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Q&A

認知症

認知症 在宅介護

認知症の母親に我慢の限界!睡眠不足で体がきついので、どうにかする方法を教えてください。

もう、母の認知症に我慢ができません!私や私の妻が母のトイレやお風呂の介助をしようとすると、大声で叫んで嫌がるのは毎日のことで、ときには手が出ることもあります。 それに、夜中に家から出ようとすることもあり、その度に私や妻が起きてなだめているのですが…。常に寝不足で体力的にももう限界です。 こんな状況をどうにかする方法はありませんか? (小泉さん・会社員・64歳) 在宅介護サービスは活用していますか?デイサービスやショートステイなど、一時的に介護施設で過ごすサービスがあるので、小泉さんご夫妻の負担がかなり減ると思います。また、介護施設への入居も合わせて検討してください。認知症ケアはかなり難しいです。なので、介護のプロに任せることも、ご家族ができる介護のひとつです。我慢の限界を超えてしまうとご家族が「介護うつ」になってしまうリスクがあるので、無理をせずに、介護サービスを活用しましょう! 認知症の親に我慢の限界!どうしたら良い? もう限界です。母の認知症がどんどんひどくなってきて、妻も私も疲れ切っています。以前からお風呂とトイレの介助が必要だったのですが、最近になって嫌がるようになりました。それも、大声で「助けて!」と叫んで抵抗するんです。気持ちが高ぶっていると手が出るときもあります。それに、夜中に起き出してきて家から出ようとするので、毎晩、私や妻が母をなだめないといけなくて…。ゆっくり眠れないので、いつも寝不足なんです。 それは本当に大変な状況ですね…。ちなみに、介護サービスを利用していますか? いえ、していません。以前、利用した訪問ヘルパーさんと母が折り合いが悪くて、訪問介護を使うのを止めてからは、何もサービスを利用していません。 お母様の状況を聞いていると、ご家族だけの介護はもう厳しいと思います。というのも、認知症ケアはかなり難しく、ご家族の負担がとても大きいんです。ですので、できれば介護サービスを利用することをおすすめします。 そうなんですよね…。私と妻だけでは、介護を続けるのは難しいと思います。でも、どのサービスを使えば良いんでしょうか? 介護サービスは、在宅介護サービスと施設介護サービスに分けられます。それぞれお話ししますね。 在宅介護サービスを使う お母様にぜひ使っていただきたいのは、次の在宅介護サービスです。 デイサービス ショートステイ デイサービスでは、日中の間、介護施設に通って介護サービスを受けられます。具体的には、食事、入浴、レクリエーションなどを提供しています。もちろん、必要であれば食事介助、入浴介助、排泄介助も受けられます。 デイサービスって聞いたことがあります。お風呂やトイレの介助も任せられるんですね! その次のショートステイは、1日から介護施設に宿泊できるサービス。もちろん、宿泊している間の食事や入浴、レクリエーションなども提供しています。最大30日連続で宿泊できることもあり、ご家族のリフレッシュや介護施設に入るまでの順番待ちの間に利用されることもあります。 介護施設に入居する 在宅介護ではなく、施設入居を検討するのもひとつの手です。むしろ、小泉さんと奥様が限界を迎える前に、早めに検討することをおすすめします。 介護施設か…。いろんな種類がありますよね?よくわかっていないんですよね。 はい。介護施設にはたくさんの種類があります。認知症の方だったら、以下の施設がおすすめです。 特別養護老人ホーム グループホーム 介護付き有料老人ホーム 特別養護老人ホームは聞いたことがあります。でも、詳しくは知らないです。 そうでしたか!特別養護老人ホームは、要介護認定3以上の方が入居できる施設。介護が必要な方のための施設で、「終の棲家」として入居される方も多いです。ただ、公的施設ということもあって料金が安いので、入居の順番を待たないといけないことがほとんどです。なかには数年待つケースもあるようです。 人気なんですね…。ただ、うちの母は要介護2なので入居できないですね。その次のグループホームというのは? グループホームは、認知症の方向けの施設です。「ユニット」と呼ばれる最大9名の少人数のグループで生活をするのが特徴。掃除や料理などをご入居者が協力しながらおこなっています。もし、お母様がアットホームな施設が合いそうであれば、グループホームがおすすめです。 アットホームなところか…。母は人の好き嫌いがはっきりしているので、合わない人がいたらなじめなさそうです。 でしたら、介護付き有料老人ホームも選択肢のひとつです。比較的、大規模な施設が多く、合わない人がいたらフロアを変えるなどの対応もしてもらえるかもしれません。また、介護付き有料老人ホームも看取りなどの対応ができる施設ですので、最期までお母様を任せたい場合はおすすめです。 接し方を変えれば認知症の症状は緩和される? 介護サービスを利用すれば、私たちの負担が減りそうで安心しました。ただ、在宅介護サービスを使うにしても、介護施設に入居するにしても、しばらくは私たちが介護をしないといけませんよね。母の状態がこのままだと、どちらにしろ気が休まらない気がして…。 うーん。もしかしたら、お母様への対応を変えることで、認知症の症状が緩和するかもしれません。 えっ、私たちの対応を変えるだけで、症状が緩和するんですか? 認知症を進行させる原因のひとつにストレスがあります。認知症の方は、認知機能が低下することで不安を感じていることが多いんです。その不安感が和らぐことで、症状が緩和すると言われています。 へぇ!そうなんですね。具体的にはどうしたら良いんでしょう? では、詳しくお話ししていきますね。 認知症の人の関わり方のポイント 認知症の方は認知機能の低下や、加齢によって耳が遠くなっていることがほとんどです。なので、以下のようなことに気をつけてコミュニケーションを取りましょう。 話し方 話を否定しない ゆっくり話す 大きな声で話す 目線を合わせて話す 話をよく聞く 接し方 ペースを合わせる 無視をしない 役割を持ってもらう 特に気をつけていただきたいのが、「話を否定しない」です。認知症の方は、症状の影響で事実と異なる話をしたり、何度も同じ話をしたりします。でも、それに対して「それは違うよ」「さっきも言ったでしょ」と、認知症の方を否定するのは禁物なんです。 そうなんですか!?毎晩、母が「仕事に行かなきゃ」と言って出かけようとするので、「もう仕事はしていないでしょ!」と止めていたのですが…。いけないことだったんですね。 おそらく、お母様の中では仕事に行っているのが事実です。なので、それを否定してしまうと、混乱して不安になってしまうんですね。なので、「仕事は今日休みだよ」「まだ仕事の時間には早いから、もう一度寝よう」などの声掛けをすると、納得してもらえるかもしれません。認知症の方とのコミュニケーションは、その方の”世界観”に合わせるのが基本。事実と異なっていても否定をせず、話を合わせていると症状が穏やかになっていくと思いますよ。認知症の方に言ってはいけない言葉については、以前のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 我慢の限界を超えると「介護うつ」になってしまう!? 今の状況が良くなりそうで良かったです。このままだと、私も妻もどうにかなりそうだったので…。 認知症の方の介護は大変ですよね。我慢の限界を超える前に、負担を減らす工夫をしていきましょう!限界を超えてしまうと、「介護うつ」になってしまうこともあるので…。 介護うつですか? はい。介護うつは介護が原因で起こるうつのことです。介護によって心身に大きな負担がかかり続けていると、発症してしまうことがあります。長期的に食欲や気力がなくなっていると、危険なサイン。趣味や好きなことを楽しめなかったり、気分が晴れない状態が続いている場合、介護うつの可能性が高いです。そうした状態になる前に、ショートステイを使うのもおすすめです。まとめて数日間ショートステイを利用して、ゆっくり休む時間を作りましょう。 介護サービスには、そういう使い方もあるんですね。私や妻が限界を迎える前に、介護サービスを活用していきたいと思います。 認知症の親の介護に限界を感じたら、介護サービスを積極的に使おう 関わり方を変えると症状が緩和されることも 我慢し続けると「介護うつ」になってしまう可能性も pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/08/30

認知症 在宅介護

認知症の親に言ってはいけない言葉はありますか?代わりにどんな言葉をかければ良いですか?

先日、認知症の親御さんを介護している友人に、「認知症の人に言ってはいけない言葉」があると聞きました。具体的には、どんな言葉を言ってはいけないんでしょうか? 私も認知症の母の介護をしており、このところ急に症状が悪化しているような気がしています。汚れたパッドが部屋に投げ捨てられていたり、着替えを手伝おうとすると大声で叫んで暴れるようにもなってしまいました…。 言ってはいけない言葉を使うと、どうなってしまうんですか? (松原さん・自営業・65歳) 認知症の人を否定したり、急かしたり、責めるような言葉はNGです。というのも、こうした言葉によって、不安が強くなってストレスを感じ、認知症が進行してしまうことがあるからです。なので、食事をしたのに「ご飯を食べていない」と言われたときは、「今作っているから待っていてね」と言ったり、「壁に虫が這っている」と幻覚を見ている様子があれば、「追い払っておいたよ」と声掛けをしましょう。認知症の人の言葉が現実と異なっていても、それを指摘せずに、話を合わせることが大切です。 認知症の人に言ってはいけない言葉がある? 認知症の親御さんの介護をしている友人から「認知症の人に言ってはいけない言葉」があると聞きました。私も認知症の母を介護しているので気になっていて。どんな言葉を言ってはいけないんでしょうか? 認知症の方が不安になってしまうような言葉は、言ってはいけません。具体的には以下のような言葉です。 否定する言葉 脅かす言葉 急かす言葉 責める言葉 できることを奪う言葉 否定する言葉 認知症の人自身や、その人の言葉を否定する言葉はNGです。例えば、以下のような言葉です。 (「仕事に行く」と言われて)「もう仕事は辞めたでしょ」 (食事後に「ごはんを食べていない」と言われて)「さっき食べたばかりでしょ」 (虫がいないのに「虫がいる」と言われて)「虫なんてどこにもいないよ」​ (「家に帰る」と言われて)「ここが家でしょ」 認知症になると直近の記憶を忘れてしまいやすくなるので、食事を摂ったことを忘れてしまうことがあります。そのため「まだご飯を食べていない」と言うこともあります。それに対して、「さっき食べたでしょ」と否定してしまうと混乱させてしまうことがあります。 なぜでしょうか?実際には、ご飯を食べているんですよね? 認知症の方にとっては、「ご飯を食べていない」のが事実です。認知症による物忘れの場合、「さっき食べたでしょ」と伝えても思い出せないことが多いんです。 だから、事実を言っても不安を感じるだけになってしまうんですね。 脅かす言葉 (お風呂に入らなくて)「頭がかゆくなっても知らないよ」 (食事を拒否されて)「あとでお腹減っても食べ物ないからね」 これらの言葉は、認知症の人に介護を拒否されたときに言ってしまいがちな言葉です。介護をしていると忙しいので、どうしてもいらだってしまいます。そのうえ、介護を拒否されて家事などが上手く進まないと、脅かすような言葉を使って、思い通りに動いてもらおうとしてしまうこともあるでしょう。ただ、こうした言葉は認知症の人にとって大きなストレスになりかねないので、使ってはいけない言葉なんです。 急かす言葉 在宅介護をしていると、忙しくて以下のような言葉を使ってしまっているかもしれません。 「早くして」​ 「いつまでやっているの?」​​​​ 「まだ?」 加齢によって身体機能が低下して体が思うように動かせなくなったり、認知機能の低下によってより動作に時間がかかるようになります。着替えをしたり、食事をしたり、靴を履いたり…。これまで当たり前にできていたことに、時間がかかっていると、思わず「早くして」と言ってしまうこともあるかもしれません。 そうなんです!何をするにも時間がかかるようになってしまって。特に朝はぐずぐずしてなかなか着替えないので、「早くして」と言ってしまいます。私が手伝おうとしても怒鳴って拒否されるし…。私が言ってはいけない言葉を言っていたからかもしれませんね。 そうだったんですね…。忙しくてなかなか難しいかもしれませんが、時間がかかることを予想して余裕を持って行動するのが良いかもしれません。 責める言葉 責めるような言葉も、認知症の人に言ってはいけない言葉のひとつです。例えば、以下のような言葉です。 「そんなこともできないの?」 「さっきも言ったよね」 「同じ話を何度もしないで」 あ…。これも心当たりがあります。病院の予約日時や、道具の使い方を教えても母が覚えていないので、「さっきも言ったよね」と責めてしまうことがよくあります。 認知症になるとできないことが増えていきます。それを認知症の方ご本人も自覚していることが多いんです。なのに、そのうえ、ご家族から責められると自信がなくなってしまいますよね。責めるような言葉は、プライドや自尊心を傷つけてしまうのでNGなんです。 できることを奪う言葉 「できることを奪う言葉」ってどんな言葉ですか? 具体的には、こんな言葉です。 「私がやるから手を出さないで」 「危ないから触らないで」 認知症になってできないことが増えていくご家族を見ていると、心配する気持ちから「やらないで」と代わりにやってしまいがちです。なかには本当に危険なこともあるかもしれませんが、ご本人ができることは見守って自分の手でやってもらうことが大切です。 うーん、でも私がやった方が早いことも多いんですよ。母に任せているとやたら時間がかかって。 そういうこともありますよね。でも、そうしてお母様のできることを奪ってしまうと、さらにできることが減ってしまう可能性があるんです。時間がかかっても、ご自分の手でできることであれば、できるだけお母様に任せましょう。 かける言葉によって認知症が悪化する!? そういえば、「認知症の人に言ってはいけない言葉」を言い続けていると、どうなってしまうんですか? 認知症の症状が進行してしまう可能性があります。 えぇ!?そうなんですか!なぜですか? 認知症の人に言ってはいけない言葉は、認知症の人にとってストレスを感じる言葉だからです。ストレスを感じると、脳の細胞が死滅することがわかっています。つまり、脳の機能低下が加速するというわけです。脳の機能低下が進むと、認知症の状態が進行し、症状も悪化してしまいます。 えぇ…そうなんですね。このところ、母の認知症がひどくなっているように感じていましたが、それは私が認知症の人に言ってはいけない言葉を言っていたからかもしれません…。 認知症の人にはどんな言葉をかければ良い? 母に、認知症の人に言ってはいけない言葉をたくさん言ってしまっていたのがよくわかりました。言わないようにしたいのですが、だからといって、どんな言葉をかければ良いのかわからなくて…。 認知症の方への受け答えは難しいですよね。なので、認知症の方によくある発言と、それに対する返答をリストアップしてみました。 「ご飯を食べていない」には「今作っているところだよ」 「財布を盗られた!」には「一緒に探そう」 「家に帰りたい」には「車を呼んでるからお茶を飲んで待っていて」 「虫が這っている!」には「追い払っておいたよ」 「今作っているところだよ」 認知症の症状のひとつに、直前の出来事を覚えられないことがあります。そのため、食事を食べたばかりなのに「ご飯を食べていない!」と言うことがあるんですね。 聞いたことがあります。うちの母はそういったことはありませんが…。 そのときに、「さっき食べたでしょ!」と返すのはNG。「なんでご飯を食べさせてくれないの!」とさらに興奮させてしまう可能性があります。そこで、「今、食事を作っているところだから待っていてね」と声をかけたり、軽食を渡すのがおすすめです。時間を空けて、「ご飯を食べていない!」と興奮した気持ちが落ち着くのを待ちましょう。認知症の方が食事をしたことを忘れてしまうときの対処法については、以前のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 「一緒に探そう」 認知症の方の訴えでよくあるのが、「財布が盗まれた!」というものです。特に一番近くにいるご家族が犯人にされてしまうケースが多いんです。そのため、「盗んでないよ!」「自分でどこかにしまったんでしょ!」と言うのは良くありません。認知症の方の頭の中では、盗まれたと思い込んでいるからです。そこで、「まずは家の中を一緒に探そう」と声をかけましょう。また、一緒に探すうちに財布が見つかっても、ご家族の手から渡すのもNGです。 どうしてですか? ご家族から財布を渡すと、「盗んだ犯人だから財布の場所を知ってるんだ」と思い込みが強くなってしまうことがあるからです。「やっぱりあなたが犯人なんでしょ!」と言われてしまうかもしれません。なので、財布の場所がわかったら、ご本人が見つけられるようにそれとなく誘導するのがベターです。「物盗られ妄想」については、以前のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 「車を呼んでいるからお茶を飲んで待っていて」 自宅にいるのに「家に帰りたい」と言われたときは、「ここが家でしょ」と否定するのではなく、「車を呼んでいるからお茶を飲んで待っていてね」と、認知症の人の世界観に合わせた返事をしましょう。もちろん、実際に車を呼んでいるわけではありませんが、「車を呼んでいるから」と言われれば認知症の人の気持ちが落ち着きます。不安な気持ちから「家に帰りたい」と言っているので、不安な気持ちを取り除くことが大切なんです。 事実を伝えるんじゃなくて、気持ちが落ち着くような言葉をかけるんですね。 認知症の方が「家に帰りたい」と言うときの対応については、以前のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてください。 「追い払っておいたよ」 認知症の影響で、幻視や幻聴が起こることがあります。壁紙の模様が虫に見えたり、「庭に知らない人が立っている」といった現実にはないものを見る症状です。そこで「虫なんてどこにもいないよ」などと返すのはおすすめできません。認知症の人にとって、「虫」や「知らない人」も存在していますから、それを否定するとさらに不安になってしまいます。 実際には見えないものなのに、どうやって対応したら良いんですか? 否定せず、世界観を合わせます。例えば「追い払っておいたよ」と言えば落ち着くかもしれません。それでも怖がっている様子があれば、「追い払っておくから向こうの部屋に行こうか」と場所を移動するのが良いでしょう。いずれにしても、幻視や幻聴の内容に合わせて対応すると、納得してくれることが多いですよ。幻視や幻聴の対応については、以前のご質問でも詳しくお話ししています。参考にしてくださいね。 認知症になってから、母が今までと大きく変わってしまって、思い通りにならないことが増えてきました。何をするにも時間がかかったり、トンチンカンなことを言いだしたり…。でも、それを責めるのはいけないことだったんですね。まずは母の感じていることを否定しないで話をするように心がけます。 否定・急かす・責める言葉などは認知症の人に言ってはいけない 言ってはいけない言葉をかけることで認知症が悪化することも 認知症の人の世界観に合わせた声掛けをしよう pre { margin: 40px 0; ...

2023/08/25

認知症 在宅介護

認知症の父親が便を失禁するように。区分変更で要介護度はいくつになりますか?

最近、認知症の父親が便を失禁するようになってしまいました。毎日のように下着が便で汚れていて、かなり参っています。 こういう場合って、区分変更をした方が良いのでしょうか?区分変更をしたら要介護度はいくつになりますか? (福井さん・パート・63歳) 「前と状態が変わったな」と感じたら、区分変更をおすすめします。ただ、要介護度は、心身の状況などから総合的に判断されるものなので、「便失禁をしたら要介護いくつ」と決まっているわけではありません。各要介護度の状態の目安はありますが、必ずしもその要介護度になるわけではないので、あくまで参考として把握しておくと良いですね。ご高齢者は便秘になりやすい傾向があり、便秘が便失禁の原因となることも。便秘を解消することが便失禁の予防につながることもあります。区分変更と合わせて便失禁の対策もうっていきましょう。 認知症の親が便失禁をするようになったら介護度はどうなる? 認知症の父が便を失禁するようになってしまいました。ほぼ毎日なので、汚れた服や布団を掃除するのが大変で…。このように父の状態が悪くなった場合、区分変更をした方が良いのでしょうか? おっしゃる通り、お父様の状態が変化しているので、区分変更するのがおすすめです。要介護度が上がる可能性がありますから。 やっぱり…。区分変更をした場合、要介護度はいくつになるんでしょうか? うーん。こればかりはなんともお伝えできません。というのも、「便失禁をしたら要介護いくつ」といったように、要介護度は決められていないからです。要介護度は、その方の心身の状態から介護の必要性を総合的に判断するものなので、明確に「この症状があったら要介護いくつ」という設定をされていないんですね。 そうなんですね…。父は今、要介護1なのですが、区分変更をして要介護いくつになるのかはわからないんですね。 今、はっきりとお伝えできないですね…。申し訳ないです。ただ、各要介護度の状態の目安はお伝えできますよ。以下の通りです。 要介護度要介護認定の目安状態の目安となる具体例自立支援が必要ない状態。一人で支障なく日常生活を送れる要支援1基本的に一人で生活ができるが、家事などの支援が必要。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。掃除や身の回りのことの一部において、見守りや手助けが必要。要支援2基本的に一人で生活ができるが、要支援1と比べ、支援を必要とする範囲が広い。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。身だしなみを自分だけでは整えられない、立ち上がりや歩行などでふらつく、入浴で背中が洗えないなど支援が必要な場面がある。要介護1基本的に日常生活は自分で送れるが、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする。排泄や入浴時に見守りや介助が必要。認知機能の低下がみられる。要介護2食事、排泄などは自分でできるが、生活全般で見守りや介助が必要。自力での立ち上がりや歩行が困難。爪切り、着替えなどにも介助が必要。「薬を飲むのを忘れる」「食事をしたことを忘れる」などの認知症初期症状がみられる。問題行動をとる場合もある。要介護3日常生活にほぼ全面的な介助が必要。食事、着替え、排せつ、歯みがきなど、日常生活において基本的に介助を必要。認知機能の低下によって問題行動をとる場合もある。要介護4介助がなければ日常生活を送れない。排せつ、食事、入浴、着替えなどすべてにおいて介助が必要。思考力の低下もみられ、認知症の諸症状への対応も必要になることもある。要介護5介助なしに日常生活を送れない。コミュニケーションをとることが難しく、基本的に寝たきりの状態。日常生活全般が自分でおこなえないため、寝返りやオムツの交換、食事などのすべてで介助が必要。会話などの意思疎通も困難。 この表もあくまで目安。便失禁について明確に触れているわけではないので、参考程度に考えてください。 状態が変わったら区分変更をしよう 実は、区分変更をしたことがないんです。父の状態が以前より悪くなっているのを感じるので、区分変更をしたいのですが、どんな手続きをしたら良いのでしょうか? では、区分変更の流れについてお話ししますね。 区分変更の流れ 区分変更の手続きは、介護認定を始めて受けたときと大きく変わりません。ただ、はじめに「介護認定申請」をしていたものが「区分変更申請」に変わるだけ。介護認定申請は、お住まいの地域の役所や地域包括支援センターでおこなったと思います。区分変更申請も同様で大丈夫です。担当のケアマネジャーがいる場合は、ケアマネジャーさんが申請を代行してくれることもあります。区分変更申請をした後は、以下のように介護認定と同じ流れで進みます。 要介護度が上がったら介護サービスを増やそう もし、区分変更の結果、父の要介護度が上がったら、利用できる介護サービスの量が増えるんですよね? おっしゃる通りです!要介護度が上がると介護保険が適用される金額が増えます。そのため、介護サービス費の負担が安く抑えられる量も増えるんです。 具体的には、どのくらい増えるんでしょうか? 在宅介護サービスの利用限度額は以下のとおりです。 要介護1で自己負担割合が1割負担の場合、16万7650円が利用限度額です。もし、要介護2に上がった場合、利用限度額は19万7050円になります。つまり、要介護度が上がると、介護サービスが1割負担で利用できるのが2万9400円分増えるということです。 3万円近くも多く利用できるようになるんですね!もっと介護サービスを使いたいと思っていたので、助かります。 在宅介護サービスの一覧 要介護度が上がって介護サービスの利用限度額が増えるんだったら、もっとデイサービスの回数を増やしたいです。 デイサービスを利用しているんですね!確かに、今、利用している介護サービスの頻度を上げるのはおすすめです。その他にも、利用していない介護サービスを追加するのもひとつの手ですね。 他の介護サービスというと、どんなものがあるんですか? 在宅介護サービスには以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 福祉用具レンタル 介護リフォーム 例えば、ショートステイを利用するのはどうでしょうか?ショートステイは、1日から利用できる短期宿泊サービスです。排泄の介助はもちろん、栄養バランスの整った食事や、入浴といったサービスを提供しています。宿泊中のお父様のお世話はすべて任せられます。もし、便失禁のこともあって介護のストレスが溜まっていたら、ショートステイにお父様を任せて、数日リフレッシュするのも良いんじゃないでしょうか? 父を任せてリフレッシュなんて…。そんなことして良いんですか? もちろんです!もともと、ショートステイは介護をするご家族がリフレッシュするのも目的のひとつですから。ストレスを溜めすぎると福井さんの方が参ってしまいますから、適度に息抜きを挟みながら、介護を続けていきましょう! 施設介護サービスの一覧 もし、介護量が増えて在宅介護の継続が難しい、と感じるようになったら、老人ホームに入居することも検討してみてください。 老人ホームですか…。考えたこともなかったです。 一口に老人ホームと言ってもさまざまな種類があります。一覧にまとめましたので、老人ホームを検討することになったら、ぜひ参考にしてみてください。 民間施設 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円要介護1以上○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ 公的施設 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ 認知症の人が便失禁を予防する方法は? 要介護度が上がって、介護サービスを使う量を増やしたとしても、父の便失禁が続くなら介護が大変なままなんですよね…。どうにか、便失禁がなくなる方法はないでしょうか? そうですね…。確実になくなるとは言い切れませんが、以下のような方法が効果があるかもしれません。 排便タイミングを把握する 食事を整える 適切にオムツを使う 適切に下剤を使う 排便タイミングを把握する まずは、お父様の排便タイミングを把握してみましょう。お父様がお一人でトイレに行っているようであればいつ排便しているのか把握しにくいですが、排泄のタイミングはわかるはず。「いつもより長くトイレに入っているな」「今日はトイレの回数が多い」など、記録をつけているうちに、排泄や排便のルーティンが把握できると思います。 トイレのタイミングを把握するんですね。でも、それで便失禁がなくなるんですか? トイレのタイミングに合わせて、「そろそろトイレに行く?」と声掛けをすると、いつものタイミングを逃さず、トイレで排便できるようにするんです。また、食後にトイレに行く習慣を身につけるのもおすすめ。食後は腸の働きが活発になるので、排便しやすい時間帯です。そのタイミングでトイレに誘導すると、自然に排便しやすくなり、便秘による便失禁が減るでしょう。 食事を整える 食事量が少なくて便秘になっている場合、食物繊維を多く摂ることで便秘が解消され、便失禁も減ることがあります。なので、普段の食事で以下のような食物繊維が豊富な食材を取り入れると良いでしょう。 さつまいも 玄米 大豆 ごぼう 適切にオムツを使う 加齢によって肛門周辺の筋肉である肛門括約筋が衰える傾向があります。そのため、肛門がしっかり閉じられないために、知らず知らずのうちに便失禁をしてしまうこともあるんです。そうした場合、下着を汚してしまうので、オムツを使うのも検討してください。 オムツですか。まだ早いような気がするのですが…。 下着のような履き心地のショーツ型の紙パンツである「リハビリパンツ」もあります。リハビリパンツであれば、紙オムツよりもお父様の抵抗感が薄いと思いますよ。いろんな手を尽くしても、すぐにお父様の便失禁が100%なくならないかもしれません。そのため、少しでも福井さんの介護の負担を減らすためにリハビリパンツを利用するのをおすすめします。 適切に下剤を使う 下剤を使って便秘を解消することも、便失禁を予防することにつながります。ただ、ご高齢者は、若い世代よりも薬が効きすぎてしまうことが多いんです。便秘を解消しようとして下剤を使ったら、むしろ下痢になってしまった…ということも珍しくありません。 下剤の調整って難しいんですね。 そうなんです。なので、かかりつけ医などに相談しましょう。便秘で悩んでいるご高齢者はたくさんいらっしゃるので、すぐに薬を処方してくれると思いますよ。その際に、便失禁があることも伝えておくと、うまく薬の量を調整してくれるでしょう。 便失禁をしているから、要介護度がいくつ、と決まっているわけではない 区分変更で介護度が上がったら、介護サービスを増やして、負担を減らそう 排便タイミングを把握したり、適切にオムツを使って便失禁を防ごう pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/08/23

認知症 在宅介護

認知症の母親がお風呂を嫌がる…。においが気になるので、入浴させる方法を教えてください!

認知症が進んできたのか、母親がお風呂を嫌がるようになってしまいました。昔はお風呂が大好きだったのに、最近は月に1~2回しか入浴しません。 においもありますし、フケもすごいです。下着も替えておらず衛生的に良くないので、お風呂に入るように言うのですが、口を出すとものすごい勢いで怒りだして…。毎日、口論になるので疲れました。 どうにか母が入浴してくれる方法はないでしょうか? (鎌田さん・会社員・61歳) まずは、どうしてお風呂を嫌がるのかを考えてみましょう。認知症の方がお風呂を嫌がる理由には、「入浴の必要性がわからない」「入浴の方法がわからない」「裸になるのが恥ずかしい」などがあります。理由がわかったら、その対策を考えます。なかでも、適切な声掛けが大切。お母様がお風呂に入ったと思い込んでいる場合、「体が汚れているからお風呂に入ろう」と言っては逆効果。「お風呂に入っているから汚れていない!」と怒らせてしまう可能性があります。ご家庭での介助が難しい場合は、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを利用して、介護のプロに頼るのもひとつの手です。 認知症の母がお風呂を嫌がるのはなぜ? 昔はお風呂が大好きだったのに、認知症のせいか母親が入浴を嫌がるようになってしまいました。最近は月に1~2回しかお風呂に入りません。そのため、髪の毛のフケがすごいし、においもすることがあって…。お風呂に入るように何度言っても耳を貸しません。どうにかお風呂に入らせる方法はないものでしょうか? それは衛生面で心配ですね…。お母様にお風呂に入っていただく方法を探す前に、どうしてお風呂を嫌がるのかを考えてみましょう。原因が分かれば、対応方法もわかるかもしれません。 確かにそうですね。どうして母はお風呂を嫌がるのでしょうか? お母様の状況を見ないとはっきりとしたことはわかりませんが、一般的に認知症の方がお風呂を嫌がる理由には以下のようなものがあります。もしかしたら、この中にお母様がお風呂を嫌がる理由に当てはまるものがあるかもしれません。 入浴の必要性がわからない 入浴の方法がわからない 入浴が面倒くさい お風呂に悪いイメージがある 裸になるのが恥ずかしい 介助がいらないと思っている 入浴する気分ではない 入浴の必要性がわからない 認知症の影響で、入浴する必要性がわからなくなることがあります。 どういうことでしょうか?何週間もお風呂に入らなければ、頭がかゆくなったり、においがしたりするものだと思いますが…。 それが、認知症になるとお風呂に入っていると思い込んでしまうことがよくあるんです。お風呂に入っているから体は汚れていないし、入浴しなくて良いと思ってしまうんですね。なので、頭がかゆくてもお風呂に入っていないことと結びつかないんですよね。それに、年を重ねると嗅覚がにぶることが多いので、ご自分のにおいに気がついていないのかもしれません。 お風呂に入っていると思い込んでるんだ…。それじゃあ、確かに「お風呂に入っていないから入って」と言っても耳を貸さないですよね。 入浴の方法がわからない 認知症の症状のひとつに、「実行機能障害」「失行」というものがあります。これらの症状のせいで、入浴の仕方がわからなくなっている可能性があります。 入浴の仕方がわからなくなることなんてあるんですか? そうなんです。例えば、実行機能障害とは、物事を順序立てて作業できなくなること。入浴の「1枚ずつ服を脱ぐ」「シャンプーで頭を洗って、シャワーで流す」といった作業もできなくなってしまうんです。また、失行はそれまでできていたことができなくなること。具体的には、体を洗うために何をしたら良いのかがわからなくなってしまったりするんです。 認知症になると、今まで当たり前にできていたのに急にできなくなってしまうことがあるんですね…。 入浴が面倒くさい 誰しもお風呂に入るのがめんどくさい、と感じることはありますよね。特にご高齢になると、体力も落ちてくるので疲れて入浴がめんどくさく感じることが増えているのかもしれません。 お風呂に悪いイメージがある お風呂で転んだり顔に水がかかるなど、嫌な経験を以前にしていると、悪いイメージだけが残ってしまって、入浴を嫌がることがあります。 でも、認知症になると物忘れが増えますよね?母もちょっと前のことでもすぐに忘れてしまいますし、嫌な経験をしていても忘れてしまうんじゃないですか? 確かに、嫌なことがあってもその出来事自体の記憶は忘れてしまうかもしれません。ただ、認知症の方は、出来事の記憶は忘れてしまってもそのときの感情の記憶は忘れにくいと言われています。なので、お風呂で嫌なことや恐怖を感じる出来事があると、嫌な感情だけが残っている可能性も。つまり、「なんだかわからないけど、嫌な感じがするからお風呂に入りたくない」と感じているのかもしれません。 裸になるのが恥ずかしい 「裸になるのが恥ずかしい」って、お風呂では裸になるのが当たり前じゃないですか? そうですね。でも、認知症の影響でお風呂がどういうところなのかわからなくなっていたらどうでしょうか?なんで裸になるのかわからず、服を脱ぐのを嫌がるのも自然なことですよね。 確かに…。「なんで服を脱がないといけないんだ」と不安になるかもしれません。 また、ご家族が入浴介助をする場合、家族は服を来ているのに自分だけ服を脱ぐのにも違和感があるのかもしれません。また、ご家族としては服を脱ぐのを手伝おうとしているだけなのに、「わけもわからず服を脱がされる!」と混乱してしまう可能性も考えられますよね。 介助がいらないと思っている 認知症の方の場合、入浴介助が必要なことがわからず、家族に手を出してもらいたくないのでお風呂を嫌がるケースがあります。「介助なんていらないのに、家族が手伝おうとしてくる」と、自尊心を傷つけられてしまうんですね。 あぁ、母にもそういうところがあるかもしれません。私が「手伝うよ」と言ったら、「手伝いなんていらない!」と怒鳴って、自分の部屋に閉じこもってしまったことがあります。あれは見栄を張っていただけではなくて、本当に自分が手伝いが必要なことをわかっていなかったんですね。 入浴する気分ではない 好きなテレビ番組を見ていたり、眠いときにお風呂に入る気持ちにはなかなかならないですよね。それは認知症の方も同じで、声をかけたタイミングが入浴したい気持ちになっていないときだったのかもしれません。また、お母様がお一人で入浴できていたときには、気が向いたタイミングやいつものルーティンでお風呂に入っていたのに、介助が必要になるとご家族の都合に合わせることが多くなるでしょう。となると、お風呂に入る意欲が低くなり、お風呂を嫌がる原因にもなります。 言われてみれば、私の手が空いたときに「お風呂に入ろう」と声をかけていたような気がします…。 お風呂に入りたくなるような声掛けとは? お風呂を嫌がる理由には、いろんなものがあるんですね…。いくつか思い当たることがありました。 お母様に当てはまりそうなものがあって良かったです。お母様にお風呂に入ってもらうために、特に気をつけていただきたいのが声掛けです。すんなり入浴してもらえたり激しく拒否されたり、認知症の方は声掛けひとつで大きく反応が変わるんです。 どんな声掛けをすれば良いんですか? 例えば、次のような声かけが効果的かもしれません。お風呂を嫌がる理由によって適切な声掛けは異なりますし、前に効果的だった声掛けで今回もすんなり入浴してくれるとは限りません。いろいろと試してみてください。 お風呂沸かしたからどう? 一番風呂だよ 温泉に入ろう 足湯に入ろう ちょっと高い入浴剤買ってきたよ 身体を温めよう シャワーで汗を流そう たまには背中を流そうか 友達の○○さんと会うからきれいにしておこう 明日は病院だからきれいにしよう ここで、「しばらくお風呂に入ってないから入ろう」「汚れているからきれいにしよう」といった声掛けはNGです。お風呂に入っていると思い込んでいる場合、「汚れていない!」と反発されてしまうことがあるからです。 それ、よくあります!「何日もお風呂入ってないだから、汚いよ」と言ったら「汚くない!」と怒鳴られてしまいました。良くない声掛けだったんですね…。 ご家族としては、清潔にしてほしいからそう言ってしまいがちですよね。他にも、水を怖がっている様子でしたら、足湯から始めてみるのも良いかもしれません。無理に全身を洗おうとせず、「足湯だけ」「体を濡れタオルで拭くだけ」としていくうちに、気持ちが良くなってお風呂に入りたくなるケースもあるんです。ものすごく汚れているわけでなければ、完璧を目指さないのも長く介護を続けていくコツですよ。 介護サービスを利用すれば負担が減る ご家族の負担を減らすために、介護サービスを活用してお母様にお風呂に入ってもらうのもひとつの方法です。 介護サービスっていろいろありますよね。どのサービスなら、お風呂の手伝いをしてもらえるんですか? 以下の介護サービスで入浴サービスを受けられます。もちろん、必要に応じて入浴介助もしてもらえますよ。 訪問介護 デイサービス デイケア ショートステイ なかでも、デイサービスは入浴をするために利用している方も多いですね。デイサービスは、介護施設に通って利用するもので、入浴、食事、レクリエーションなどのサービスを受けられます。体操をしたり体を動かす機会もあるので、運動不足の解消にもなると思いますよ。 母は家に閉じこもりきりなので、デイサービスを利用して、外出する機会を作るのも良いかもしれないですね。 入浴介助は介助のなかでも体力を使うものなので、介護サービスを活用してプロに頼ると、在宅介護の負担がだいぶ軽くなると思いますよ。 認知症によって入浴をしたと思い込んでいたり、羞恥心からお風呂を嫌がることがある 声掛けを工夫したり、安全な環境を整えることでお風呂に入りたくなることも 家族の介護が難しいときは、デイサービスや訪問介護などの介護サービスを活用して pre { margin: 40px 0; background: ...

2023/08/21

認知症 在宅介護 デイサービス

認知症を理由にデイサービスを断られることはありますか?断られる理由も教えてください

認知症を理由にデイサービスの利用を断られることってありますか? 認知症のお母さんを介護している知人が、デイサービスの利用を断られたそうです。私も父をデイサービスに通わせようと思っていたので、同じように断られてしまうんじゃないかと心配で…。 (岡崎さん・65歳・自営業) 「認知症だから」という理由で、デイサービスの利用を断られることはまずありません。というのも、「正当な理由なしに利用を断ってはいけない」と決められているからです。ただ、認知症の影響で、ほかのご利用者や職員さんに暴力を振るったり、暴言を吐くなどの行動があれば。断られてしまうかもしれません。加えて、認知症に関係なくデイサービスの定員をオーバーしてしまう場合なども断られることがあります。 認知症を理由にデイサービスを断られる? 認知症の父をデイサービスに通わせようと思っています。が、同じように認知症のお母さんを介護している知人から、お母さんがデイサービスの利用を断られたと聞きました。認知症であることを理由に、デイサービスの利用を断られることってあるんでしょうか? うーん、「認知症だから」という理由だけで断られることは基本的にはないですね。というのも「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」と厚生労働省が定めているからです。どのような理由でデイサービスに断られたかご存知ですか? そこまではちゃんと聞きませんでした。デイサービスを断られたと聞いてショックだったので…。ちなみに、「正当な理由なくサービスの提供を拒んではならない」ということは、正当な理由があれば断れるということですよね?どんな理由で断られてしまうんでしょうか? 厚生労働省が正当な理由について、大まかな指標が示されています。断られてしまう理由について、お伝えしますね。 認知症の人がデイサービスを断られる理由 厚生労働省は、デイサービスの利用を断る正当な理由として、以下の3点を挙げています。 当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合  利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合  その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合 引用元:厚生労働省 老健局「介護保険最新情報 Vol.920 令和3年2月8日」 認知症とは関係のないものもありますが、さまざまな理由を把握していただきたいので、順番にお話ししていきますね。 当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合 「当該事業所の現員からは利用申込に応じられない場合」とわかりにくい表現をしていますが、つまりは「定員オーバー」の場合のことです。ちなみに「現員」とは、「現在の人員」のこと。要するに「現在の人員からこれ以上増えたら対応できないと考えられる場合」は利用を断っても良い、ということですね。 うーん、安全のことを考えたら、定員オーバーならしょうがないですね。 利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合 「利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合」というのも、ややこしい表現をしていますが、「サービス対象地域外の人は断っても良い」ということです。デイサービスでは、送迎の都合などでご利用者の居住地域を限定しています。そのため、その送迎エリアから外れているご利用者の利用を断るのは、正当な理由に当てはまります。 デイサービスは、利用者の家を順番に回って送迎してくれるんでしたっけ。それなら住んでいる地域を限定しているのはしょうがないことですよね。 その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合 認知症の症状が理由で利用を断られた場合、この「その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合」が当てはまるかもしれません。 どういうことですか? 「その他利用申込者に対し自ら適切な介護サービスを提供することが困難な場合」とは、簡単に言えば「その利用者に合った介護サービスを提供できない場合」ということですね。例えば、認知症の症状にデイサービス側が対応できないとき。認知症の影響で、帰宅願望が強くなってしまったり、不安感が強くて徘徊してしまったり…。利用開始する前に大まかな認知症の症状の聞き取りがあるので、その際にデイサービス側で対応できないと判断すると利用を断られることがあります。 なるほど…。父も落ち着かないときは家のなかをうろうろすることがあります。となると、断られてしまうんでしょうか? いえいえ、施設によってはさまざまな認知症の症状を持つ方を受け入れていることもあります。どういった状態であれば利用できるのかは、そのデイサービスごとに異なりますね。ただ、ほかのご利用者や職員さんへの暴力や暴言がある方の場合、かなり高い確率で利用を断られてしまうでしょう。 そうなんですね!父は暴力を振るったり暴言を吐く人ではないですが…。そういえば、知人のお母さんは暴言を吐くことがよくあるそうです。気持ちが高ぶっていると手が出ることもあると言っていました。 もしかしたら、暴力や暴言を理由にデイサービスの利用を断られたのかもしれませんね。やはり、デイサービスとしてもほかのご利用者や職員に危害を与える可能性のある方を受け入れるわけにはいきませんから。 認知症の症状が進行しているときは病院が優先 認知症の方が症状を理由にデイサービスの利用を断られる場合、介護サービスの利用よりも治療を優先した方が良いケースが多いんです。 それってどういうことですか? 介護のプロであるデイサービスから利用を断られたということは、認知症の症状が介護職員では手に負えない状態である可能性が高いということです。つまり、介護で認知症ケアをするのではなく、医療で認知症治療をするほど状況が深刻ということ。通院や入院による治療を優先した方が良い段階とも言えます。 なるほど…。認知症がひどい状態ならまずは治療を、ということですね。ちなみに、認知症の治療ってどんなことをするんですか? 認知症の治療方法には、以下のようなものがあります。 薬物療法 作業療法 運動療法 生活機能回復訓練 回想法 薬物療法 薬物療法とは、その名の通り、薬を使った治療方法のことです。実は、認知症を完治させる薬はまだ存在しません。そのため、認知症治療に使われているのは症状を抑える薬です。認知症の症状を一時的に抑えたり緩和したりすることを目的としています。 認知症の薬は父も使っています。 ちなみに、認知症治療に使われている薬にはいくつかの種類があります。現在、認知症の薬は以下の4種類です。 アリセプト® (塩酸ドネペジル) レミニール® (ガランタミン) イクセロンとリバスタッチパッチ®(リバスチグミン) メマリー®(メマンチン) 作業療法 作業療法って何ですか? 作業療法は、トランプやぬりえ、手芸といった頭や指先を使うものが多いです。レクリエーションのように楽しめるものが多いですね。他にも、音楽を聴く音楽療法や園芸療法といったものもあります。 運動療法 運動療法は、身体を動かすことで認知症の症状を抑える治療法です。例えば、体操や関節の動きを良くするストレッチやリハビリ、筋力トレーニングもおこないます。 生活機能回復訓練 「生活機能回復訓練」?耳慣れない言葉です。 日常の中でおこなう動作をリハビリすることで、認知機能の低下を抑制することが目的の治療法です。認知機能が衰えてくると、歯磨きやトイレでのズボンの上げ下げ、髪をとかす、といった何気ない動作ができなくなることがあります。そうなると、日常的に介助が必要になりますよね。そこで生活機能回復訓練を通して日常動作のトレーニングをして、自分で身の回りのことができるようになることを目的としています。 回想法 回想法は、認知症の方の記憶の特徴を生かした治療法。認知症の人は「最近の出来事を忘れやすい」一方で、「昔の記憶は忘れにくい」という特徴があります。そこで、その方の子どもの頃の写真や、思い出の品、当時流行した音楽などを使って昔のことを思い出してもらい、思い出を語ってもらうんです。そうすることで脳が活性化して、認知症の症状が緩和できるそうです。 へー、そんな治療法があるんですね。おもしろそう! 認知症デイサービスなら受け入れられるかも もし、一般的なデイサービスの利用を断られてしまっても、「認知症デイサービス」であれば受け入れてもらえるかもしれません。 「認知症デイサービス」? 名前の通り、認知症の方のためのデイサービスです。食事や入浴、機能訓練、レクリエーションなどをおこなうのは、一般的なデイサービスと共通。ですが、加えて認知症の方に合った作業療法や運動などもおこないます。さらに、認知症デイサービスの定員は最大12名。認知症の方は、人が多い環境や慣れない人とのコミュニケーションが苦手な傾向があるので、それに配慮して利用者数を制限しているのです。 なるほど。認知症の人に配慮したサービスや体制が整っているんですね。 そうなんです。それに、もちろん認知症の方が利用しているサービスですから、職員も認知症ケアの経験が豊富な人ばかり。なかには認知症ケアに関する資格を取得している職員もいるので、安心して通えるのが魅力です。 それはうれしいですね!認知症デイサービス、利用しようかな。 デイサービスと一口に言っても、認知症デイサービスのように認知症ケアに特化していたり、身体機能を回復するリハビリに注力していたりと、さまざまな特徴があります。お父様に合ったデイサービスを見つけてくださいね。 デイサービスは正当な理由がないと利用拒否はできない! 定員オーバー、送迎範囲外、認知症の症状に対応できない、などの理由で断られることも 認知症デイサービスであれば、重度の認知症の人を受け入れていることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; ...

2023/08/16

認知症 在宅介護

認知症の母親が寝てくれなくてもう限界。どうしたら夜に寝ない母が眠ってくれますか?

認知症の義母と同居しています。最近、義母が夜中に起き出して家の中をゴソゴソと探しまわるようになりました。何度も布団に連れて行くのですが、それでも寝てくれなくて…。 私も夫も母が目を覚ます度に起きているので寝不足です。昼間は仕事があるので、体力的にもしんどくて。どうしたら寝てくれるようになるでしょうか? (小田さん・会社員・62歳) 認知症の影響や日中の活動量が低下することで体内時計が乱れて、ご高齢者が不眠になることがあります。そういう場合は、まず睡眠記録をつけて睡眠の状態を把握しましょう。そこから不眠の原因や傾向がわかる可能性があります。また、昼間に散歩をしたりデイサービスに通って身体を動かすことでほど良く疲れて夜に眠りやすくなることもありますよ。認知症の方が夜に眠らない理由はさまざまなので、まずは原因を見つけてそこから対応方法を探っていきましょう! 認知症の人が夜に寝ないのはなぜ? 同居する認知症の義母が寝ないので、一緒に起きていて睡眠不足です。私も夫も仕事があるので、体力的にしんどくて…。家の中で何かを探しているようにゴソゴソとして落ち着かないし、夜中に1人で外出しようとするので危なくておちおち寝ていられないんです。どうしたら夜に眠ってくれるようになるんでしょうか? うーん、そうですね…。ご高齢者が夜に眠らなくなる理由はさまざまです。理由に合わせた対応方法がありますから、まずは夜に眠らなくなった理由を考えてみましょうか。 夜に寝ない理由ですか…。年を取って眠りが浅くなるから、とかですかね? その可能性も大いにあります。「眠りが浅くなるため」も含めて、以下のような理由が考えられます。 眠りが浅くなるため 体内時計が乱れているため 日中の活動量が少ないため トイレの回数が多いため 食事をしたことを忘れているため 時間や場所がわからなくなったため 身体に痛みや不快感があるため 睡眠環境が整っていないため 「レム睡眠時行動障害」のため 眠りが浅くなるため 歳を重ねると誰しもが眠りが浅くなるのはよく聞く話ですよね。それに加えて、認知症の影響によっても眠りが浅くなりやすいんです。認知症の症状が進行している方だと、連続で1時間の睡眠も取れなくなってしまうこともあると言われています。 1時間も眠れないんですか!?認知症って眠りにも影響するんだ…。もしかしたら義母も認知症の影響で長時間眠れなくなっているのかもしれないですね。 体内時計が乱れているため 認知症の影響で、「概日リズム」、いわゆる「体内時計」が乱れやすくなることもわかっています。これは、認知症によって脳の機能が損傷することで体内時計の調整がしにくくなることが原因とされています。加えて、認知症になると社会参加や外での活動の機会が減ることで体内時計が乱れやすくなります。人は、学校や仕事、地域の人との交流といった活動を日中におこなうことで体内時計の調整をおこないますが、そうした機会が減ってしまうので体内時計の調整をする要因も減ってしまうんですね。 出かける予定が体内時計の調整に役立っていたんですね…。最近はほとんど家から出なくなっているからなあ。 認知症や社会参加の機会が減るなどの複数の条件が重なることで、体内時計が乱れて昼夜が逆転して夜に眠れなくなっている可能性もあるんですね。 日中の活動量が少ないため 認知症を発症していたり、介護が必要なご高齢者の多くは、日中の活動量が少ない傾向があります。活動量が少ないと身体が疲れないので、夜に眠気が起こりにくいんです。 確かに。昼間にのんびりする日が続くと、疲れていなくて眠りにくかった経験はありますね。母もずっと家の中にいますし、疲れないから寝付けないのかも…。 トイレの回数が多いため これはイメージしやすい原因だと思います。夜中に何度もトイレに起きてしまうことで、睡眠時間が減ってしまうんですね。それに何度も起きることで、寝付きが悪くなったり眠りが浅くなることもあるでしょう。 食事をしたことを忘れているため 「食事をしたことを忘れているため」って、どうして眠りと食事が関係しているんですか? 認知症の方には、夕食を食べたことを忘れて空腹を感じたり、「食事を食べさせてもらえない」という不安感から目が覚めて食べ物を探すことがあるんです。ご高齢者のなかには、過去の生活歴から「食事が食べられないこと」に強く不安を感じる方がいます。そういう方の場合、認知症の影響で食事を食べた記憶がなくなってしまうと、不安で寝付けなくなってしまうんですね。認知症の方が食事を忘れてしまうことについては、以前のご質問でもお答えしています。ぜひ参考にしてください。 時間や場所がわからなくなったため どうして時間や場所がわからなくなると、眠れなくなるんですか? 認知症の症状のひとつに、「見当識障害」というものがあります。今の場所や時間がわからなくなるという症状です。つまり、お母様に見当識障害があった場合、「目が覚めたら自分がいる場所も時間もわからない」状態ということに。とても不安になって眠るどころではないことは想像できると思います。 確かにそうですね…。私だったら、ここはどこなのか周囲を調べようとするかもしれません。 おっしゃるとおりです。お母様が落ち着きがないのは、そういう不安を感じているのかもしれませんね。また、目覚めた時間が深夜ということがわからず、昼間だと思って活動している可能性もあります。詳しいことは、お母様に直接お話を聞いてみるとわかるかもしれませんね。 身体に痛みや不快感があるため 身体に痛みやかゆみ、不快感が原因で寝付けなくなっていることも考えられます。ご高齢になると、身体の節々が痛んだり、皮膚が敏感になって肌荒れを起こしていることがよくあります。さらに、便秘になっていてそのお腹の張りが気持ち悪くて眠れないのかもしれません。ただ、認知症になるとそうした不快感に適切に対応できなかったり、ご家族に伝えられないこともあるんです。 睡眠環境が整っていないため 寝室が明るすぎる、暑い・寒いといった理由で睡眠状態が悪くなることもあります。 うーん、義母はそんなことを言っていなかったのですが…。それに、暑かったら掛け布団を減らしたり、寒かったら増やしたりして自分で調整していますし。 そうなんですね。でしたら問題ないかもしれません。ただ、認知症の進行によって、気温や明るさの調整ができなくなることがあります。こまめに気をかけてあげてくださいね。 「レム睡眠時行動障害」のため 「レム睡眠時行動障害」とは何ですか? レビー小体型認知症の症状のひとつです。アルツハイマー型認知症の方にはあまり見られません。人は、睡眠中に深い眠りの「ノンレム睡眠」と浅い眠りの「レム睡眠」を繰り返しています。そのレム睡眠の間に大きな声を出したり、起き上がったりすることをレム睡眠時行動障害と言います。これも、認知症によって脳のレム睡眠に関わる部分が損傷することによって起こるとされています。 認知症の人が寝ないときの対応方法 認知症の人が夜に寝ない理由って、たくさんあるのがよくわかりました。いくつかは義母に当てはまりそうです。 眠れない理由に心当たりがあるものがあって良かったです。ここからはそれぞれの理由に対応した対策があるので、ご紹介していきますね。 睡眠記録をつける 日中の活動量を増やす コーヒーやアルコールなどを控える 身体の状態を整える 寝室の環境を整える 病院に相談する 睡眠記録をつける まずは、お義母さまの睡眠状態を把握するために、睡眠記録をつけてみましょう。 睡眠記録?どんなことを記録すれば良いんですか? 例えば、夜に布団に入った時間や、夜中に起きた時間、再び眠った時間、日中の活動の様子などです。しばらく続けているうちに、「昼寝をした日は夜中に起きている時間が長い」「お通じが良くないと、寝付けないのかも」など、睡眠の傾向がわかると思います。そこから、対策のヒントがわかるかもしれませんよ。 日中の活動量を増やす 日中の活動ってどうやって増やせば良いんですか? 例えば、散歩はどうでしょうか?適度な運動にもなりますし、日光を浴びることで体内時計の調整にもつながります。あとは、デイサービスを利用するのも良いでしょう。散歩をしているところもありますし、多くのデイサービスでは体操などの身体を動かすレクリエーションを取り入れていますよ。決まった時間に外出する機会を増やすことにもつながるので、規則正しい生活もしやすくなるでしょう。 コーヒーやアルコールなどを控える カフェインが眠りを妨げることはよく聞きますよね。合わせて、アルコールやタバコも睡眠状態を悪化させる効果があることもわかっています。 義母はお酒は飲まないですし、タバコも吸わないので大丈夫だと思います。でも、よく紅茶を飲むんですよね。それも影響しているのかも…。 紅茶やコーヒー、緑茶もカフェインを含みますから要注意ですね。まったく飲まないのは難しくても、夕方以降は飲まない、などのルールを決めると良いかもしれませんね。 身体の状態を整える 身体の痛みや皮膚のかゆみで眠れないようであれば、通院したり、かゆみ止めを塗ったりして治療をしましょう。また、排泄状況を把握して便秘への対策もすると、睡眠状態の改善につながるかもしれません。 病院に相談する 身体が激しく痛む様子やレム睡眠時行動障害が疑われる様子があったら、まずは病院で相談してみましょう。必要に応じて鎮痛薬や睡眠薬が処方されるかもしれません。ただ、「眠れないから」という理由だけで安易に睡眠薬に頼るのはNGです。高齢者は若い世代よりも薬の効果が出やすい傾向があるので、必要以上に薬が効いてしまうことがあるからです。 介護サービスを利用して負担を減らそう 在宅介護はご家族の負担が大きくなりがちです。そのため、介護サービスを上手く活用してできるだけ負担を減らしていきましょう。介護サービスを利用するには介護認定が必要ですが、お義母様は介護認定を受けていらっしゃいますか? 介護認定を受けてはいるのですが、介護サービスは利用していないんですよね。どんなサービスがあるかもよくわかっていませんし。 でしたら、介護サービスについてご紹介します。介護サービスには大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」がありますよ。 在宅介護サービス 在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 福祉用具レンタル 介護リフォーム 先ほどお話しした、デイサービスも在宅介護サービスのひとつです。デイサービスは、介護施設に通ってサービスを受けるもの。朝9時ごろにご自宅に迎えが来て、夕方ごろに自宅まで送ってくれます。体操や歌、クイズなど身体と頭を使うレクリエーションを積極的に取り入れている施設が多く、活動量を増やすにはピッタリです。また、日中の間、施設で預かってくれるので、安心してお仕事もできるでしょう。 なるほど、それは良いですね!利用してみようかな…。 施設介護サービス 施設介護サービスとは、以下の公的施設で受けられるサービスのことです。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ これらの公的施設は入居条件に要介護度が設定されていることが多いです。例えば、「特別養護老人ホーム」は要介護3以上でないと入居できません。 要介護3以上か…。義母は要介護2だったと思うので、入居できないですね。 でしたら、民間施設はどうでしょうか?入居条件に要介護度を設定していない施設も多いので、すぐに入居したい場合にはおすすめです。 民間施設というと、どんな施設があるんですか? 民間施設には以下のようなものがあります。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円自立~要介護5○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ 認知症の方におすすめなのは、「介護付き有料老人ホーム」とグループホームです。介護付き有料老人ホームは24時間介護職員がおり、日中は看護師も常駐しています。介護体制が充実しているので、看取りまで対応しているのが特徴です。グループホームは、認知症の方限定の施設。そのため、認知症ケアに特化しているのが特徴です。また、少人数でアットホームなので家庭的な雰囲気で過ごしたい方には合っているでしょう。 へー、介護施設と言ってもいろんなタイプがあるんですね。迷うな…。 もし、施設探しに迷った際には、ぜひ「いい介護 入居相談室」にお電話ください。さまざまな施設の知識を持った相談員が、お義母様に合った施設をお探ししますよ。 睡眠が浅くなる、活動量が少ないなどの理由で眠りにくくなっている 睡眠記録をつけたり、活動量を増やすと夜に眠りやすくなるかも 介護サービスを利用して、介護の負担を少なくしよう! pre { ...

2023/08/15

認知症 認知症介護 介護認定

認知症だけど身体は元気な母親。介護認定は下りない?

最近、母が認知症の診断を受けたのですが、それ以来、どんどん症状が進行しています。物忘れがひどくなったり、夜中に起き出して大声で叫んだりします。しかも、つい先日、1人で外出して帰れなくなって警察に保護されました。 こんな状況で、家族だけの介護はもう限界。なので、介護認定を受けて介護サービスを利用しようと思っています。ただ母は、身体は元気なんです。杖なしで歩けるし、ある程度、自分のことは自分でできます。 身体が元気だったら、介護認定は受けられないですよね?家族で介護するしかないんでしょうか? (篠原さん・パート・63歳) そんなことありませんよ!お身体が元気でも認知症であれば、介護認定が下りることは多いんです。お身体が元気な方でも、認知症の状態によっては要介護3が下りることもあります。ただ、その方の心身の状態を総合的に考えて要介護度は決定されるので、お母様の要介護度がどうなるか、はっきりとしたことはお伝えできません。もし、介護認定の結果に納得できなかった場合は、「区分変更」の申請をすることをおすすめします。その際に主治医の意見書が必要なので、主治医に認定結果に不満があることを伝えて、より実情に合った意見書を作成してもらえるようにお願いしましょう。 認知症だけど身体は元気。介護認定は下りる? 最近、検査をして母親が認知症ということがわかりました。それ以降、どんどん症状がひどくなっているような気がして…。つい先日は、1人で外出して帰れなくなり、警察に保護されてしまいました。それに夜中には大声で騒ぐので、私も夫もまともに寝られていません。こんな状況なので、家族だけの介護はもう難しいと感じていて…。介護サービスを使いたくても、介護認定が必要なんですよね?となると、母は身体だけはとても元気なので介護認定は下りないんじゃないかと思って…。どうなんでしょうか? そんなことはありませんよ!お身体が元気でも、認知症の診断が下りていれば、介護認定を受けられるケースが多いです。特に、認知症が進行していると、お身体が元気でも介助が必要な場面が出てくると思います。介助が必要な方であれば、介護認定が受けられるでしょう。 そうなんですね!母は、入浴やトイレの付き添いが必要です。身体は元気なんですけど、認知症のせいか、身体を洗ったりトイレを流すことを忘れるようになってしまって。なので、付き添って手伝ったり声をかけないといけないんです。…ちなみに、うちの母の場合、介護度はいくつになりそうでしょうか? うーん…。介護認定は、その方の心身の状態を総合的に見て判断されます。そのため、一概には言えませんね。過去の例を挙げると、認知症だけで要介護3の認定を受けた方もいらっしゃいます。要介護3というと、終身利用が多い特別養護老人ホームに入居できる状態。一般的に、ご家庭での介護は難しいと言われています。 要介護度の目安は? 母に介護認定が下りそうで安心しました。介護認定って、その人の状態に合わせて「要介護1」とか「要介護3」とかの認定が下りるんですよね? そうです!介護認定は、「要支援1」「要支援2」と「要介護1」から「要介護5」までの合わせて7段階で判定されます。 7段階もあるんですね!介護度ごとの身体状態のイメージがつかないのですが、介護度の目安ってありますか? ありますよ。介護度の目安を以下の表にまとめました。参考にしてみてください。 要介護度要介護認定の目安状態の目安となる具体例自立支援が必要ない状態。一人で支障なく日常生活を送れる要支援1基本的に一人で生活ができるが、家事などの支援が必要。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。掃除や身の回りのことの一部において、見守りや手助けが必要。要支援2基本的に一人で生活ができるが、要支援1と比べ、支援を必要とする範囲が広い。適切なサポートがあれば、要介護状態になることを防げる。身だしなみを自分だけでは整えられない、立ち上がりや歩行などでふらつく、入浴で背中が洗えないなど支援が必要な場面がある。要介護1基本的に日常生活は自分で送れるが、要支援2よりも身体能力や思考力の低下がみられ、日常的に介助を必要とする。排泄や入浴時に見守りや介助が必要。認知機能の低下がみられる。要介護2食事、排泄などは自分でできるが、生活全般で見守りや介助が必要。自力での立ち上がりや歩行が困難。爪切り、着替えなどにも介助が必要。「薬を飲むのを忘れる」「食事をしたことを忘れる」などの認知症初期症状がみられる。問題行動をとる場合もある。要介護3日常生活にほぼ全面的な介助が必要。食事、着替え、排せつ、歯みがきなど、日常生活において基本的に介助を必要。認知機能の低下によって問題行動をとる場合もある。要介護4介助がなければ日常生活を送れない。排せつ、食事、入浴、着替えなどすべてにおいて介助が必要。思考力の低下もみられ、認知症の諸症状への対応も必要になることもある。要介護5介助なしに日常生活を送れない。コミュニケーションをとることが難しく、基本的に寝たきりの状態。日常生活全般が自分でおこなえないため、寝返りやオムツの交換、食事などのすべてで介助が必要。会話などの意思疎通も困難。 介護認定の基準は? 介護認定の判定は、どういう基準でされているんでしょうか? その方の身体や認知機能の状況に加えて、「要介護認定基準時間」というものも考慮されます。要介護認定基準時間とは、1日あたりの介護にかかる時間のこと。つまり、介護にかかる時間が長ければ長いほど、要介護度が上がっていくわけですね。その方の心身の状況をふまえて総合的に判断するので、「要介護認定基準時間」はあくまでもひとつの目安ですが、参考になるかもしれません。 介護認定 要介護認定基準時間 自立(非該当) 25分未満 要支援1 25分以上32分未満 要支援2 32分以上50分未満 要介護1 要介護2 50分以上70分未満 要介護3 70分以上90分未満 要介護4 90分以上110分未満 要介護5 110分以上 介護認定の流れ さっそく、母の介護認定を受けようと思います!まずはじめに何をすれば良いんですか? まずは、お住まいの役所などで介護認定の申請をおこないましょう。役所には「高齢者福祉課」「介護保険課」といった名前の窓口があるはずです。名称は地域によって異なりますが、高齢者の生活や介護サービスに関する窓口なので、この窓口に相談すれば介護認定の申請ができるでしょう。 まずは申請ですね。その後は? その後は、お母様の現状を知るための調査が始まります。申請の後の流れは以下のようになります。 いくつか段階を踏まないといけないんですね。申請から認定結果が出るまでは、どのくらいの期間がかかりますか? だいたい1~1ヵ月半ほどかかります。もし、その期間内に介護サービスを利用したい場合は、役所の窓口で相談しておきましょう。 介護認定を受けるときの注意 介護認定を受けるときに、注意しておいていただきたいことがあります。 注意すること?何でしょうか? それは訪問調査です。訪問調査は、ケアマネジャーなどの認定調査員がご自宅に訪問してお母様の状態を調べるもの。この調査で、お母様の心身の状態を確認して、どの程度、介護が必要なのかを判断します。主治医の意見書も判定に影響がありますが、もっとも影響が大きいのが訪問調査。つまり、訪問調査でお母様の状況をしっかり伝えられないと、実情とは異なる介護度が出てしまう可能性も…。 えっ、そうなんですか!? よくあるのは、認定を受けるご高齢者が認定調査で”がんばって”しまって、実際の心身状況よりも軽い介護度が出てしまうケースです。 「がんばってしまう」?どういうことですか? 訪問調査では、認定調査員から「片足立ちができるか」「外出頻度はどれくらいか」「金銭管理ができるか」といった内容を聞かれます。もちろん、実際にその動作をしてできるかどうかの確認をされることもあります。ただ、このときになんでも「できます」と答えてしまうことも。できないと認めたくない気持ちや、初対面の認定調査員に「できない」と伝えるのが恥ずかしくて「できます」と言ってしまうんですね。 なるほど…。うちの母も見栄を張って「できます」と答えそうです。 それに、認知症の方は普段と状況が変わると意識がはっきりすることもあります。めったに会わない人や初対面の人を前にすると、ハキハキと話せることも…。なので、認知症の方が認定調査のときには普段よりもはっきり受け答えができる、ということもよく聞くケースです。 確かに。母もたまにしか会わない知人がやってきたときは、認知症になる前のようにはっきり会話ができることが多いです。 そうなんですね…。認定調査のときだけ元気となると、介護度が普段の状態よりも軽く判定されてしまい、利用できる介護サービスの量が減ってしまうこともあるんです。 それは困ります!どうしたら良いんでしょうか? 第一に、認定調査にご家族が同席すること。特に中心となって介護をしている方が同席するのがおすすめです。お母様の状態をよく把握していらっしゃると思うので。 となると、私ですね。どうして認定調査に同席するのが良いのでしょうか? お母様の普段の状況を認定調査員に伝えられるからです。もしお母様が張り切ってしまったとしても、篠原さんから普段の様子や介護で困っていることを伝えられますよね。 母の受け答えだけで、介護度の判断をするわけではないんですね! もちろんです。普段の様子を明確に認定調査員に伝えるために、事前にメモをしておくのがおすすめです。伝え漏れを防げますし、メモを認定調査員に手渡すこともできますから。また、お母様の目の前で、介護で困っていることを伝えるとお母様の自尊心を傷つけてしまう可能性があります。なので、お母様がいないところで伝えるようにしましょう。 介護認定の結果に納得できなかったら 介護度が実際よりも低く出ることがあると知って、うまく認定を受けられるのか不安になってきました…。もし、介護認定の結果が想定よりも低かったら、どうしたら良いんでしょう? 介護度が実際よりも低い結果になってしまっても、介護認定のやり直しができるので安心してください! そうなんですね!よかった。介護認定のやり直しは、どうやってするんでしょうか? 介護認定をやり直すには2つの方法があります。「審査請求(不服申し立て)」と「区分変更」です。ただ、審査請求は申請から数ヵ月かかることも珍しくありません。その一方で区分変更であれば、1ヵ月前後で結果がわかります。そのため、大半の方は区分変更をしていますね。 それなら区分変更を選びますよね。区分変更はどうやってするんですか? 区分変更の流れは、ほとんど介護認定と同じです。1点、最初の介護認定の申請が区分変更に変わるだけ。介護認定と同じく、お住まいの役所の窓口で申請ができます。 介護認定と同じであれば、手続きの流れは問題なさそうです。 ちなみに、介護認定と同様に区分変更にも、かかりつけ医の意見書が必要です。かかりつけ医に実際よりも低い介護度が出てしまったことを伝えれば、より実情に合った結果になるような意見書を作成してくれるでしょう。介護認定のやり直しについては、以前のご質問でもお答えしているので参考にしてみてください。 認知症の人が利用できる介護サービス 介護認定を受ければ、介護サービスが利用できるようになりますし、篠原さんご家族の負担が軽くなると思いますよ。 それは本当に助かります!今は、常に気を抜けない状況なので、気が休まらなくて…。ちなみに、認知症であるうちの母の場合、どんな介護サービスが利用できるんでしょうか? いろんな介護サービスを利用できますよ!介護サービスには、大きく分けて「在宅介護サービス」と「施設介護サービス」の2種類がありますから、それぞれについてお話ししていきますね。 在宅サービス 在宅介護サービスには、以下のようなものがあります。 訪問介護 訪問看護 訪問入浴 訪問リハビリテーション 居宅療養管理指導 夜間対応型訪問介護 通所介護(デイサービス) 通所リハビリ(デイケア) 短期入所生活介護(ショートステイ) 短期入所療養介護(医療型ショートステイ) 福祉用具レンタル 介護リフォーム こんなにたくさんの種類があるんですね!どのサービスを使ったら良いんでしょうか? 先ほど、「気が休まらない」とおっしゃってましたよね。なので、デイサービスを利用するのはどうでしょうか?デイサービスは、日中の時間帯に介護施設を利用するサービス。デイサービスで昼食や入浴、レクリエーションなどを提供してくれます。週に数回だけでも、お母様が介護施設で過ごしてくれれば、気が休まる時間を作れるのではないでしょうか。 それは良いですね!利用したいです。 また、ショートステイも良いかもしれません。ショートステイは、介護施設に1日から宿泊できるサービス。宿泊中の食事や入浴はもちろん、レクリエーションやリハビリなどを提供しているところもあります。ショートステイは最大30日まで利用できるので、ご家族が家を空ける場合にも安心してお母様を任せられるんです。 なるほど、そんなサービスがあるんですね。介護認定が下りたら利用してみようかな。 施設介護サービス 施設介護サービスは、以下の3種類の公的施設に入居することで受けられるサービスのことです。 特別養護老人ホーム 介護老人保健施設 介護医療院 この3つの施設は、介護が必要な方向けのため、要介護1もしくは要介護3以上の介護認定が下りていないと入居できません。公的施設の特徴は、以下の表にまとめたので確認してみてください。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ特別養護老人ホーム(特養)0円8~14万円要介護3以上○介護老人保健施設(老健)0円7~14万円要介護1以上○介護医療院0円7~14万円要介護1以上○養護老人ホーム0円0~14万円自立×ケアハウス0~数十万円6~17万円自立~要介護3程度△ このなかでも、終身利用が可能な特別養護老人ホームは人気で、入居まで数年待つこともあるくらいなんです。 そんなに待つんですか!介護施設ってすぐに入りたいと思っても入れるものじゃないんですね。 いえ、公的施設ではなく民間施設であれば、比較的早めに入居できますよ。 民間施設?というと、どんな施設なんですか? 民間施設には、以下の4種類があります。 介護付き有料老人ホーム 住宅型有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅 グループホーム 介護施設にも、いろんな種類があるんですね。 そうなんです。民間施設のなかにも入居条件が設定されていることがあるので、施設の特徴を以下の表にまとめました。 施設の種類入居時費用月額利用料入居条件認知症の受け入れ介護付き有料老人ホーム0~数千万円15~30万円自立~要介護5○住宅型有料老人ホーム0~数千万円11~25万円自立~要介護3程度△サービス付き高齢者向け住宅0~数十万円11~25万円自立~要介護1程度△グループホーム0~数十万円10~15万円要支援2以上◎ グループホームという施設は、認知症の受け入れが「◎」になっていますね。どういう施設なんですか? グループホームは、認知症の方限定で介護施設のなかでも認知症ケアに特化している施設なんです。小規模でアットホームな雰囲気が合うのであれば、お母様が入居する施設の候補に挙げても良いかもしれません。認知症の方のなかでも、お身体が元気な方が多く暮らしている施設ですから。 それは良いですね!母に合いそうです。介護サービスを利用できるのは、身体が不自由で介護が必要な人だけだと思っていました。母の要介護度がいくつになるかはわかりませんが、まずは介護認定の申請をしてきます。 身体が元気でも、認知症なら介護認定は下りる! 要介護度は要支援1~要介護5の7段階 認定調査の前に、普段の様子をメモに残しておこう! pre { margin: 40px 0; background: #333; ...

2023/08/14

排泄 認知症 在宅介護

認知症の母親が便をいじって家中うんこまみれに…。トイレを汚すこともあるので対策を教えてください

認知症の母親が、自分の便をいじって服だけでなくふとんや壁に触って汚すようになって大変なんです。何度、注意しても治りませんし、認知症のせいで注意したことも覚えていないようです。 仕事から帰って疲れていたときに、部屋中を汚されたときは本当に参りました。最近、そんなことが増えてきたので家に帰ってきても気が抜けません。良い解決策はありませんか? (片山さん・61歳・会社員) それは、本当に大変でしたね…。便をいじることは、認知症の症状のひとつで「弄便(ろうべん)」と言います。下着やおむつの中に便があることに違和感を覚えて素手で触ってしまい、その汚れた手をいろんな場所になすりつけてしまうんです。なので、できるだけ下着やおむつの中に便が入っている時間を短くすることが大切。おむつの中にではなく、トイレで排泄できるようにすること、寝たきりの人の場合は定期的におむつ交換をすることが便いじりを減らすことにつながるでしょう。 弄便(ろうべん)とは? 認知症の母が、便をいじって汚れた手をふとんや壁になすりつけるんです。便を触っているというだけでもショックなのに、部屋中を汚されて片付けも大変だし…。この間なんて、私が仕事から帰って母の部屋に入ると部屋中が汚れていて…。とても疲れていたのに、服やふとんを洗濯して、壁も拭いて…と、本当に参りました。 それはとても大変でしたね…。お仕事も介護もお疲れ様です。お話を聞く限り、お母様は認知症の周辺症状(BPSD)のひとつである「弄便」の症状が現れているように思います。 弄便(ろうべん)とは 便器の中に手を入れたり、トイレ以外の場所で失禁してしまうのは“不潔行為”と呼ばれるBPSD。その中でも、自分の排泄物を手で触ったり、衣服や壁にすりつけてしまう弄便は、介護者への負担が大きい症状です。 弄便の多くは、排泄物をしたことによる違和感やオムツの不快感が原因と考えられています。 オムツが不快だから中の排泄物を取りのぞこうとして手に便がついてしまう、手についた便をどうしたら良いかわからなくて服や壁にすりつける。本人にその気はなくても結果として弄便になってしまうことが多いようです。 ろうべん、ですか? 弄便は便を触って自分の身体やふとん、壁などにこすりつけること。中には便を汚いものと認識できずに、自分の顔に塗りつけたり、食べてしまうケースもあります。 食べてしまう!?信じられない! おっしゃるとおり、私たちにとっては信じられないことなんですが、認知症の影響で認知機能や理解力が低下していることで便が何だかわからなくなってしまうんですね。ただ、悪意があって便をいじったり、部屋を汚しているわけではないことは理解しておいてください。 弄便の原因は? 他の認知症の周辺症状も同様ですが、弄便にも原因があります。その原因を取り除くことで、症状が軽くなったりなくなったりするんです。 その原因というのは? 例えば、以下のようなことがあります。 おむつの中が不快で気になる 失禁を隠そうとする 便を正確に認識できない おむつの中が不快で気になる 下着やおむつの中で排便すると、肌に便が触れますよね。その感覚が不快で気になって便をいじってしまうことがあります。認知症の影響で排便をしたことを忘れてしまっている場合、「知らないうちに何かが下着の中に入っていて不快だから取り除こう」と思って便を触っていることも考えられます。 なるほど。確かに排泄したことを忘れてしまっているなら、不快でしょうがないですよね。 もしくは、お尻周りの皮膚がかぶれてかゆみがあるのかもしれません。かゆみがあれば誰でも気になるもの。かゆみのある部分を触ろうとして意識せずに便にも触ってしまっている可能性もあります。 失禁を隠そうとしている 失禁を隠そうとしている場合、汚れた服や下着をタンスや物陰に隠してしまうこともあります。また、失禁をしたことの羞恥心から、誰にも知られないように自分で片付けようとしたものの、どうしたら良いのかわからず、周囲を汚してしまってパニックになるケースもあるんです。 便を正確に認識できない 「正確に認識できない」というのは、さっきの「便を食べてしまう」ケースということですか? おっしゃるとおりです。私たちは排泄物は汚いものだと社会的な慣習に基づいて覚えますよね。それが認知症の影響で忘れてしまうんです。なので、便を何かわからず手でこねたり、美容クリームと思い込んで顔に塗るといった行為をすることもあります。 便をいじったときの対応方法は? 便をいじってしまう原因について、なんとなく理解しました。では、母が便いじりしたときはどう対応したら良いんでしょうか? それでは、便いじりが起きたときの対応方法についてお話ししていきましょう。 こんな対応はNG! 最近、便いじりの頻度が上がっているような気がして。何度叱っても繰り返すし…。 実は、便いじりをしたときにお母様のことを叱るのは逆効果になることがあります。 えぇ!?そうなんですか? さっきお伝えしたように、便いじりをすることに対してご本人には悪意はありません。なので、なぜ叱られているのかわからないんです。それに、認知症の影響で叱られた内容を忘れてしまう可能性もあります。ただ、叱られたことによる「嫌な気持ち」は残ります。それで不安感が増して、便いじりの回数が増えてしまうことも考えられるんです。 じゃあ、どうしたら良いんですか? 冷静に対応することが大切です。大声を出さず、お母様を責めず、穏やかに対応することで、お母様も安心するんじゃないでしょうか。 まずは手を、それからシャワーできれいに 便いじりによって汚れてしまったら、まずはお母様の手を洗いましょう。身体も汚れている場合、「早くきれいにしないと」とあせって急いで浴室に向かいたくなるかもしれません。ですが、手をきれいにしていないと浴室に行く途中の壁や手すりが汚れてしまう可能性もあります。なので、まずは手をきれいにしてから浴室で身体を洗ってくださいね。 便いじりの予防方法はある? 便でふとんや壁まで汚されると、掃除するのが本当に大変で…。どうにか便いじりを止めさせる方法はないでしょうか? 残念ながら、すぐに便いじりがなくなる方法というのは残念ながら思いつかないです…。ただ、便いじりの頻度を減らす方法はいくつかあります。以下のようなことを続けていくと、頻度が減っていくと思いますよ。 トイレで排泄する習慣をつける 汚れをとりやすいような工夫をする 皮膚を保護する トイレで排泄する習慣をつける トイレが間に合わず、下着やおむつの中で失禁してしまっている場合、できるだけトイレで排泄できるように習慣づけをしましょう。下着やおむつの中に便がある時間を短くするのが便いじりを減らす第一歩です。認知症になると、尿意・便意があってもトイレに行くことがわからなくなることがあります。なので、もじもじしていたり、力んでいるなど、いつもと違う様子があればご家族が声掛けをしてトイレに誘導してみてください。 なるほど。母はリハビリパンツを使っているのですが、気がついたらパンツの中で排泄してしまっていることが増えました。あれは、トイレに行くことがわからなくなったからだったんだ…。 もし、トイレに行くのが大変そうな様子があったら、お母様のお部屋にポータブルトイレを設置するのも良いでしょう。肌に便が触れている時間を減らすことで、肌のかぶれも減りますから、かゆみが原因の便いじりも減ると思いますよ。 皮膚を保護する 合わせて、肌のかぶれが原因の便いじりを減らすために、肛門やお尻の周りにクリームを塗っておくのも効果があるでしょう。ワセリンなどのクリームを塗っておけば皮膚を保護してくれるので、肌のかゆみやかぶれを防げます。 汚れをとりやすいような工夫をする これは、便いじりを減らす方法ではないのですが、便いじりが起きてしまったときに汚れを取りやすくするために、便が付きやすい場所の壁にビニールの保護シートを貼るのもおすすめです。またシーツの上から敷く防水シートも売っていますので、それを使えば寝具への汚れも減らせるでしょう。加えて、畳の部屋の場合は畳の上に敷くだけのフローリングカーペットがあります。畳の目に汚れが残りやすいですから、カーペットを敷くだけでも掃除が楽になると思いますよ。 おむつや下着の中の不快感から便をいじってしまうことも 便で汚れていても怒鳴ったり叱ったりするのはNG! 予防するにはトイレで排泄する習慣をつける、おむつをこまめに交換すること pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2023/05/31

排泄 認知症 在宅介護

認知症の母親が夜間におむつ外しするので、対策を教えてください。服やシーツが毎日汚されて大変!

同居する認知症の母を介護しています。私の知らないうちに尿パッドをリハビリパンツから抜いており、服を汚してしまいます。夜はおむつをしているのですが、おむつのテープを外してしまって服とシーツを汚すんです。 常にパッドを抜いていないか気を張っていないといけませんし、毎日のように汚れたシーツや衣類の洗濯をするのにも疲れました。どうにかならないでしょうか? (広瀬さん・パート・63歳) もしかしたら、濡れたパッドが肌に触れるのが嫌でおむつやパッドを外してしまうのかもしれません。そういうときは、お母様の排泄のパターンを把握してそれに合わせてトイレの誘導やおむつ交換をしましょう。濡れたおむつやパッドが肌に触れる時間を減らすことで外す回数も減るかもしれません。 認知症の人がおむつを外す原因は? 認知症の母が尿パッドやおむつを外してしまって困っています。母は、昼はリハビリパンツに尿パッドを付けて使っています。ただ、しばらくすると自分で尿パッドを抜いてしまい、汚れたパッドが床に落ちていることもあります。リハビリパンツだけでは足りないのでズボンも汚してしまい、1日に何度も着替えさせないといけません。それだけじゃなくて、夜もおむつを自分で外してしまうので来ている服もシーツも洗濯しないといけないんです。常にパッドやおむつを外していないか、気を張っていないといけない状況に疲れました。何か良い方法はないでしょうか? おむつやパッドを外してしまうことの対応方法はいくつかあります。でも、どうしてお母様がおむつやパッドを外してしまうのかをきちんと理解していないと、対策をとっても効果がないかもしれません。それどころか逆効果になってしまうこともあります。なので、まずは原因を見極めましょう。それに合わせた対策をとっていくのが大切ですよ。 おむつやパッドを外してしまう原因と言っても、すぐに思いつきません…。どうして母はきちんとおむつやパッドを着けていてくれないんでしょうか? ご高齢者がおむつやパッドを外してしまう原因はいくつか考えられます。具体的には、次のようなことです。 おむつやパッドが恥ずかしい なぜおむつをしているのかわからない 着けているのが気になる 濡れているのが不快 肌がかぶれていてかゆい おむつやパッドが恥ずかしい ご高齢者の中には、おむつやパッドをすることを恥ずかしいと感じる人もいます。これまで当たり前のようにできていた「トイレに行って用を足す」ということができなくなったのを受け止められないんですね。それにおむつやパッドを使う人の多くは、排泄時に介助が必要です。介助を受けることを「情けない」と考え、目を背けたい気持ちから外してしまうのかもしれません。 なぜおむつをしているのかわからない 「なぜおむつをしているのかわからない」ってどういうことですか?私は母に「普通のパンツだと漏らしてしまうかもしれないから」と何度も説明していますから、おむつやパッドを着けている理由がわからないことはないと思うのですが…。 うーん、これが認知症の人を介護することの難しさなのですが、認知症になると新しいことを覚えるのが苦手になるのはご存知だと思います。なので、おむつやパッドの必要性を説明されても、しばらく経つと忘れてしまっている可能性が高いです。そのうえ、おむつやパッド、リハビリパンツはほとんどの人にとってなじみの薄いもの。そのため、お母様は「なんでこんなものを履いているの?」と、おむつやパッドに違和感を抱いて外してしまっているのかもしれません。 あれだけ言っても必要性を理解してくれていなかったんですね…。 認知症の人が新しいことを覚えるのには時間がかかります。根気強くいきましょう。 濡れているのが不快 もし、お母様が外しているおむつやパッドが尿で汚れているのであれば、濡れているものを着けているのが嫌で外していることも考えられます。特に、リハビリパンツの中に尿パッドを入れて使っている状態は、簡単にパッドを外しやすいですから、「濡れていて気持ち悪いから取ろう」とパッドをパンツから抜いているのかもしれません。 そういえば、母が抜いてしまったパッドはいつも濡れています。もしかしたら、濡れているのが嫌だったのかもしれません。 おむつが濡れていて不快な状態が続くと、おむつの中を触ってしまって「弄便(ろうべん)」につながることがあります。便で汚れた手を服やふとんになすりつけたりして周囲を汚してしまうことも多いんです。弄便については、以下のご相談でもお答えしているので、ぜひ参考にしてみてください。 肌がかぶれていてかゆい 在宅介護で意外と気が付きにくいのが、肌のかぶれです。おむつやパッドを使っていると蒸れやすいので肌トラブルが起きやすい状態ですが、家事や介護に忙しくて肌の状態にまで目が向かないのが実情ではないでしょうか。そして、肌のかぶれをそのままにしたままでおむつやパッドをしているので、肌がかゆくて外してしまうんですね。 認知症の人がおむつを外すときの対策は? 母がおむつやパッドを外してしまう原因に、いくつか思い当たるものがありました。どう対策していけば良いんでしょうか? 外してしまう原因と同じように対策もいくつかありますから、お母様の状況に応じていろいろ試してみると良いでしょう。具体的には、以下のような対策があります。 「おむつ」という言葉を使わない 排泄パターンを把握する 布パンツに変える 「おむつ」という言葉を使わない なんで「おむつ」と言ってはいけないんですか? おむつやパッドを使うのが恥ずかしいと感じている人に「おむつ」と言うと、いかにも「介護を受けている」と感じて情けない気持ちになることもあるからです。それが理由でおむつを使うことを嫌がったり、外してしまうこともあるんですよ。なので、「おむつ」という表現を避けて、「紙パンツ」「使い捨て下着」のような言い方に変えてみるのもひとつの手。ちょっとした言い方を変えるだけでお母様の気持ちが変わって、おむつ外しがなくなるかもしれませんよ。 排泄パターンを把握する 「排泄パターン」って何ですか? 多くの人は、1日の中で排泄するタイミングがおおよそ決まっています。例えば、起きてすぐの7時ごろ、朝食が落ち着いた9時ごろ、昼食が終わった13時ごろ、お茶をする15時ごろ…といった具合です。 トイレへ誘導するコツ トイレに誘導するタイミングを誤ると「さっきも行ったのに!」「しつこい!」などと思わせてしまい、トイレ拒否へとつながることも。そうならないためには、トイレに行く時間を日々記録し、把握しておくことをおすすめします。同じ時間にトイレ誘導することで、本人のリズムで排泄でき、トイレ拒否改善にもつながります。 また声をかける際は、「トイレの時間だから行くよ!」といった強制感のある言葉ではなく、「トイレは大丈夫?」など、本人の気持ちに寄り添った声かけをしましょう。 排泄パターンに合わせてトイレに誘導してパッドを取り替えたり、夜におむつ交換をしたりすれば、濡れたパッドが肌に触れている時間が減っておむつやパッドを外してしまうことも減るでしょう。 布パンツに変える もし、お母様がおむつやリハビリパンツを履いていること自体に違和感があって外しているのだとしたら、布パンツに変えることで失禁が改善する可能性があります。 むしろ、布のパンツに変えたらもっと失禁が増えちゃいませんか? いえ、なじみのないおむつやリハビリパンツから慣れている布パンツにすれば、気になってパッドやおむつをいじることが減るかもしれません。もちろん、布パンツの中にパッドを入れて失禁対策はしますよ。かぶれが起きにくくなりますから、肌の状態も良くなるでしょう。 おむつを使うメリット・デメリット 一見、メリットが大きいように見えるおむつですが、一方でデメリットも存在します。 おむつを使用するメリット 失禁の不安がなくなり、安心して外出できる夜間に使用することで、高齢者自身と介護する人の身体的負担を軽減できるトイレに移動する際の転倒リスクを減らせる おむつを使用するデメリット 自尊心が傷つくトイレに行くことが少なくなり、残存機能の低下を招く尿意や便意を感じにくくなる皮膚トラブルが多くなる費用面での負担が増える おむつの使用は最終手段として考え、トイレでの排泄が基本であることを忘れないようにしましょう。 おむつやパッドをしている理由を忘れてしまったり、濡れているものが肌に触れる不快感から外してしまうことがある 排泄パターンを把握して排泄介助をしたり、布パンツにパッドを入れることで状況が良くなることも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; ...

2023/04/25

認知症 施設入居 介護疲れ

認知症の母親を施設に入れたい!認知症でも入れる施設はある?

認知症の母を老人ホームに入れようか迷っています。最近、汚れた尿パッドを自分で片付けられなくなり、タンスの奥にしまい込んでいるのをみつけてしまいました。そんなことが毎日なので、もううんざりです。でも、まだ一人暮らしはできているし、施設に入れるのは早いのかな、とも思っています。 そもそも、認知症の母を受け入れてくれる施設はあるのでしょうか?認知症になってしまうと、介護施設に入れませんか? (早川さん・パート・64歳) 認知症という理由だけで介護施設に入居を断られることはまずありませんよ!むしろ、ご入居者のほとんどが認知症である施設は珍しくないんです。もし、入居のタイミングを迷っているようでしたら、「自宅で暮らし続けるのが不安かどうか」をひとつの判断基準にしてみてください。お母様が「一人で外出して帰って来れなくなった」という状態になったり、介護をしている早川さんの仕事や家事に影響が出ている状況でしたら、施設に入居することをおすすめします。 認知症でも入れる介護施設はある? 認知症の母を介護施設に入居させるかどうか迷っています。最近、使用済みの尿パッドの片付け方がわからなくなったのか、タンスの引き出しの奥にしまいこむようになってしまいました。なので、いつも部屋の中がひどい匂いがして…。毎日のように私が通って介護しているのですが、匂いがひどいので行くのも気が滅入っています。でも、認知症だと老人ホームに入れたくても受け入れてくれないでしょうか? そんなことはありませんよ!認知症というだけで、入居を断る老人ホームはほとんどありません。むしろ、ご入居者のほとんどが認知症の方、という施設も珍しくないんです。 そうなんですね!それなら良かったです。でも、介護施設っていろいろありますよね?この間ネットで調べてみたら、たくさんありすぎてよくわからなくて…。 そうですよね。ひとくちに「介護施設」と言ってもたくさん種類があります。正直なところ、とてもややこしいです。なので、認知症の方の受け入れができる主な介護施設を次にまとめてみました。 特別養護老人ホーム(特養) 有料老人ホーム サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) グループホーム あ、「特別養護老人ホーム」は聞いたことがあります。友達のお母さんが入所していたような…。 特養は公的な介護施設ということもあり費用が安いので、比較的身近な介護施設かもしれません。ただ、入所するにはいくつか条件があって「要介護3以上」の介護認定を受けている人でないと入れません。それでも費用が安くて終身利用ができる施設のため人気が高く、多くの特養は満室。入居まで1年以上待つ、なんてこともあるんです。 特別養護老人ホームとは 特別養護老人ホームは、在宅での生活が困難な高齢者に対し介護を提供する施設で、略して「特養(以下、特養)」とも呼ばれています。公的な介護施設で、次の3つの特徴があります。 老人ホームの中では比較的安価に入所できる看取りの対応が可能な施設も多く、終身で利用できる入所待機者が多く、地域によっては入所までに数年かかることもある 特養では、入浴や排泄・食事といった介護のほか、日常生活の介助・機能訓練・健康管理・療養上のお世話などが受けられます。終身での利用ができるため、「終の棲家(ついのすみか)」として選ぶ方の多い施設です。 えっ!1年以上も待つんですか!?そんなに人気なんですね…。 はい。なので、すぐに介護施設に入居したい場合は、民間企業が運営している施設をおすすめします。例えば、「有料老人ホーム」や「サービス付き高齢者向け住宅」。有料老人ホームには「住宅型有料老人ホーム」と「介護付き有料老人ホーム」の2種類あり、介護付きの方がより介護体制が充実しているのが特徴です。介護付きであれば介護度が重くなっても対応ができます。もし、長期的に利用することを考えているのであれば、介護付きがおすすめです。 介護付き有料老人ホームとは 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 なるほど…。もうひとつの「サービス付き高齢者向け住宅」というのはどういう施設ですか? サ高住は、基本的には介護の必要のない”自立”の人向けの施設。ただ、最近では訪問介護サービスの事業所やデイサービスを併設している施設もあり、介護が必要な人にも対応できるサ高住が増えています。ただ、介護付き有料老人ホームが介護サービス費がどれだけ利用しても変わらない定額制であるのに対して、一部の例外を除いたほとんどのサ高住では介護サービス費は利用した分だけお金がかかります。なので、介護が必要な量が増えると介護サービス費がかさむため、常に介護が必要な人にはおすすめできません。介護サービス費が定額制になっている「特定施設」のサ高住については、以前のご相談でお答えしています。こちらも参考にしてみてくださいね。 うーん…。このまま母の認知症が進んだら、介護の必要な量が増えると思うんですよね。となったら、介護付きの方が良いのかしら…。 もしくは、認知症を発症していてもお体が元気な方にぴったりな施設があります。それが、「グループホーム」です。グループホームは、認知症の方限定の施設。要支援2以上でグループホームがある市区町村に住民票がないといけない、という入居条件はありますが、認知症ケアに特化しているので安心して生活できると思いますよ。 ...

2023/02/20

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介護付き有料老人ホームとは│提供されるサービス・費用・入居条件などを解説

介護付き有料老人ホームは、介護スタッフが24時間常駐している介護施設。介護サービスや身の回りの世話を受けられます。 この記事では、介護付き有料老人ホームの種類及び入居のための条件や必要な費用、サービス内容などを詳しく説明しています。 https://youtu.be/oK_me_rA0MY 介護付き有料老人ホームの特徴 介護付き有料老人ホームとは、有料老人ホームのうち、都道府県または市町村から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。24時間介護スタッフが常駐し、介護や生活支援などは施設の職員により提供されます。 主に民間企業が運営しているため、サービスの内容や料金は施設ごとに異なります。また、入居基準も施設により異なり、自立している方から介護が必要な方まで幅広く受け入れている施設も。選択肢が幅広いため、自分に合った施設を選ぶことができます。 看取りまで対応している施設も多数あり、「終の棲家(ついのすみか)」を選ぶうえでも選択肢のひとつとなります。 全体の概要をまとめるとこのようになります。 費用相場 入居時費用 0~数千万円 月額利用料 15~30万円 入居条件 要介護度 自立~要介護5※1 認知症 対応可 看取り 対応可 入居のしやすさ ◯ ※施設の種類によって異なります。 特定施設入居者生活介護とは 特定施設入居者生活介護は、厚生労働省の定めた基準を満たす施設で受けられる介護保険サービスです。ケアマネジャーが作成したケアプランに基づき提供される食事や入浴・排泄など介助のほか、生活支援、機能回復のためのリハビリなどもおこなわれます。指定を受けてこのサービスを提供する施設は、一般的に「特定施設」の略称で呼ばれています。 介護付き有料老人ホームの種類と入居基準 介護付き有料老人ホームには「介護専用型」「混合型」「健康型」の3種類があり、それぞれ入居条件が異なります。 介護度 ...

2021/11/10

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グループホームとは|入居条件や費用、入居時に気をつけたいポイントを解説

認知症の方の介護は大変です。「そろそろ施設への入居を検討しよう」と思っても、認知症の症状があると、入居を断られてしまうのではと心配もあるでしょう。 グループホームは認知症高齢者のための介護施設です。住み慣れた地域で暮らし続けられる地域密着型サービスであり、正式な名称を「認知症対応型共同生活介護」といいます。 こちらの記事では、グループホームについて解説します。また、グループホームで受けられるサービスや費用、施設選びのポイントも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。 https://youtu.be/EofVO7MRRDM この記事を読めばこれがわかる! グループホームの詳細がわかる! グループホームを選ぶ際のポイントがわかる! グループホームへ入居する際の注意点がわかる! グループホームとは グループホームとは、認知症高齢者のための介護施設です。専門知識と技術をもったスタッフの援助を受けて、要支援以上の認知症高齢者が少人数で共同生活をおくります。 「ユニット」といわれる少人数のグループで生活し、入居者はそれぞれ家事などの役割分担をします。 調理や食事の支度、掃除や洗濯など入居者の能力に合った家事をして自分らしく共同生活を過ごすところが、ほかの介護施設や老人ホームとは異なるポイントです。 グループホームの目的は、認知症高齢者が安定した生活を現実化させること。そのために、ほかの利用者やスタッフと協力して生活に必要な家事を行うことで認知症症状の進行を防ぎ、できるだけ能力を維持するのです。 グループホームは少人数「ユニット」で生活 グループホームでは「ユニット」と呼ばれるグループごとに区切って共同生活を送るのが決まり。1ユニットにつき5人から9人、原則1施設につき原則2ユニットまでと制限されています。 少人数に制限する理由は、心穏やかに安定して過ごしやすい環境を整えるため。環境変化が少なく、同じグループメンバーで協力して共同生活することは、認知症の進行を防ぐことに繋がります。 認知症の方にとって新しく出会う人、新しく覚えることが難しいので、入居者やスタッフの入れ替わりが頻繁にある施設では認知症の高齢者は心が落ち着かず、ストレスを感じ生活しづらくなってしまいます。その結果、認知症症状を悪化させるだけでなく、共同生活を送る上でトラブルを起こすきっかけとなります。 慣れ親しんだ場所を離れて新しい生活をするのは認知症の方には特に心配が尽きないもの。その心配を軽減するため、より家庭にできるだけ近づけ、安心して暮らせるようにしています。 グループホームの入居条件 グループホームに入居できるのは医師から「認知症」と診断を受けている方で、一定の条件にあてはまる方に限ります。 原則65歳以上でかつ要支援2以上の認定を受けている方 医師から認知症の診断を受けている方 心身とも集団生活を送ることに支障のない方 グループホームと同一の市町村に住民票がある方 「心身とも集団生活を送ることに支障のない」という判断基準は施設によって異なります。入居を希望している施設がある場合には、施設のスタッフに相談しましょう。 また、生活保護を受けていてもグループホームに入ることは基本的には可能です。しかし、「生活保護法の指定を受けている施設に限られる」などの条件があるので、実際の入居に関しては、行政の生活支援担当窓口やケースワーカーに相談してみましょう。 グループホームから退去を迫られることもある!? グループホームを追い出される、つまり「強制退去」となることは可能性としてゼロではありません。一般的に、施設側は入居者がグループホームでの生活を続けられるように最大限の努力をします。それでも難しい場合は、本人やその家族へ退去を勧告します。「暴言や暴力などの迷惑行為が著しい場合」「継続的に医療が必要になった場合」「自傷行為が頻発する場合」etc。共同生活が難しくなった場合には追い出されてしまうこともあるのです グループホームで受けられるサービス グループホームで受けられるサービスは主に以下です。 生活支援 認知症ケア 医療体制 看取り それぞれ詳しく見てみましょう。 生活支援 グループホームでは以下の生活面でのサービスを受けられます。 食事提供 :◎ 生活相談 :◎ 食事介助 :◎ 排泄介助 :◎ 入浴介助 :◎ 掃除・洗濯:◯ リハビリ :△ レクリエーション:◎ 認知症を発症すると何もできなくなってしまうわけではなく、日常生活を送るだけなら問題がないことも多いです。 グループホームには認知症ケア専門スタッフが常駐しています。認知症進行を遅らせる目的で、入居者が専門スタッフの支援を受けながら入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこないます。 食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで、そして洗濯をして干すといった作業や掃除も、スタッフの介助を受けながら日常生活を送ります。 グループホームでは、入居者の能力(残存能力)に合った家事を役割分担して自分たち自身でおこなうことになります。 例えば、食事の準備として買い出しから調理、配膳、後片付けまで。また、そして洗濯をして、干すまで…など。そのために必要な支援を、認知症ケアに長けた専門スタッフから受けられるのが、グループホームの大きな特徴です。 グループホームは日中の時間帯は要介護入居者3人に対して1人以上のスタッフを配置する「3:1」基準が設けられています。施設規模によっては、付き添いやリハビリなどの個別対応が難しいので、入居を検討する際は施設に確認しましょう。 認知症ケア 施設内レクリエーションやリハビリのほかに、地域の方との交流を図るための活動の一環として地域のお祭りに参加や協力をしたり、地域の人と一緒に公園掃除などの活動を行う施設も増えてきました。 グループホームとして積み上げてきた認知症ケアの経験という強みを活かし、地域に向けた情報発信などのさまざまな活動が広がっています。 地域の方と交流する「認知症サロン」などを開催して施設外に居場所を作ったり、啓発活動として認知症サポーター養成講座を開いたりするなど、地域の人々との交流に重きを置くところが増えています。 顔の見える関係づくりをすることで地域の人に認知症について理解を深めてもらったり、在宅介護の認知症高齢者への相談支援につなげたり。 こうした活動は認知症ケアの拠点であるグループホームの社会的な価値の向上や、人とのつながりを通じて入所者の暮らしを豊かにする効果が期待できます。 医療体制 グループホームの入居条件として「身体症状が安定し集団生活を送ることに支障のない方」と定義しているように、施設に認知症高齢者専門スタッフは常駐していますが、看護師が常駐していたり、医療体制が整っているところはまだまだ少ないです。 しかし近年、高齢化が進む社会の中で、グループホームの入居者の状況も変わってきています。 現在は看護師の配置が義務付けられていないので、医療ケアが必要な人は入居が厳しい可能性があります。訪問看護ステーションと密に連携したり、提携した医療機関が施設が増えたりもしているので、医療体制について気になることがあれば、施設に直接問い合わせてみましょう。 看取り 超高齢社会でグループホームの入所者も高齢化が進み、「看取りサービス」の需要が増えてきました。 すべてのグループホームで看取りサービス対応しているわけではないので、体制が整っていないグループホームの多くは、医療ケアが必要な場合、提携医療施設や介護施設へ移ってもらう方針を採っています。 介護・医療体制の充実度は施設によってさまざまです。介護保険法の改正が2009年に行われ、看取りサービスに対応できるグループホームには「看取り介護加算」として介護サービスの追加料金を受け取れるようになりました。 看取りサービスに対応しているグループホームは昨今の状況を受け増加傾向にあります。パンフレットに「看取り介護加算」の金額が表記されているかがひとつの手がかりになります。 グループホームの設備 グループホームは一見、普通の民家のようで、家庭に近い雰囲気が特徴ですが、立地にも施設基準が設けられています。 施設内設備としては、ユニットごとに食堂、キッチン、共同リビング、トイレ、洗面設備、浴室、スプリンクラーなどの消防設備など入居者に必要な設備があり、異なるユニットとの共有は認められていません。 入居者の方がリラックスして生活できるように、一居室あたりの最低面積基準も設けられています。このようにグループホーム設立にあたっては一定の基準をクリアする必要があります。 立地 病院や入居型施設の敷地外に位置している利用者の家族や地域住民と交流ができる場所にある 定員 定員は5人以上9人以下1つの事業所に2つの共同生活住居を設けることもできる(ユニットは2つまで) 居室 1居室の定員は原則1人面積は収納設備等を除いて7.43㎡(約4.5帖)以上 共有設備 居室に近接して相互交流ができるリビングや食堂などの設備を設けること台所、トイレ、洗面、浴室は9名を上限とする生活単位(ユニット)毎に区分して配置 グループホームの費用 グループホーム入居を検討する際に必要なのが初期費用と月額費用です。 ここからは、グループホームの入居に必要な費用と、「初期費用」「月額費用」それぞれの内容について詳しく解説していきます。 ...

2021/11/15

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2021/10/28

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