うつ」になってしまわないかが心配なんです。 介護離職と介護うつ、ですか? それぞれについて、詳しくお話ししますね。 介護離職 介護離職とは、介護が理由で仕事を辞めることです。当然ながら、収入が減って経済的に苦しくなりますし、おすすめはできません。 でも、仕事を辞めたら介護に集中できますし、時間に余裕ができそうですが…。現に私はパートの時間を短くしてもらっています。 確かに、仕事をしていた時間を介護や家事に回せるので、余裕ができるように思うかもしれません。でも、以下のように、「介護離職をしても負担が減るわけではない」という調査結果が出ているんです。 出典:「分科会B:介護~仕事と介護の両立 社員や企業が地域社会とつながることの可能性~」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング) 経済面の負担だけでなくて、精神面での負担も増している人が多いんですね!なぜでしょうか。 おそらく、仕事を辞めたことで生活が”介護一色”になってしまい、精神的な負担が大きくなったんでしょう。仕事を辞めると家庭の外との交流が一気に減りますから、気持ちの切り替えができずに、追い詰められてしまう可能性もあります。 私も離職を考えていましたが…仕事は辞めない方が良いんですね。 介護離職については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 介護うつ 介護うつとは、介護が原因でうつ状態になることです。介護をする人は心身ともに疲労が溜まりやすいうえに、介護を受ける人のことを優先してしまいがちなので、うつになりやすいんです。 うつ病ですか…。確かに介護で常に疲労が溜まっていますが、どんな状態だと介護うつだと言えるのでしょうか? 例えば、以下の中に思い当たるものがあれば、介護うつになっているかもしれないので、受診をおすすめします。 食欲がない 急に体重が減った 疲れているのに眠れない 何をするにも気力が湧かない 慢性的に頭痛や肩こりがある 常に気持ちが焦っている ネガティブ思考になりがち 食欲がなかったり、慢性的な頭痛や肩こりはありますね…。たまに眠れないときもあります。 もしかしたら、介護うつの状態かもしれません。まずは桑原さんの体調を優先して、病院へ行きましょう。介護疲れに関しては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の人が入れる施設 北野室長の話を聞いていたら、やっぱり介護施設に父を入れた方が良いような気がしてきました…。在宅介護はこれ以上続けるのは難しいかもしれません。認知症の父でも入れる施設ってどんなところなんでしょうか? 施設入居について具体的に考えていただけて良かったです!認知症の方を受け入れている介護施設は、主に以下のようなものです。 グループホーム 有料老人ホーム 特別養護老人ホーム グループホーム グループホームは、認知症の方だけが入居できる施設。認知症の方の特性を理解したケアを提供しています。例えば、ユニットと呼ばれる最大9名の少人数単位で共同生活しており、認知症の影響で新しいことを覚えるのが苦手になった方でも、顔を覚えやすいように配慮されています。 共同生活ですか。父にできるかなぁ。 掃除や食事の準備などをご入居者がおこないますが、スタッフがサポートしながらなので問題ないと思いますよ。 有料老人ホーム 有料老人ホームも、認知症の方が入居できる施設のひとつです。有料老人ホームには、「介護付き有料老人ホーム」と「住宅型有料老人ホーム」があります。介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐、看護師も日中常駐しています。そのため、夜間帯にトイレ介助やオムツ交換が必要な場合や、持病などで健康面で不安がある方も入居可能です。もちろん、介護が十分配置されているので、認知症の方のケア体制もしっかりしていますし、終身利用が可能です。 父は高血圧なので、看護師さんがいるのは嬉しいですね。それに、トイレの誘導をしないとトイレまで行けないので、夜中も介護が必要なんですよね…。もうひとつの住宅型有料老人ホームは、どんな施設ですか? 住宅型有料老人ホームは、利用できる介護サービスを自由に選べるのが特徴の施設。介護付き有料老人ホームが、施設に常駐しているスタッフが介護サービスを提供するのに対して、住宅型有料老人ホームでは、外部の介護事業者と契約をすることでサービスを受けられます。そのため、住宅型有料老人ホームではデイサービスや訪問介護などをご自分で選択し、自由に組み合わせて介護サービスを受けられるんですね。 特別養護老人ホーム 特別養護老人ホームは、要介護3以上の方が入居できる公的な介護施設です。民間の介護施設よりも安価で終身利用ができるため、とても人気の施設です。24時間の介護スタッフ常駐、日中の看護師の常駐など、しっかりした介護体制があります。認知症の方や寝たきりの方を介護をした実績も多数あるので、安心してお父様を任せられるでしょう。 安いのは助かります。それに、やっぱり最期まで介護してくれるところが良いですね。北野室長が教えてくれた施設を中心に、探してみようと思います。 介護施設はいろんなものがあって迷うことが多いと思います。もし、施設探しでお困りのことがあったら「いい介護 入居相談室」までお気軽にご相談くださいね。 親を介護施設に入れることは親不孝なことではない! 介護疲れをそのままにしておくと、介護離職・介護うつのリスク大 認知症の人が入れる施設には、グループホーム、特別養護老人ホームなどがある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/09/28

認知症 施設入居 老人ホームの暮らし

認知症の母親へのプレゼントはどうしたら良い?介護施設の母に誕生日プレゼントをあげたいです

認知症の母親へのプレゼントにおすすめのものはありますか? 数ヵ月前に老人ホームに入った母親に、誕生日プレゼントを贈りたいと思っています。ただ、認知症が進行していることや老人ホームに住んでいることで、贈ってはいけないものがあるのでは、と気になっています。 (八木さん・会社員・58歳) すてきですね!でしたら、ご家族や思い出の写真、お母様の好きなお菓子などをプレゼントするのはどうでしょうか?ただ、注意しておきたいのが、お母様の身体状況や飲んでいる薬などによって食べられないものがあるかもしれないことです。それに、認知症の方にプレゼントを贈ってもそれが自分のものと認識できないことがあり、それが不安の原因になってしまうこともあります。 認知症の親におすすめのプレゼントは? 数ヵ月前に老人ホームに入った認知症の母に、誕生日プレゼントを贈りたいと思っています。認知症の人へのプレゼントにおすすめのものはありますか? 誕生日プレゼントですか!すてきですね!例えば、次のようなものはどうでしょうか? 家族の写真 好きなお菓子 塗り絵 クロスワードパズル ご家族や思い出の写真を写真立てに入れてプレゼントするのもおすすめです。昔のことを思い出すのは、「回想法」と言って、認知症の方のリハビリとしても取り入れられています。写真を見ながら、昔の思い出をお母様にお話ししてもらうのも良いと思いますよ。また、認知症が軽度の方や、認知症の一歩手前の軽度認知障害の方になら塗り絵やクロスワードパズルなどの脳トレグッズをプレゼントしても良いかもしれませんね。 うーん、母は認知症が進んでしまったので、脳トレグッズは使えないかもしれないです。でも、昔の写真は良いですね!考えてみます。 また、”モノ”のプレゼントだけでなく、”コト”のプレゼントもおすすめです。 ”コト”のプレゼントですか?どういうことですか? つまりは、一緒に過ごす時間を作るということです。認知症になると、直近の出来事の記憶がなくなりますが、感情の記憶は覚えていると言われています。そのため、一緒に外食したり旅行に行ったり、散歩や買い物に出かける時間をプレゼントするのもおすすめです。老人ホームに入って一緒に過ごす時間が短くなっているので、プレゼントにぴったりだと思いますよ。 一緒に過ごす時間かぁ。気にしたことがなかったです。それも良いかもしれません。 認知症の親へのプレゼントで注意したいこと 母の認知症が進行してしまっているんですが、プレゼントするのに気をつけることはありますか? 認知症ということだけではなく、ご高齢ということや老人ホームに入居されている点でも、気をつけることがあります。特に以下のものは、プレゼントすると迷惑になってしまうことがあります。 においの強いもの 生きた植物 壊れやすいもの 確かに、老人ホームで生活している人ににおいが強いものや壊れやすいものをプレゼントしたら、他の人の迷惑になったり、怪我をしたりしてしまいそうですよね。でも、生きた植物が迷惑になるのはどうしてですか? 生きた植物、例えば、生花の花束や植木鉢などは、受け取った方が世話をできない場合、スタッフさんの負担になってしまうことがあるからです。なので、お花を贈る場合は、世話をしなくても良い造花のお花にすると喜ばれるでしょう。 プレゼントが混乱の原因になることも 認知症の方の場合、置物や飾り物などのプレゼントが、混乱の原因になることがある点は頭に入れておいてください。 え?どういうことですか? 認知症の方は直近の記憶から忘れてしまいます。なのでプレゼントをもらっても、もらったことを忘れてしまうかもしれません。そして、認知症の方は見慣れないものがあると、「見慣れないものがある。誰のだろう?」と不安を感じることがあり、それが混乱の原因になってしまうことがあるんです。 認知症だからあげても忘れてしまうかも、とは思っていたのですが…。混乱させてしまうこともあるんですね。 また、自分へのプレゼントということを忘れてしまって、捨ててしまう可能性もあります。捨てられているのを見たら、プレゼントした方も悲しくなりますよね。もしかしたら、食べ物や日用品などの消耗品の方が、認知症の方へのプレゼントには向いているかもしれません。 食べ物を贈るときの注意点 食べ物をプレゼントする場合も注意が必要です。 食べ物は喜ばれそうですが…なぜですか? ご高齢者の場合、噛んだり飲み込んだりする力が低下していることが多いです。そのため、固いものや噛み切りにくいものは食べられないためNG。老人ホームに入居後に噛んだり飲み込んだりする機能に変化がないか、事前に施設に問い合わせておきましょう。また、飲んでいる薬によっては食べられないものがあります。「老人ホームに入居している間に飲んでいる薬が変わっていないか」「食べてはいけないものがあるか」をプレゼントする前に確認しておいてくださいね。 薬によって食べられないものがあるんですね!知らなかったです。 あと、賞味期限が短いものも避けた方が良いでしょう。多くの老人ホームで食事が出ますし、ご高齢者は食が細くなっていることから食べきれない可能性があります。お菓子の詰め合わせなどをプレゼントするときは、賞味期限が長いものを選んでくださいね。 お菓子もプレゼントの候補に入れていました。賞味期限に要注意ですね。 老人ホームの親に宅配便でプレゼントする場合 仕事のため、誕生日当日には母に会いに行けそうにありません。なので、宅配便でプレゼントを送ろうと思っているのですが、注意しておくことはありますか? まず、気をつけたいのが宛名です。老人ホームは、1つの建物にたくさんの人が暮らしているので、宛名を正確に書くことが大切です。以下のことに気をつけましょう。 施設名を正式名称で書く 宛名をフルネームで書く 大規模施設の場合、階数や部屋番号を書く また、念のため、宅配便でプレゼントを送ることを施設に連絡を入れておきましょう。介護が必要な方の場合、ご自分でダンボールや包装紙を開けられないことが多いですから、施設のスタッフさんに開けてもらって、ご本人に手渡してもらうようにお願いしておくと、スムーズに対応してくれるでしょう。 老人ホームの親に直接プレゼントする場合 もし、老人ホームを訪ねてご本人に直接プレゼントする場合、面会は15~17時の時間帯がおすすめです。 15~17時ですか。何か理由があるんですか? 15~17時の時間帯は、多くの施設で自由時間としていることが多いからです。夕食までの時間で近所を散歩したり買い物に出たりしやすい時間でもあるので、面会にピッタリなんです。反対に、一緒に外食に出かけたい場合は10~11時に老人ホームを訪ねると良いでしょう。ドライブして昼食を摂って、買い物などをして午後に帰ってくる…というお出かけがしやすいからです。外食をする場合は、数日前には老人ホームに連絡して昼食を止めるようにお願いしてくださいね。 お昼を一緒に食べに出かけるのも良いですね!次はそうしようかな。 家族の写真、好きなお菓子などが認知症の人へのプレゼントにおすすめ ”モノ”だけでなく、一緒の時間を作る”コト”のプレゼントもおすすめ もらったものが自分のものと認識できずに不安の種になる可能性も… pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; ...

2023/09/27

認知症 老後の備え

認知症の母親が勝手に自宅の売却契約を…。取り消しはできますか?

認知症の母親が実家で一人暮らしをしているのですが、勝手に実家の売却契約をしてしまったようで困っています。契約の取り消しはできますか? 実家で売却契約の書類を見つけたので母に聞いてみても、「何の書類かわからないのよね」と契約したことすら覚えていない様子。認知症のせいでとんちんかんなことを言うようになった母親が、自宅の売却契約を理解できているとは思えません。 このままでは、母の住む場所がなくなってしまいます!どうしたら良いですか? (岡さん・パート・63歳) お母様は認知症の影響で判断能力がないとして、契約を無効にできることがあります。ただ、契約内容をよく理解できていないお母様に、半ば無理やり契約させた可能性があるので、契約の取り消しを不動産業者が対応しないおそれがあります。そこで、困ったときには消費者ホットラインに相談してください。「188(いやや)番」が消費者ホットラインの番号です。契約内容に不審な点がある場合も、まずは相談することが大切です。 認知症の親が勝手に自宅を売却!?取り消しできる? 実家で一人暮らしをする母親が、勝手に実家の売却契約をしていることがわかりました。契約書が実家で見つかったので気がついたのですが、その書類のことを母に聞いてみても「何の書類かわからないのよね」と、契約した記憶もないようです。実家を売却したら、母が住む場所がなくなってしまいます!契約の取り消しはできますか? 契約の取り消しはできないのですが、認知症の方が結んだものは契約自体が無効となる可能性があります。2020年に民法の改正がおこなわれ、 認知症などで意思能力がない人がおこなった契約は無効となることが追加されています。 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。 引用:「民法 第3条の2」 つまり、母が結んだ契約はなかったことにできるということですか? そうです。実際に裁判では、認知症によって意思能力がないと判断された人が結んだ契約が無効となった事例もあります。まずは、契約を結んだ不動産業者に連絡して、お母様が認知症で契約を理解していなかった点を説明して、契約を無効にしてもらいましょう。 困ったときは消費者ホットラインに相談 契約内容を確認したところ、自宅の売却額は相場より低く、こちらに不利な内容でした。母も受け答えがきちんとできたとは思えませんし、母が認知症とわかって理不尽な契約内容にしたように思えます。こんな内容の契約を結ばせる不動産業者に不信感しかありません!不動産業者に連絡したところで、契約を無効にしてもらえないような気がするのですが…。 おっしゃる通り、認知症の方をねらった悪質な業者は存在し、認知症の方が被害にあう消費者トラブルは絶えません。もし、契約内容に不審な点がある場合は、消費者ホットラインに相談してみましょう。電話番号は「188番」。「いやや」で覚えてください。この消費者ホットラインに電話すると、近くの消費生活相談窓口を紹介してくれます。認知症のお母様が、不利な内容の契約を結ばされたことを伝えてくださいね。 クーリングオフはできない そういえば、「クーリングオフ」という制度がありますよね?あれを利用すれば、契約の取り消しができるんじゃないですか? いえ、クーリングオフ制度は家の売却の際には適用されないんです。 えっ!?そうなんですか! クーリングオフは、一定期間内であれば商品の購入などの取り消しができる制度。これには適用できる内容が決められており、自宅の売却は適用されないんです。 成年後見制度を活用しよう 今回は、認知症のお母様が不利な内容の契約をしてしまいましたが、今後、そういったことがないように成年後見制度を利用することも検討してみてください。 成年後見制度ですか。聞いたことはありますが、よくわからないんですよね。 成年後見制度とは、認知症や障害などで判断能力が低下した人を支援する制度です。具体的には、財産管理や福祉サービスなどの契約といったことを後見人が代理でおこないます。後見人には、ご家族やご親族がなることも可能。また、弁護士などの士業に依頼もできます。 成年後見制度は2種類ある 成年後見制度を利用するときに紛らわしいのが、成年後見制度には2つの種類があることです。以下の2種類です。 法定後見制度 任意後見制度 法定後見制度 法定後見制度は、判断能力が不十分な人の代わりに契約などの法律行為をおこないます。今回のように、認知症の影響で契約内容を正しく理解できない状態で契約を交わしてしまっても、後見人が契約を解除できるんです。 任意後見制度 任意後見制度は、判断能力が低下してしまったときの備えとして後見人を立てておく制度です。まだご本人に判断能力があるうちに後見人を立てられるので、安心して任せられる人をご本人が後見人として選べるという特徴があります。任意後見制度については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 母の場合、法定後見制度と任意後見制度なら、法定後見制度を利用すれば良いんですね!それで、私が後見人になれば、今回のように母が悪い業者と不利な契約をしてしまっても、取り消しできるようになるんですね。 おっしゃる通りです。今後もお母様や岡さんが安心して生活できるように、対策していきましょう! 認知症の人が結んだ契約は、無効となることがある 不審な契約は消費者ホットライン「118(いやや)」に相談 成年後見制度を活用して、不利益な契約を結ぶのを防ごう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2023/09/26

認知症 認知症検査

高齢の母親が同じ話を繰り返すように。これは老化?認知症?

実家で一人暮らしをしている母が、最近、同じ話を何度も繰り返すようになりました。同じ話を何度も聞かされたり、同じ質問を何度もするんです。 はじめは「年齢が年齢だし」と、老化のせいだと思っていたのですが、友人から「認知症かも」と言われて心配です。 母が同じ話を繰り返すようになったのは、老化のせいなんでしょうか?それとも、認知症になってしまったんでしょうか? (川島さん・会社員・62歳) ご高齢者が同じ話を繰り返す理由は、老化によるもの、認知症によるもののどちらの可能性もあります。そのため、認知症かどうかを確かめるときは、「慣れた道で迷う」「話のつじつまが合わない」「段取りが悪くなった」といったその他の認知症の症状がないか、チェックしてください。もし、「認知症かも」と思ったときは、早めに精神科や脳神経科などの認知症の診断ができる病院で検査を受けましょう。 同じ話を繰り返すのはただの老化?認知症? 実家で一人暮らしをする母が、最近、何度も同じ話をします。同じ内容の話を繰り返し聞かされたり、数時間前にした質問をまたしてくるんです。はじめは年齢も年齢なので、「老化のせいかな」と思っていたのですが、友人から「認知症かもしれないよ」と言われてとても心配で…。同じ話を繰り返すのは、老化のせいなのか認知症のせいなのか、どちらなんでしょうか? うーん。今の話では何とも言えませんね…。というのも、ご高齢者が同じ話を繰り返すのは、老化による場合と認知症による場合のどちらもあるからです。詳しくお話ししていきますね。 老化によるもの 老化によって同じ話を繰り返すようになった場合、主に「聴力の低下」と「記憶力の低下」の2つの理由が考えられます。まず、聴力の低下とは、加齢によって耳が聞こえにくくなっているということ。自分の話していることが相手にきちんと伝わっているのかが不安になって、確認するために何度も同じ話をするわけですね。加齢による物忘れと認知症の記憶障害の違いについては、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 なるほど。年齢とともに母は耳が遠くなっているような気がするので、当てはまるかもしれません。テレビの音が大きくなっていますし…。 また、認知症でなくても加齢によって記憶力が低下します。なので、話したかどうか記憶が曖昧になってしまって、念のために何度も話をすることも。それに、用事の日時や場所なども忘れやすいので、確認のために何度も質問しているケースも考えられます。 認知症によるもの 認知症によって同じ話を繰り返す場合、「記憶障害」と「見当識障害」が原因だと考えられます。記憶障害の場合、話をしたことや質問したこと自体を忘れてしまっています。対して、老化による物忘れは、話したことや質問したこと自体は覚えているけど、内容は忘れてしまうのが特徴です。なので、周囲は「同じ話を繰り返している」と思っていても、認知症のご本人はそんなつもりは一切ないんですね。 そうなんですね。母も話をしたこと自体を忘れてしまっているのかな…。 もうひとつの見当識障害というのは、時間や場所などの自分を取り巻く状況を理解できなくなる症状です。そのため、「今、何時?」「今日は何日?」「ここはどこ?」などの質問を繰り返すことがあります。 認知症を見分けるポイントは? 母が同じ話を繰り返すのが、老化のせいなのか認知症のせいなのか、見分ける方法はありますか? 認知症の場合、同じ話を繰り返すこと以外にも初期症状が出ていることが多いです。そのため、以下のような症状がないか確認してみてください。 見当識障害 理解力の低下 実行機能障害 人格の変化 具体的な症状もお話ししますね。 見当識障害 見当識障害があると、日時や季節の感覚がなくなったり、今いる場所を把握できなくなったりします。そのため、以下のような症状が出ることがあります。 日時や季節がわからない 慣れた道で迷う 理解力の低下 認知症の影響で脳の機能が低下した結果、理解力が低下することがあります。以下のような症状がないかチェックしてください。 テレビの内容が理解できない 質問に適切に答えられない 話のつじつまが合わない 料理や計算でミスが多い 実行機能障害 実行機能障害は、順番立てて作業することができなくなる症状。特に料理などの複数の作業を同時並行でおこなうものが上手くできなくなる傾向があります。 計画立てて行動できない 料理を段取り良く作れない 性格の変化 認知症によって脳が損傷を受けると、性格に影響を及ぼすことがあります。例えば、以前と比べて以下のような様子があったら要注意です。 ちょっとしたことで怒り、声を荒げたり手を上げる 身だしなみに無頓着になった 頑固になり周囲への配慮がない ひとりになると不安な様子がある 外出や人とのコミュニケーションを嫌がる 無関心で好きなことにも興味がない 無気力で何をするのも億劫がる 認知症かも、と思ったら 母の状態が認知症の初期症状に該当するものがいくつかあって、もしかしたら認知症なのかもしれません…。どうしたら良いんでしょうか? まずは、病院で認知症の検査を受けましょう。認知症の検査は、「精神科」「脳神経内科」「脳神経外科」「老年科」で受けられます。もし、直接、大きな病院に行くのが不安な場合は、かかりつけ医に相談してみてください。かかりつけ医が認知症の検査が必要と判断すれば、紹介状を作成してくれるでしょう。認知症の検査については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 まずは、かかりつけの先生に相談ですね。ちなみに、認知症の検査ってどんなことをするんでしょうか? 認知症の検査では、面談、身体検査、認知症検査がおこなわれます。はじめにご本人やご家族と医師が面談し、これまでの病歴や今の状態について話をします。その後、レントゲンや血液検査などの身体検査をおこないます。 レントゲンや血液検査もするんですね! いえ、最後に認知症検査をおこないます。CTやMRIで脳の画像を撮ったり、テスト形式で脳の機能のチェックをします。こうした複数の検査の結果をふまえて、総合的に認知症かどうかが判断されます。認知症は、早期の治療で進行を抑えられると言われています。そのため、ご家族が「認知症かも?」と思ったら早めに検査を受けてくださいね。 同じ話を繰り返すのは、老化と認知症のどちらの場合もある 認知症の場合、日時がわからなくなったり理解力の低下が見られることも 認知症かも、と思ったら早めに病院で検査を受けて pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/09/20

入院 認知症

入院すると認知症が悪化しますか?骨折で入院した母の認知症が進行しないか心配です

入院すると認知症が悪化するというのは本当ですか? 先日、母が転倒して骨折してしまい、病院に入院しました。友人から「入院すると認知症が悪化する」と聞いて、母の認知症が進行してしまうんじゃないかと心配です。 (三宅さん・パート・61歳) 認知症の方は、入院することで症状が進行することがあります。具体的には、徘徊をしたり大声を出したり、治療や介護拒否をするようになることがあります。認知症が悪化する理由は、入院前より活動量が減ったり環境が変化することによるもの。なので、入院中も規則正しい生活をしたり、ご家族が頻繁に連絡を取るなどしてできるだけご自宅に近い環境を整えましょう。もし、認知症が悪化した状態で退院を迫られたら、病院のソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談し、対応できる介護施設や病院を見つけることをおすすめします。 入院して認知症が悪化すると、どうなるの? 入院すると認知症が悪化するというのは本当ですか?実は、先日、母が自宅で転倒して骨折してしまい、入院しています。親の介護をしている友人から「入院すると認知症が悪化する」と聞き、母の認知症が悪化してしまうんじゃないかと思って…。 実は、そうなんです。認知症の方が入院して症状が進行することはあります。 やっぱりそうなんですね!ちなみに、認知症が悪化するとどうなってしまうんでしょうか? 認知症の症状は個人差が大きいですが、進行すると一般的に以下のような症状が出ることがあります。 徘徊をする 大声を出す 暴力を振るう 治療・介護拒否をする 徘徊をする 認知症が進行することで、室内や屋外を当てもなく歩き回る「徘徊」の症状が出ることがあります。特に、脚を骨折している場合、骨折していることを忘れて歩いてしまうのでとても危険です。再び転倒してしまい、怪我が悪化したり、別の箇所を怪我してしまう可能性もあります。 認知症のせいで骨折していることさえも忘れてしまうんですね…。 大声を出す 大声を出すことも、認知症が進行して現れる症状のひとつです。同室や近くの病室の人の迷惑となってしまうので、状況によっては退院を迫られることもあります。また、ずっとベッド上で生活することで昼夜逆転してしまう傾向があります。そのため、夜間や早朝に大声で叫ぶことが多く、そういう面でも周囲の人に迷惑をかけてしまいます。 暴力を振るう 認知症の影響で感情のコントロールが難しくなることで、暴力的になることがあります。興奮して暴言を吐いたり、暴力を振るうことも。その結果、病院のスタッフや他の患者さんを傷つける可能性もあります。他の人を傷つける行為が続くと、退院を迫られることもあるんです。暴言や暴力については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 他の人の迷惑になる症状があると、退院を迫られることがあるんですね…。 治療・介護拒否をする 認知症の影響で理解力や記憶力が低下した結果、治療や介護を拒否することがあります。具体的には、腕から点滴の管を抜く、骨折した部位を固定しているギプスを動かしてしまう、といったことが起こるかもしれないんです。 拒否すると、なかなか治療が進まないですよね。そういう場合はどうするんですか? 治療拒否が強くて治療ができない場合、やむを得ず身体拘束がおこなわれる可能性があります。例えば、ミトン型の手袋をつけて指の動きを制限したり、手足をベッドに縛り付けて移動できなくする、などが身体拘束にあたります。もちろん、治療・介護拒否があると必ず身体拘束を受けるというわけではありません。緊迫性のある場合にしか認められませんから、頻繁に身体拘束がおこなわれているわけではありませんが、念のため頭に入れておいてくださいね。 入院による認知症悪化を防止する方法 認知症が悪化すると暴力を振るったり治療を拒否したり、大変な状況になりそうで怖いです。どうしたら、認知症の悪化を防止できるでしょうか? なるべくご自宅にいたときと近い生活をするのが良いでしょう。認知症の方は環境の変化が苦手なので、ご自宅での起床・就寝時間や習慣を病院でも継続するのがおすすめです。食事の時間など、どうしてもご自宅と同じようにはできないこともあるでしょう。なので「9時に新聞を読む」など、可能なところだけでもご自宅と同じように過ごせるようにしましょう。また、ご家族が頻繁に面会に行ったり、連絡を取るようにするのもおすすめですよ。 入院して認知症が悪化する原因 そもそも、治療をするために入院するのに、どうして認知症が悪化してしまうんでしょうか? 怪我や病気など、認知症以外の治療のために入院した場合、病院側は認知症よりも怪我や病気の治療が最優先になるので、どうしても認知症については優先度が下がってしまうんです。 じゃあ、認知症が悪化しても入院中に治療は受けられないんですか? そうなんです。認知症の治療は、精神科や脳神経科などの診療科でないとできないことが多いです。なので、骨折して整形外科に入院している場合、管轄外なので認知症の治療はできないでしょう。入院中に認知症が悪化する具体的な要因としては、以下の2点が考えられます。 入院前より活動量が減る 環境の変化 入院前より活動量が減る 入院すると、1日のほとんどの時間をベッドの上で過ごすようになるため、入院前よりも大幅に活動量が減ってしまいます。体を動かす時間が少なくなることはもちろん、活動をしないので脳への刺激も少なくなることで、認知症が進行しやすい環境になってしまうんです。 確かに。入院してからの母は、テレビを見ることしかすることがないのでいつも退屈そうです。それが認知症が進行しやすい環境だったんですね。 環境の変化 認知症の方は環境の変化が苦手です。そのため、病室という今までとまったく異なる環境がストレスとなって認知症が進行してしまうと考えられます。 環境が変化するだけで、認知症が進行するんですね! そうなんです。認知症の方は、新しい出来事や情報を覚えることも苦手になりますから、病院のスタッフさんや同室の患者さんなど見知らぬ人に囲まれることも不安感が強くなってストレスを大きくする要因になってしまいます。また、認知症の有無に関わらず、環境の変化に適応できないためにせん妄の症状が出るご高齢者は多いんです。 「せん妄」とは何ですか? せん妄とは、理解力や記憶力、注意力などが急に低下する症状です。認知症は理解力や記憶力、注意力の低下が長期的に起こりますが、せん妄は一時的なもの。多くは1ヵ月も症状が続かないとされています。せん妄は時間が経つと落ち着くことが多いので、心配しすぎず様子を見ることも大切です。とは言え、認知症が進行してしまわないよう、先ほどお話ししたようにできるだけご自宅と環境を近づける工夫をしてみてくださいね。 認知症が悪化したまま退院になったら…? 先ほどもお伝えしたように、怪我や病気など認知症以外の理由で入院した場合、そちらの治療が優先されます。そのため、その怪我や病気の治療が終わったら退院。認知症が悪化してしまっていても、退院を迫られることがあります。 えぇ!?そうなんですか!認知症が悪化した状態で帰って来られたら、家では介護できないかもしれません!どうしよう…。 落ち着いてください!もし、認知症が悪化してご自宅で介護ができない状態で退院となってしまった場合は、以下の方法をとってみてください。 病院のソーシャルワーカーに相談 地域包括支援センターに相談 認知症対応の病院へ転院 病院のソーシャルワーカーに相談 病院には、ソーシャルワーカーという退院後の生活について相談できる相談員が常駐していることがあります。まずは、ソーシャルワーカーさんに転院できる病院や介護施設がないか相談してみましょう。ソーシャルワーカーさんは、地域の医療や介護施設の情報を持っています。入院中のお母様の様子も理解しているので、まずはソーシャルワーカーさんを頼ってみましょう。 地域包括支援センターに相談 ご高齢者の生活については、地域包括支援センターに相談できます。 地域包括支援センターとは何ですか? 地域包括支援センターとは、介護支援専門員、社会福祉士、看護師といった福祉や医療の専門家が常駐している公共施設です。地域の介護施設や福祉サービスについて相談できます。退院後、介護施設に入居する場合でも在宅介護をする場合でも、地域包括支援センターに相談すれば総合的なアドバイスをもらえるでしょう。入居できる介護施設や利用できる介護サービスの紹介をしてくれることもありますよ。 認知症対応の病院へ転院 病院のなかには、入院して認知症の治療ができるところもあります。精神科や心療内科のある病院であれば、認知症の対応が可能ですよ。 認知症って入院して治療できるんですね。今も通院はしているのですが…。 先ほどお話ししたような、「大声を出す」「暴力を振るう」「治療・介護拒否をする」といった症状があると、介護施設やご自宅では対応が難しいケースが多いんです。認知症の専門家による治療やケアが必要な状態であると考えて良いでしょう。特に「認知症疾患医療センター」という認知症に特化した病院であれば、適切な治療を受けられるでしょう。 なるほど…。ちなみに、入院して認知症の治療ができる病院はどうやって探せば良いんでしょう? 病院のソーシャルワーカーや地域包括支援センターに相談してみましょう。認知症疾患医療センターについても情報を持っているので相談してみてくださいね。認知症の方が入院できる病院については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症が悪化すると、徘徊、暴力、治療拒否などの症状が出ることがある 環境の変化や活動性の減少で認知症が悪化する 退院するときは、ソーシャルワーカーや地域包括支援センターなどに相談して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: ...

2023/09/19

認知症

認知症の母親が嘘の通報で警察を呼ぶので、疲れ果てています。どうしたら通報しないようになりますか?

実家で一人暮らしをしている母親が、嘘の内容で警察に通報するので困っています。 「近所の人に財布を盗られた」といったことが多いのですが、私が母を殴ったという嘘の通報をされたことがあり、警察が私の家に何度か訪れたこともあるんです。 もちろん、私は殴っていませんし、財布も押入れの奥から出てきました。すべて嘘の内容なのですが、母は本当だと思い込んでいるようで通報を止めません。母の嘘の通報を止めさせる方法はありますか? (片岡さん・会社員・59歳) もしかしたら、認知症の周辺症状のひとつである被害妄想によって、お母様は警察に通報しているのかもしれません。その場合、不安感が強くなっている可能性があるので、お母様の話を否定せずに聞いてあげましょう。じっくり話を聞いてあげることで信頼関係が築かれ、困ったときは警察ではなくご家族に相談するようになるかもしれません。また、警察やご近所の人にお母様が認知症であることを伝え、被害妄想を話す可能性があることも共有しておきましょう。 認知症の親が警察を呼ぶ理由は? 認知症の母が何度も警察に嘘の通報をするので困っています。「近所の人に財布を盗まれた」など、物を盗まれたという内容が多いのですが、中には「息子に殴られた」という内容で通報されたこともあって、私の家に警察が聞き取りに来たこともあります。もちろん、私が母を殴ったことはありませんし、財布は押入れの奥などで見つかることが多いです。つまり、母が嘘の通報をしているわけです。どうして母は、嘘の通報をするのでしょうか? もしかしたら、認知症の影響かもしれませんね。 認知症のせいで嘘をつくようになってしまったんですか? いえ、おそらく、お母様はご自分が嘘をついているとは思っていないでしょう。財布を盗まれたことも、片岡さんに殴られたこともお母様のなかでは本当のことなんです。 えっ!?でも、どちらも本当のことではないですよ! 実は、認知症の周辺症状である「被害妄想」や「幻覚」の影響で、現実とは異なることを事実だと思いこんでしまうことがあるんです。被害妄想の代表的なものは、「物盗られ妄想」と「見捨てられ妄想」。財布やお金、大切なものを誰かに盗まれたと思い込んだり、家族や大切な人に捨てられたと思い込むことです。物盗られ妄想については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 まさに、母は物盗られ妄想をしているのかも! また、幻覚の代表的な訴えとしては、「知らない人が立っている」「誰かに悪口を言われている」といったもの。認知症によって脳がダメージ受けることで実際には存在しないものが見えたり、木や柱が人に見えたりするのが幻覚の症状です。幻覚がエスカレートすると、「泥棒に入られた」「誰かに命を狙われている」という通報をすることも考えられます。幻覚については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 でも、実際は物を盗まれたり、命を狙われていることはないんですよね?どうしてこんなことを思い込んでしまうんですか? 主な原因は、不安感が強くなっているからです。例えば、物盗られ妄想の場合、大切なものをなくさないようにどこかにしまい込んだのに、認知症の影響でしまった場所やしまったこと自体を忘れてしまいます。でも、忘れたことを認めたくなくて、「大切なものをなくすはずがない。誰かに盗まれたんだ」と思い込んでしまうんですね。 母も認知症による物忘れがありますが、物忘れからそんな妄想に発展するんですね…。 認知症の方は、記憶力や理解力の低下によって、不安感を抱きやすい状態です。そのため、ちょっとした出来事が不安の種になり、それが大きくなって被害妄想や幻覚につながると言われています。 認知症の親が警察を呼ぶのを止めさせるには? 母が嘘の通報をする理由がよくわかりました。母が警察を呼ぶのを止めさせる方法はないでしょうか? 方法はあります。それはお母様の不安を取り除いてあげること。ただ、この方法は即効性のあるものではないので、根気良く続けていく必要があります。具体的には以下の方法があります。 話を否定しない 自尊心を傷つけない対応をする 介護施設に入居する 話を否定しない お母様が事実とは異なる話をしても、話を否定しないことが大切です。例えば、「財布を盗られた」と言われたときに、「誰も盗ってないよ。自分でしまったんでしょ」と返すのはNG。お母様のなかでは財布が誰かに盗まれたのは事実なので、否定されると不安になってしまいます。 では、何と言えば良いんですか? 「家の中を探してみようか」と言って一緒に財布を探すのもひとつの手。もし、興奮しているようでしたら、「財布が盗まれたんだね」と同じ言葉を繰り返しながら話を聞くのも良いでしょう。否定をせずに言葉を繰り返して話を聞くだけでも気持ちが落ち着くことがありますよ。 話を聞くだけでも良いんですね。 不安を大きくする要因が、「誰も理解してくれない」「誰も頼れない」という孤独感であることがあります。なので、話を否定せずに受け入れた後に一緒に探しものをすれば、「家族が話を聞いてくれる」「家族に頼れる」と安心できるでしょう。安心できれば、警察ではなくご家族に相談するようになるかもしれません。 自尊心を傷つけない対応をする 認知症による被害妄想は、「誰にも必要とされていない」「自分は邪魔な存在だ」という気持ちがきっかけになることがあります。認知症の進行によってできることが減ったり、ご家族に介助をしてもらうことが増えてきて自分に自信がなくなることで、こうした気持ちになることが増えるんです。すると、「家族に必要とされていないから、見捨てられた」「邪魔な存在だから、自分を殴るんだ」といったように、妄想がエスカレートしてしまうことがあるんです。 母が、「息子が殴った」と嘘を言うのは、「自分は邪魔な存在だ」という妄想がエスカレートした結果だったんですね…。 そのため、お母様に自信を取り戻してもらいましょう。それには、「家族に大切にされている」とお母様に感じてもらうことが必要です。具体的には、お母様が妄想を訴えたときにはご家族が話を受け入れる。話をするときは目線を合わせて話す。簡単な家事や作業をお願いするのも良いでしょう。 介護施設に入居する 夜中に警察を呼んだり認知症の症状が進行して、ご家庭では対応が難しいと感じた場合は、介護施設への入居を検討してみましょう。介護スタッフによる見守りがある施設に入居すれば、お母様が通報する回数は減りますし、通報をする前に異変に気がついて対応してもらえるでしょう。 介護施設か…。考えたこともなかったですが、母が嘘の通報を止めないには検討しないといけないかもしれません。ちなみに、どんな施設であれば、認知症の母を受け入れてもらえるんですか? 以下の介護施設であれば認知症の方の対応をしてもらえるでしょう。 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 それぞれの施設で入居条件が異なりますので、入居前に必ず確認をしてくださいね。 地域や警察と連携しよう 母が嘘の通報をしたことで警察が実家に来たことが何度もありますし、私の家まで来て調査されたこともあるんです。ご近所の人から私が「母に暴力を振るっている」と思われているんじゃないかと気になって…。 ご近所の目は気になりますよね…。なので、事前に警察やご近所の方に、お母様が認知症であることを共有しておきましょう。 母は認知症だから嘘の通報をすることがある、と警察には言ってあります。でも、近所の人にも母が認知症であることを言う必要があるんですか?隠しているわけではないのですが…。 ご実家と片岡さんのご近所の方にお母様が認知症であることや、認知症の影響で警察に嘘の通報してしまうことを言っておけば、警察が家に来ていても理解してもらえるでしょう。また、特にご実家のご近所さんは、お母様に異変があったときに片岡さんに連絡してくれるかもしれません。別々に暮らしていると、どうしても片岡さんの目が届かない部分が出てきてしまいますから、警察やご近所の方も一緒にお母様を見守ってもらえる体制を作っておくと安心ですよ。 話を否定しない、プライドを傷つけないなどの対応で警察を呼ぶのを予防できる 警察を呼んでしまっても大丈夫なように、地域の人や警察と連携しよう 不安が強くなると、被害妄想や幻覚などの症状によって警察を呼んでしまうことも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/09/19

認知症 在宅介護

認知症の父親の暴力がひどくてあざだらけ…。どうしたら良いですか?

約2年前に認知症と診断された父と同居して介護しています。以前はそんなことはなかったのに、この半年ほど父がちょっとしたことで怒って、私や母を殴ったり物を投げるようになりました。 母も私もあざだらけで、いつ殴られるのかおびえながら生活しています。こんな父にはどのように対応したら良いですか? (内山さん・会社員・56歳) 暴力行為があると、内山さんもお母様もかなり不安な日々を過ごしていらっしゃると思います。ですので、まずはできる範囲で距離を取りましょう。お父様が怒り始めたら、別の部屋などに移動して物理的に離れる、デイサービスやショートステイなどで離れる時間を作る、といった対応です。認知症になると、感情をコントロールする脳の機能が低下して、ちょっとしたことで暴力的になることがあります。また、不安やストレスを感じて暴力的になっていることがあるので、力で抑えようとしたり身体拘束をするのはNG。さらに暴力行為がエスカレートするおそれがあります。あまりに暴力行為が激しいときは、精神科のある病院への入院も検討してくださいね。 暴力は認知症の「周辺症状」のひとつ 認知症の父から殴ったり蹴ったりの暴力を受けることが増えて困っています。認知症のせいか物忘れがひどくなり、忘れている出来事を指摘すると怒鳴りながら殴りかかってきます。また、家電などの道具類も使い方がわからなくなり、いらだって庭に投げ捨てて壊すことも…。父は一度怒り出すと手を付けられず、私も母もあざだらけ…。何がきっかけで怒るのかわからないので、毎日おびえながら生活しています。急に暴力的になったのは、認知症のせいなんでしょうか? おそらく、認知症のせいだと思われます。暴力は認知症の「周辺症状」の代表的なもののひとつ。周辺症状とは、認知症のメインの症状「中核症状」や心理状態に影響して引き起こされる症状のことで、「行動・心理症状(BPSD)」とも呼ばれます。認知症の中核症状には、物忘れや理解力の低下などがあります。周辺症状は、それらの中核症状が原因となって現れているんです。 うちの父は物忘れがひどいのですが、それが原因で暴力を振るっているということですか? はい、その可能性もありますね。ただ、物忘れは多くの認知症の方に現れる症状ですが、物忘れの症状がある方全員が暴力行為をするわけではありません。その方の状況などによって、個人差が大きいのが周辺症状の特徴なんです。 認知症の種類によっては暴力の症状が出ることも ちなみに、お父様の認知症の種類はご存知ですか? はい。血管性認知症です。認知症の種類が暴力を振るうことに関係があるんですか? そうなんです。実は、認知症のなかには暴力行為が起こりやすい種類があります。それが、「脳血管性認知症」と「前頭側頭型認知症」です。血管性認知症は、感情のコントロールが難しくなるのが特徴。脳血管の障害によって起こる認知症なので、障害がある脳の部位と正常な部位との機能の差が生まれ、意識がはっきりしている時間とそうでない時間があります。意識がはっきりしないときがあることを、ご自身で認識できる場合もあるので、精神的に不安定になる方も。そのため、不安が大きくなってちょっとしたことで暴力を振るいやすいんです。 えぇっ、父はそんな状態だったんですね…。 また、前頭側頭型認知症は、人格や社会性、言語などをつかさどる脳の部位が損傷しています。そのため、ルールを守った行動ができなくなったり、少し気に入らないことがあると暴力を振るうことがあるのが特徴です。 認知症の人の暴力はどう対応する? 毎日、父の顔色をうかがいながら生活するのはもう嫌です!どうにかならないでしょうか? そうですね…。対応策としていくつかお伝えしましょう。例えば、以下のような方法です。 物理的・心理的に離れる 薬で治療する 在宅介護サービスを利用する 介護施設に入居する 物理的・心理的に離れる まずは、物理的にも心理的にも距離を取りましょう。具体的には、お父様が怒り出したタイミングで、別の部屋へ移動したり、落ち着いているときに音楽などを聞いてご自分のリラックスタイムを作る、といったようなことです。取り急ぎの対応方法ではありますが、意識的に距離を取ってみると、内山さんやお母様の気持ちが多少楽になると思いますよ。 薬で治療する 薬を使えば、お父様の状態が落ち着くこともあります。既に服薬している薬がある場合は、飲み合わせの問題もあるので、「お薬手帳」を持ってかかりつけ医に相談しましょう。また、認知症の薬を服薬している場合、別の薬に変えたり量を調整することで、症状が良くなることも。暴力を振るわれていることを医師に伝えてみましょう。 在宅介護サービスを利用する 在宅介護サービスのなかでも、「デイサービス」と「ショートステイ」を利用するのがおすすめです。デイサービスは、介護施設に通って介護サービスを受けられるもの。昼間の時間帯に介護施設が預かってくれるので、ご家族が安心して過ごせる時間を確保できます。また、認知症だけが利用できる「認知症デイサービス」というものもあります。認知症デイサービスであれば、認知症ケアに慣れた職員がそろっているので、適切なケアによってお父様の状態も落ち着くかもしれません。 へぇ!認知症の人限定の介護サービスがあるんですね。ちょっとでも父を預かってくれれば、私も母も安心できます。 また、ショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービス。宿泊している間の食事、入浴、レクリエーションなどのサービスを提供しています。デイサービスよりも長時間、介護施設が預かってくれるので、ご家族のリフレッシュとして活用している方が多いですよ。 それは助かります!父に気を使わなくて良い日が1日でもあると、気が休まりそうです。 介護施設に入居する もし、ご自宅での介護が難しい状況であれば、介護施設への入居も検討してください。以下の施設であれば、認知症の方への対応に慣れているので対応できるでしょう。 特別養護老人ホーム 有料老人ホーム グループホーム ただ、お父様の暴力が職員さんや他のご入居者にも及ぶ場合、入居を断られる可能性も。介護施設の受け入れ状況やお父様の状態にもよりますので、介護施設によく相談してみてください。 暴力行為があると、介護施設でも入居ができないことがあるんですね…。 暴力があまりにもひどいときは病院へ 先ほどお話しした通り、暴力行為がある方は介護施設の入居が断られる可能性があります。これは、有料老人ホームなどの長期入居型の施設だけでなく、デイサービスなどの在宅介護サービスでも同様で、利用を断られる可能性があります。 そんな!では、父におびえながら私と母が自宅で介護するしかないんですか!? いえ、誰にも手がつけられないほど怒ったり、暴力を振るう場合は、病院での治療が必要な状態と言われています。そのため、介護施設で受け入れられないほどの暴力行為がある場合は、入院をおすすめします。 えっ!入院ですか? そうなんです。入院設備のある病院のなかでも、精神科のある病院が良いでしょう。なぜなら、一般的な病院の場合、認知症の方の対応ができないことが多いためです。精神科であれば、認知症の薬の処方をしてもらえますし、看護師も認知症の方の対応に慣れているので受け入れてくれるでしょう。 精神病院ですか…。まさか、父がそんな状態だとは思っていませんでした…。 もちろん、薬の調整やケアの方法を変えることで暴力が落ち着いて、在宅介護を続けられることもあります。まずは、かかりつけ医やケアマネジャーさんに相談してくださいね。認知症の方の入院については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 こんな対応はNG! 認知症の影響による暴力行為は、間違った対応をするとさらにエスカレートしてしまう可能性があります。なので、やってはいけない対応についてもお話ししておきますね。具体的には、以下の2つです。 力で押さえつける 身体拘束をする 認知症の方の振り上げた手を押さえつけて降ろさせるなどの、力で押さえつける対応はNGです。なぜなら、行動を制限されたことで不安や恐怖を感じ、暴力がエスカレートするおそれがあるからです。 私や母では父の力には勝てないので押さえつけたことはありませんが、暴力がエスカレートすることもあるんですね…。 また、ベッドなどに縛り付ける、部屋に鍵をかけて自由に出られないようにする、といったことは身体拘束で虐待にあたりますから、やらないでくださいね。 虐待!?絶対にやらないです! 身体拘束がストレスとなり、認知症が進行したり、身体機能が低下する危険性があります。暴力行為はとても怖いことで、不安を感じるかもしれませんが、「力で押さえつける」「身体拘束をする」といった対応はしないでくださいね。認知症の方に言ってはいけない言葉については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の人が暴力を振るう理由は? 父は、もともと怒りっぽい人ではありませんでしたし、すぐ手が出る人でもありませんでした。認知症のせいだとしても、どうして暴力的になってしまったんでしょうか? 認知症の方が暴力を振るうのは、以下のような理由が考えられます。 ストレス・不安のため 自尊心を傷つけられたため 薬の副作用のため ストレス・不安のため 先ほども触れた通り、認知症の影響で判断力や理解力が低下します。そのため、周囲の状況が把握しにくいので、ストレスや不安を感じやすい状態です。さらに、感情のコントロールする機能も低下しているため、ストレスや不安を感じると精神的に不安定になり、その結果、暴力的になってしまうことがあります。 自尊心を傷つけられたため 加齢や認知症の影響で、できないことが増えていきますよね。そのため、ご家族が介助をするわけですが、その際に自尊心を傷つけてしまうことも少なくないんです。 どういうことですか? 例えば、「一人で大丈夫?」といった声掛けも、ときには自尊心を傷つける一言に。「一人じゃできないんだから、手伝うよ」といった言い方をすると、なおさら自尊心を傷つけかねません。認知症の方を心配すると、こういった声掛けをしてしまいがちですが、自尊心を傷つけて暴力行為のきっかけになることもあるので、気をつけましょう。 薬の副作用のため 服用している薬によっては、副作用の影響で暴力的になっていることもあります。認知症の薬のなかには、暴力行為が副作用として指摘されているものも。体質に合わない薬を止めたら暴力行為がなくなったケースもあるんです。 認知症の薬のせいで、暴力的になっている可能性もあるんですか! そうなんです。だからといって、独断で服薬を中止するのはとても危険なので止めてくださいね。薬を中止したり、調整するときは、必ず医師に相談してください。認知症の影響によって暴力を振るうといっても、原因は人それぞれのため、対応方法もそれぞれです。ご家庭で抱え込まないで、まずはケアマネジャーやかかりつけ医に相談してくださいね。認知症の方の暴言については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の人の暴力には心理的に離れる、薬で治療するなどの対応をしよう 認知症の人を力で押さえつける、身体拘束するのはNG! 認知症の影響で、感情の抑制ができない、不安感を感じやすいため暴力を振るうことも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2023/09/13

認知症 在宅介護

認知症の母が食べ物以外のものを食べてしまうのは、どうやって防いだら良いですか?

認知症の母が、ビニール袋やティッシュを食べるようになってしまいました…。すぐに私が口から離させるので飲み込むことはないのですが、何を食べてしまうのかわからなくて常に目を離せなくて困っています。 今後、もっと危険なものも食べてしまうかもしれません。どうしたら母は食べ物以外のものを食べるのを防げますか? (奥村さん・会社員・63歳) もしかしたら、空腹やストレスから食べ物以外のものを食べてしまうようになったのかもしれません。なので、軽食を食べてもらったり、ストレスの原因を取り除くなどの対策をしてみましょう。もし、食べ物ではないものを飲み込んでしまったときは、できる範囲で飲み込んだ量を把握したうえで病院を受診してくださいね。 認知症のせいで食べ物以外のものを食べる!?予防法は? 認知症の母が、ちょっと目を離した隙に食べ物以外のものを口にするようになってしまいました。特に多いのがビニールやティッシュです。しかも、この間は服から取れたボタンを食べようとしていたんです。いつ、何を食べてしまうかわからないので母を家に一人にできないですし、常に目を離せないので私は疲れてしまいました。どうしたら食べ物以外のものを食べるのを防げるのでしょうか? 食べ物以外のものを口にしてしまうのは、とても危険ですよね。ちなみに、食べ物以外のものを食べてしまうことを「異食」と言い、認知症の周辺症状のひとつです。認知症の人が食べ物以外のものを口にするのを防ぐ方法には以下のようなものがあるので、参考にしてみてください。 おやつを食べてもらう 食べると危険なものは手の届かないところに置く 食べ物ではないことをわかりやすくする 食べられるものと入れ替える おやつを食べてもらう お母様は、お腹が空いていて食べ物ではないものを口にしている可能性があります。なので、その対策としては、軽食を食べてもらうこと。せんべいやクッキーなどのおやつを食べて、次の食事までの間の空腹を紛らわしてもらうんです。 えっ、でも、そんなに食べてしまったら、食事が摂れなくなってしまうんじゃないですか? もちろん、量の調整は大切です。食事に影響が出ないくらいの量に抑えたり、おやつを食べた分は食事を減らしたり、といった調節はしてくださいね。 食べると危険なものは手の届かないところに置く 認知症の方が異食をしてしまうことが多いもののなかでも、乾電池や洗剤などは飲み込んでしまうと大変危険です。なので、手の届かないところや棚の中にしまいましょう。 確かに。口にしないように、食べ物以外のものはすべてしまっておかないと。 ただ、飾り物をすべてしまって、あまりにも殺風景になってしまうのも刺激がなくて脳に良くありません。手が届かないところに飾るなど、うまく調整してくださいね。 食べ物ではないことをわかりやすくする 「食べ物ではないことをわかりやすくする」ってどういうことですか? ストレートに「これは食べ物ではありません」と書くのはどうでしょうか?認知症の方でも文字が読める方であれば、効果があるでしょう。食べてしまうものにもよりますが、洗剤や薬品類などのパッケージに大きく書いておくと効果があるかもしれません。 食べ物と入れ替える お母様がティッシュやビニールを手に持っていたりして、「食べてしまうかも」と思ったときには、食べられるものと交換してみるのも良いでしょう。 今までは、急いで母の手から取り上げていたのですが、それではいけないんですか? お母様としては、手に持っているものは「食べても良いもの」と理解しているので、それを急に取り上げられると驚きますし、混乱しますよね。そうしたことが繰り返されると、混乱からストレスを感じてさらに異食をする頻度が上がってしまう可能性があります。 そうなんですか!?食べたら危険だと思って、急いで取り上げていたのは良くないことだったんですね…。 なので、食べ物を手渡してさりげなく食べてはいけないものと交換しましょう。「こっちの方がおいしいよ」と食べ物を手渡してみると、意外とすんなり交換してくれるかもしれません。認知症の方に言ってはいけない言葉については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 食べ物以外のものを食べてしまったら もし、母が食べ物以外のものを飲み込んでしまったらどうしたら良いんでしょうか? もし、食べ物以外のものを飲み込んでしまった場合、無理に吐き出させようとせずに、口の中を確認しましょう。口にしたものの大きさによっては、口の中に物が残っていることがありますから、それを取り除きましょう。ただ、ティッシュやビニールといったものは気管をふさいで窒息する危険性があります。電池や洗剤なども中毒のおそれがあるので、危険なものを飲み込んでしまった場合はすぐに病院を受診してください。 ティッシュやビニールで窒息する可能性があるんですね!それには気が付きませんでした。本当に危険ですね…。 食べると危険なもの ティッシュやビニールなどの、家の中に当たり前にあるものでも食べたら危険なものがあるんですね…。他に、食べると危険なものにはどんなものがあるんですか? 食べると危険なものには、以下のようなものがあります。 ティッシュ ビニール 電池 洗剤 漂白剤 防虫剤 殺虫剤 ガソリン・石油 除光液 薬 タバコ マニキュア 針・刃物 上記のものは、口にしてしまうととても危険なので、認知症の方が手が届かない場所に保管しておきましょう。便を食べてしまう場合については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の人が食べ物以外のものを食べる理由は 母は「まだ飲み込んでいないから大丈夫」と思っていましたが、異食がとても危険なことだとよくわかりました。そもそも、どうして母は食べ物以外のものを食べるようになってしまったんでしょうか? 認知症の影響だと考えられます。具体的には、以下のような理由で食べ物以外のものを食べてしまっているのかもしれません。 食べ物かどうか判別できない 食事の時間だと勘違いしている お腹が空いている 不安やストレスを発散している 食べ物かどうか判別できない 認知症の影響で、目の前のものがどういった役割のものなのかを理解できなくなることがあります。この症状を「失認」と言い、認知症の症状のひとつです。具体的には、「ティッシュが何かわからない。わからないから手に取ってみる。それでもわからないから口に入れてみる」といった具合です。また、洋服のボタンやビー玉などを飴玉と勘違いしているケースもあります。食べ物と勘違いしているのであれば、自然と口に入れてしまいますよね。 うちの母も、ティッシュやビニールを食べ物と勘違いしていたのかもしれませんね。 食事中と勘違いしている また、認知症になると現在の日時、季節といった時間に関する感覚があいまいになることがあります。これは「見当識障害」と言って、認知症の症状の代表的なものです。見当識障害の影響で時間感覚があいまいになり、食事の時間と勘違いして近くにあったものを食べてしまった、ということもありえます。 お腹が空いている 母は食欲旺盛で、3食しっかり食べています。それでもお腹が空いているんですか? 実は、認知症の影響で満腹感を感じにくくなっている可能性があります。認知症によって脳の満腹を感じる部位が損傷を受けることで、満腹になりにくいんです。そのうえ、認知症によって食べ物以外のものを食べ物と思い込んでしまっていれば、自然と食べようと思ってしまいますよね。そうした理由が合わさって、食べ物ではないものを食べてしまっているのかもしれません。 不安やストレスを発散している 認知症ではない私たちも。「やけ食い」などでストレス発散することがありますよね。それと同じように、認知症の方も食べることで不安やストレスを解消しようとしているのかもしれません。また、誰でも何がなんだかわからない状況に置かれるのはストレスですよね。認知症の方は、それ以上に認知機能の衰えによって物事が理解できず、不安やストレスを感じやすい状態にあります。なので、ストレスを発散させようと異食をしてしまっている可能性があります。 母が食べ物以外のものを食べるのを止めさせることばかり考えていましたが、いろんな理由があって異食をしていたんですね…。母の異食の原因を減らせるように、対策をしていきたいと思います。 おやつを与えたり、危険なものを届かないところで保管して予防して 食べてしまったら、無理に吐き出させようとせず、口の中を確認して 空腹やストレスから食べ物以外のものを食べてしまうことも pre { margin: 40px 0; background: ...

2023/09/08

認知症 在宅介護

高齢の父親が怒りっぽくなったのは病気の前触れ?認知症の可能性はありますか?

先日、帰省したところ、高齢の父親の様子がおかしくて気になっています。具体的には、一緒に外食をしたら、料理にお箸がついていないことで店員を怒鳴りつけて大騒ぎしたんです。ちょっとしたことですぐ怒るようになっているようで…。 昔はここまですぐに怒るような人ではありませんでしたから、何かの病気の前触れなのかと心配です。もしかして、認知症の可能性もありますか? (松原さん・会社員・58歳) 認知症の可能性もありますね。ただ、認知症以外にも、うつ病や脳梗塞の後遺症、加齢などによって怒りっぽくなることはあります。認知症にはいくつか初期症状がありますから、他の症状も当てはまったら、病院で検査することをおすすめします。 高齢者が怒りっぽいのは病気の前触れ? 先日、久しぶりに実家に帰省したら、一人暮らしの父が怒りっぽくなっているような気がして気になっています。一緒に外食に出かけたところ、食事にお箸がついていないことに激怒し、店員を怒鳴りつけたんです。以前は、こんなことで怒るような人ではありませんでした。急な変化だったので、何かの病気の前触れなのではと心配です。もしかして、認知症になってしまったのでしょうか? 現時点では、はっきりとしたことは申し上げられませんが、認知症も可能性のひとつです。ただ、認知症も含めて、ご高齢者が怒りっぽくなる理由は以下のようなことが考えられます。 認知症 うつ病 脳梗塞 加齢 認知症 認知症の初期症状のひとつに怒りっぽくなることがあります。認知症によって、感情をコントロールしている前頭葉が萎縮すると、気持ちの制御ができなくなって怒りやすい性格になってしまうと言われています。また、認知機能の低下によって状況が理解できない、適切な判断ができない混乱が怒りにつながることもあります。 やっぱり、認知症の可能性もあるんですね。一人暮らしだから心配だな…。 認知症の影響で暴言を吐いてしまう方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 うつ病 うつ病の可能性もあります。うつ病の症状というと、気持ちが落ち込んでふさぎ込むようなイメージがありますが、実は怒りっぽくなるのも症状のひとつなんです。というのも、幸せホルモンとも言われる「セロトニン」が減少することで気持ちが落ち込むと同時に怒りっぽくもなります。「落ち込みながら怒る人」も多くいるんです。 脳梗塞 脳梗塞を経験している人は、その後遺症として怒りっぽくなることがあります。これも、脳の一部がダメージを負ったために、感情のコントロールができなくなってしまうんです。また、反対に脳梗塞の前触れにも怒りやすくなることも。脳の血流が徐々に減少していくなかで、脳梗塞の症状が出ることがあります。高血圧の方は、脳梗塞の可能性も疑った方が良いかもしれません。 父は高血圧です。母が亡くなって一人暮らしをするようになってから、食事が乱れているみたいで血圧が上がっているようなんです。血圧の薬もきちんと飲んでいるのか確かめないと…。 加齢 年齢を重ねることで怒りやすくなることもあります。こうした方は、もともと怒りっぽい気質だったケースが多いですね。特に一人暮らしの場合、人との交流が減ることで日常生活でストレスを発散する機会も減る傾向があります。そのため、ちょっとしたことでも、怒りにつながってしまうんですね。 なるほど…。父もそうなのかな。このところ、趣味の将棋サークルも行かなくなったみたいですし…。家にこもりきりみたいなんですよね。 認知症のせいで怒りっぽいのか見分ける方法 認知症以外にも、父に当てはまりそうな理由がいくつかありました。認知症かどうか、見分ける方法はないですか? ひとつの方法として、「怒っている理由を聞く」ことがあります。認知症の方の場合、ご本人自身も何に対して怒っているのかわかっていないことも多いんです。なので、「どうして怒っているの?」と聞いてみて、はっきり答えられない場合は認知症の可能性が高いです。また、以下のポイントにも注意してみてください。 今まで怒っていたか 外出時も怒るようになったか 頻度が増えているか これらに当てはまったら、認知症や脳梗塞などの病気の前兆かもしれません。病院での検査をおすすめします。 「怒りっぽい」以外の認知症の初期症状 怒りっぽくなるのは認知症の初期症状のひとつ、とお話ししましたよね。その他にも初期症状があるので、「怒りっぽい」以外の症状にも当てはまっていないか、確認しておきましょう。主な認知症の初期症状は、以下の通りです。 同じことを何回も話す・質問する お金の管理ができない 料理や買い物に手間取る 物をよく探している 周りの出来事に関心がない 趣味を止めた 物や人の名前が出てこない だらしない服装になる これらに当てはまったら、認知症の可能性が高いということですね。うーん…。そういえば、「明日は何時に家を出るんだ」と、外出する時間を何度も聞かれたような。帰省の期間が短かったから、その他の症状はわからないですね。 普段、一緒に過ごしていないとわかりにくいところではありますよね。もし、初期症状にいくつか当てはまるようでしたら、病院で検査してもらってくださいね。認知症の影響で怒りっぽくなってしまった方についても、以下のご質問でお答えしています。参考にしてください。 高齢者が怒り出したときの対応方法 先日の帰省のときは、店員さんだけでなく、私も何度も怒鳴られて。近々、また帰省する予定があるんですけど、次も同じように怒鳴られるかもと思うと気が重いです。 怒鳴られるというのは、ストレスですよね。それに、自分が怒られているわけではなくても、怒っているのを見るだけでも気が滅入ってしまうと思います。そういうときは、「顔を背ける」「別の部屋に移動する」といった方法で、怒りから離れましょう。ストレスの元から逃げることも大切です。 顔を背けるって、それだけでも良いんですか? はい。物理的に離れるのが難しい場面では、顔を背けて、怒っている人を視界に入れないだけでもストレスが軽減されます。怒っている人をなだめるのは大変ですから、毎回、相手の気持ちを落ち着けようとするのはかなりの負担です。「手を付けられない」と思ったら、逃げるのもひとつの手ですよ。 逃げても良いんですね。ちょっと安心しました。とはいえ、まずは父が認知症や脳梗塞を発症しているのか確認しないとですね。 怒りっぽくなったときは、単なる加齢のほかに認知症やうつ病なども考えられる 昔より怒りっぽくなった、怒る頻度が増えている傾向があったら認知症の可能性も 怒り出したら顔を背ける、別の部屋に移動するなど、ストレスを避ける対応を pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: ...

2023/08/31

認知症 在宅介護

認知症の父親が便を食べるのがもう嫌!目を離せなくて本当にしんどい…

認知症の父親が自分の便を食べるようになってしまい、どうしたら良いかわかりません…。 先日、家に帰ったら父が便で手を汚した状態で廊下に立っていました。よく見ると口の中にも便が入っていて…。 それ以降、同じように便を食べてしまうことが何度かあって。いつ便を口にしてしまうかわからず、常に目を離さないようにしているのがしんどいです。 (川島さん・会社員・56歳) 便を食べてしまったときに叱ったり怒ったりするのはNGです。ストレスを感じて、余計に食べるようになってしまう可能性があります。便が下着の中に残っていることで肌が不快で触って、手に着いた便を食べてしまった可能性があります。なので、排便のタイミングを把握して、下着の中に便が残っている時間を短くしましょう。空腹やストレスなどから便を食べてしまっている可能性があります。原因を把握して対応していきましょう。 認知症の親が便を食べてしまったら? 先日、家に帰ったら父が手を便で汚して廊下に立っていたんです。よく見たら口の中にも便があって…。たぶん食べてしまったんだと思います。それ以降、便を食べてしまったり、食べようとしたところを私が止めたことも何度かありました。ずっと目を離せないので、しんどくて…。毎回、父を叱るのですが食べるのを止めないんです。 実は…便を食べてしまったときに叱ったり怒ったりするのはNGなんです。 えっ、そうなんですか!?どうしてですか? 叱られるというのは誰しもストレスを感じますよね。そのうえ、認知症の方の場合、なぜ怒られているのか理解できない可能性があります。「なぜかわからないけど怒られる」というのはとてもストレスを感じることですよね。そのストレスが原因で、余計に便を食べるようになることもあるんです。 えぇ!?では、どうしたら良いんですか? 落ち着いた口調で、「便を食べるのは危険」と伝えましょう。便とわかっていない場合、「おしりに付いているものを食べるのは危険なんだよ」という伝え方でも良いでしょう。便を触っていたり、食べてしまっているのを見ると、どうしても怒りたくなると思います。が、そこはぐっと気持ちを落ち着けてから、話をしましょう。認知症の方との関わり方については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 認知症の親が便を食べるのを予防するには 父が便を食べるのを止める方法はありますか?もう、どうしたら良いかわからないんです。 いくつか方法があります。ひとつずつ試していきましょう。 排便タイミングの把握 皮膚を保護する 汚れも予防する 排便タイミングを把握する まずは、お父様の排便のタイミングを把握しましょう。同じルーティンで生活していることが多いご高齢者は、排便のタイミングもある程度決まっています。そのため、1日の排便のタイミングや、毎日、排便がない場合や何日間隔で排便があるのかを把握してみましょう。トイレ介助をしている場合は、比較的、把握しやすいと思います。お父様がお一人でトイレに行く場合、いつもよりもトイレが長いときに排便していることが多いです。意識して記録しておきましょう。 排便のタイミングですか…。記録するのは良いんですが、タイミングを把握してどうするんですか? 排便のタイミングが把握できると、下着の中に排便してしまったときにすぐに確認できますよね。下着の中に便があると、気になって触ってしまうことがあります。それに手についた便を口にしてしまうことを防げるんです。できるだけ便が肌に触れている時間を減らすと、便を食べてしまう回数が減ると思いますよ。手で便をいじってしまうときの対応については、以下のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 皮膚を保護する また、肛門やおしりの周りにワセリンなどの保湿クリームを塗っておくのも効果があるかもしれません。というのも、下着やパッドの蒸れによって肌がかぶれ、おしりをかいてしまって便が手につくことがあります。あらかじめ、クリームで皮膚を保護しておくとかゆみの予防になるでしょう。 汚れも予防する お父様が便に触っているということは、お家の中が汚れやすいことはありませんか? そうなんです!特に父の部屋が汚れやすいんです。便がついた手でいろんなところを触ってしまうみたいで…。 便は臭いますから、掃除も大変ですよね。便を食べるのを予防するだけではなく、汚れの予防もすることで、相談者さんの負担も大きく減ると思いますよ。例えば、便がつきやすい場所にビニールの保護シートを貼ったり、シーツが汚れる場合は上から敷く防水シートもあります。 へー!そんなものがあるんですね。 もし、畳の部屋の場合、畳の目に汚れがつまりやすくて掃除が大変だと思います。そういうときは、畳の上に敷くフローリングカーペットがあります。それだけでもとても掃除が楽になると思いますよ。 認知症の親が便を食べる理由は? そもそも、どうして父は便を食べるようになってしまったんでしょうか? いくつか理由が考えられます。便を食べてしまう主な理由は以下の通りです。 肌に違和感がある 食べ物だと勘違いしている お腹が空いている 肌に違和感がある 下着やオムツの中に便があると肌がかぶれてかゆくなります。そのため、おしりが気になってかくことで便が手についてしまうことがあります。手についた便が何だかわからなくて、口に入れてしまうんですね。 父はリハビリパンツを使っているのですが、最近、濡れたパンツやパッドを自分で捨てられなくなってしまいました。もしかしたら、それで肌がかぶれているのかも…。 食べ物だと勘違いしている 便を食べ物だと勘違いしていることも考えられます。認知症の影響で、物を認識していてもそれが何だかわからなくなることがあります。手についた便が汚いものなのか、食べ物なのか何なのか理解できなくなってしまうんですね。 でも、おいしいものではないでしょうし、口の中に入れたらわかるものだと思いますが…。 いえ、加齢や認知症の影響で、味覚が鈍くなることがあるんです。なので、口に入れても食べ物なのかどうかがわかっていない可能性があります。 お腹が空いている お腹が減って便を食べてしまうんですか?食事は十分に食べさせているんですが…。 実は、認知症によって脳の一部が損傷することで、満腹を感じにくくなることもあるんです。なので、食べても食べても満腹感は薄く、常にお腹が減っている状態になることも。目についたものは何でも口に入れてしまうんです。こういう場合は、軽食を渡すことで便を食べる回数が減るかもしれません。 便のほかにも食べてしまいがちなもの 便のほかにも、食べ物ではないものを口にしてしまうことを「異食」と呼びます。認知症の症状のひとつです。 便以外にも食べてしまうことがあるんですか?何を食べてしまうんですか? その人にもよりますが、よく異食してしまうものには以下のものがあります。 ゴミ・ほこり 薬の袋・パッケージ ティッシュ 電池 タバコ 洋服のボタン・飾り 洗剤 いろいろあるんですね…。今のところ、父はこれらのものを食べてはいませんが、いつか口にしてしまうかも…。気をつけておかないと。 異食の危険性 異食をしてしまうと、以下のようにさまざまな危険性があります。 窒息する 中毒症状が出る 食道や内臓を傷つける 薬の袋などのビニール類、服のボタンなどは、気管に詰まって窒息してしまう可能性があります。また、洗剤を飲んでしまった場合、中毒症状が出る危険性も…。 中毒!?それは危険ですね。 そのうえ、当然ながら食べ物ではないものは胃の中で消化できずに残ってしまうことが多いです。すると、胃や腸などの消化器官を傷つけてしまうことも。口に入れてしまいやすいものは、手の届かないところにしまっておきましょう。異食があると常に目が離せなくて負担が大きいと思います。適度に気を抜けるように介護サービスの活用もしてくださいね。 便を食べたときに叱るのはNG.落ち着いて対応しよう 排便タイミングに合わせてトイレに座るなど、便が肌に触れる時間を減らそう ボタンや洗剤などを口にすることも。手の届かないところに置こう pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; ...

2023/08/31

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2021/11/10

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認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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