特集
高齢者の骨折において、骨折した部位が体の中心に近い場合や、骨折した高齢者に基礎疾患がある場合に死亡率が高まることが研究で明らかになりました。 この研究は、オーストラリアのカーヴァン医学研究所に所属するJacqueline Center氏が牽引しておこなわれました。 研究の詳細 この研究の対象者は次の通りです。 対象者は直近14年の間に骨折した50歳以上のデンマーク人30万7870人 対象者のうち、男性は9万5372人で、女性は21万2498人 対象者はさらに4つのグループに分けられました。グループはそれぞれ、比較的健康なグループ、心疾患を患っているグループ、糖尿病を患っているグループ、がんを患っているグループとなっています。 平均して約6年間にわたって追跡したところ、男性の約43%と女性の約39%にあたる人が死亡。また、死亡者のうち半数近くが、2つ以上の疾患を持っていました。最も多くの人が患っていたのは心疾患で、次に多かったのはがんだったそうです。 さらに、各グループの骨折部位と骨折後の死亡率、基礎疾患の有無を照らし合わせました。すると、太ももの骨にあたる大腿骨(だいたいこつ)、股関節にあたる大腿骨近位部、骨盤、肋骨(ろっこつ)、鎖骨などの体の中心に近い部位を骨折し基礎疾患がある人は、そうでない人に比べて骨折後の死亡率が上昇したことが明らかになったのです。 特に死亡率が高かったのは、がんのグループの大腿骨近位部を骨折した男性で、40.8%の人が死亡しました。 一方、手や前腕などといった体の中心から離れた部位を骨折した、比較的健康なグループでは、死亡率の増加はほぼ見られませんでした。 研究を通して考えられること なぜ、基礎疾患がある人が骨折すると、死亡率が上がったのでしょうか? この研究をリードしたCenter氏は具体的なことはまだわかっていない、としながらも、「骨と免疫系の相互作用によるものである可能性が高い」と考えています。基礎疾患があると、骨折による炎症を引き起こしている原因分子をうまくコントロールできず、結果として骨折が基礎疾患を悪化させているのではないかと推測しました。 今回の研究論文の筆頭著者であるThach Tran氏は、「この研究は、骨折と基礎疾患が相互に関連していることを明らかにしたもので、リスクが高い患者を特定しやすくするものかもしれない」と話しました。 高齢者は骨がもろくなり、骨折しやすくなります。骨折の原因になりやすい転倒を減らす工夫が大事ですね。
2022/11/11
11月2日、愛知県名古屋市港区に住む高齢者の自宅を訪れ、キャッシュカードを不正に入手しようとした男が逮捕されました。 事件の概要 74歳女性の自宅に、百貨店の職員と名乗った男から「クレジットカードが偽造され、キャッシュカードがスキミングされた可能性がある」と電話がありました。またその男は、「銀行職員が向かうので、職員にカードを渡してほしい」といった趣旨の発言もしていたそうです。 女性はこれを不審に思って警察に通報し、「だまされたふり作戦」を男に実行します。その後、女性の自宅に現れた愛知県の23歳の男、筒井悠登容疑者は詐欺未遂で現行犯逮捕されました。 11月2日の午前中は、名古屋市港区と南区で同様の詐欺事件が確認されていて、警察は関連を調べています。 詐欺被害に遭わないために キャッシュカード詐欺の被害が急速に確認されています。 今回は百貨店の職員でしたが、警察や銀行職員と名乗って「キャッシュカードが不正に利用されている」と電話をかけてくることもあるそうです。 警察は、よくある詐欺の手口をこう解説しています。 電話の中で、「預金を保護する手続きをするため、職員を家に向かわせる」などと、うその手続きを説明する キャッシュカードを受け取りに来た、銀行職員などに扮した犯人は、「手続きをするから暗証番号を書いた紙とキャッシュカードを封筒に入れてほしい」と要求 その隙に、あらかじめ用意しておいた偽物のカードと本物のカードをすり替える 被害者が気づかない間に口座から現金を引き出す 警察は、「警察官や銀行職員が暗証番号を聞いたりキャッシュカードを封筒に入れさせることは絶対にない」として注意を呼びかけています。 最近ますます巧妙になっている詐欺の手口。詐欺に遭わないために、「おかしいな」と少しでも感じた電話は、まず家族などに相談することが大事ですね。
2022/11/11
11月7日、財務省は国の財政を話し合う財政制度分科会の中で、「介護老人保健施設(通称「老健」)や介護医療院、介護療養病床における多床室の室料を2024年度からすべて利用者負担にすべき」との考えを示しました。 少子高齢化で介護にかかる費用はますます増大しており、それを抑えるねらいです。 財務省の主張 現在、個室の場合は水道光熱費と室料を利用者が負担していますが、1つの大部屋に大人数のベッドが配置されている多床室の場合は、水道光熱費のみ利用者負担となっています。これは、個室と多床室で生活環境に違いがあり、それを考慮した結果です。 しかし特別養護老人ホーム(通称「特養」)では、2015年からすでに多床室の室料も利用者負担となっています。特養は「終の棲家」としてだけではなく、事実上、生活の場として利用者から選ばれており、在宅を選んだ人との負担を均等にするため、特養では多床室の室料も利用者が負担することになったのです。 しかしその結果、老健や介護医療院などの多床室を利用している人と特養の多床室を利用している人で、負担額に差が生じました。 このことを踏まえ財務省は、どんな施設であっても、「同じように居住費を求め公正性を担保するために、老健や介護医療院の多床室においても室料を請求するべきだ」と主張しました。 介護保険部会であがった意見 この「老健や介護医療院の室料を利用者負担にするか」というテーマは、介護保険改正案を話し合う社会保障審議会の介護保険部会でも重要な論点になっています。 今回の介護保険部会では、財務省の案に賛否両論の意見が出されました。 肯定派からは「施設間の負担の公平性から見直しを図るべきだ」と財務省の案を後押しする意見が出ています。 一方、「老健や介護医療院は、住まいではなく『医療を提供する施設』と位置づけられているため、居住費を利用者に求めるのは適切ではない」と否定的な意見も多く聞かれました。 また、「利用者の負担を検討するならば、低所得者層が利用できなくなったということがないように、負担できるかどうかをしっかり調査する必要がある」と慎重な意見も見られます。 必要な人に、必要なサービスを届けるためにも、支払い能力に応じた対策をしてほしいところですね。
2022/11/11
長引くコロナ禍で外出したり運動したりする機会も減り、高齢者を中心に、心筋梗塞や狭心症などといった虚血性心疾患のリスクが高まっています。 そのような背景を受け、福岡工業大学で生体情報計測システムを研究している李知炯(リ・ジヒョン)助教の研究室が、画期的な血管の健康チェックができる装置を開発しました。 指輪のような装置で血管の状態を調べる方法 李研究室が開発した装置は指輪のようになっていて、指にはめるだけで血管の硬さ・血圧・心拍数の3つの情報を計測できます。 また病院にあるような大がかりな装置に比べ、端末の長さは約9センチと大幅な小型化に成功しています。 この装置の使い方は簡単で、以下のようにして血圧の値や血管の硬さ、心拍数を算出します。 装置を指にはめる 小型のポンプで空気を送り込み、内部のカフを膨張させる カフで指を圧迫することで、心臓から押し出された動脈血がつくる波形である、指の根元の脈波を、搭載された光センサーが計測 脈波を装置が読み取る その特徴を、コンピューターの演算や制御を司るマイクロプロセッサーが分析 このように、自分はただ指に装置をはめるだけで、血管の状態を測定できるのです。 装置の使用実績 李研究室の健康チェック装置は、福岡工業大学が福岡県の篠栗町(ささぐりまち)で実施している高齢者の健康調査「篠栗元気もん調査」で使用。すでに4000人以上の篠栗町内の高齢者の健康状態を診断し、データを取得しています。 取得したデータをもとに、精度向上に向けた装置の改良も実施中とのことです。 今回紹介した装置は試作段階のため、まだ一部の地域でしか使えませんが、病院で血管の状態をチェックすることはできます。 健康で長生きするためにも、万病のもとである動脈硬化の予防は重要です。定期的に血管の状態を確認して、動脈硬化の予防に努めましょう。
2022/11/10
厚生労働省の諮問機関である社会保障審議会は、2024年度の介護保険制度改正に向けた議論を進めています。 特にフォーカスされているのが、介護保険の給付と負担に関する議論です。少子高齢化が進行し、給付費はますます財政を圧迫。2020年度の状況報告によると、利用者負担をのぞいた給付費が初めて10兆円を突破したことも明らかになりました。 今後、介護保険制度を持続させるためにも、財政基盤の強化は急務となっています。 介護保険制度の今後を決める3つの議題 9月26日に開かれた社会保障審議会の介護保険部会では、政府側がこれから推し進めていきたい議題を列挙しました。挙がった議題の多くは、これまでも議論してきたけどなかなか実現できなかったものです。 挙がった主な議題は次の3つです。 要介護1と2に認定されている人の一部介護サービスを、市町村がおこなう総合事業へ移管すること ケアマネジメントの有料化 40歳以上としている被保険者の年齢引き下げ この議題の中でも、介護サービスの一部を市町村が実施する生活支援事業である、総合事業に移管するのは、時期尚早だとする意見が多く出されています。 現在、総合事業は生活がほぼ自立している要支援の人を対象に実施されています。しかし、これから加えようとしている要介護1や2の人は認知症の人も多く、これらの人を受け入れる自治体の体制がまだ整っていないのです。 また、利用者を適切な介護サービスにつなげるケアマネジメントはこれまで無料でしたが、財政圧迫のため、有料化しようとする動きも。しかし、有料化することで低所得者層の利用控えが生まれ、適切なサービスにつなげられなくなるおそれが懸念されています。 さらに、現在の第2号被保険者は40歳以上からですが、その年齢を引き下げる案も出ています。しかし、40歳以下はちょうど子育て世代に当たり、彼らのさらなる負担を課すとして反発もあります。 65歳以上の保険料引き上げも視野に 10月31日に開かれた介護保険部会では、一定以上の所得がある65歳以上の人に対する介護保険料を引き上げる案が出されました。所得が高い人にも介護保険料を負担をしてもらうことで、若い世代の負担を減らす狙いです。 一方、低所得者層の介護保険料は引き下げ、支払い能力に応じた仕組みを作ろうとしています。 政府は2024年度の実施を目指し、議論を深めています。誰もが納得できる制度にするのは難しいですが、少しでもお互いが歩み寄ってより良い介護保険制度になれば良いですね。
2022/11/10
家族の世話に追われている子ども「ヤングケアラー」の現状を把握しようと、千葉県は今年の7~8月にアンケート調査を実施しました。 ヤングケアラーとは? ところで、「ヤングケアラー」とは具体的にどのような子どもを指すのでしょうか? 厚生労働省によると、法的な定義はありませんが、「本来大人が担うと想定されている家事や、家族の世話を日常的にしている子ども」のことを指すとしています。 例を出すと、家族に代わり幼いきょうだいの世話をしている子どもや、障がいや病気のある人、足腰が弱った高齢者の身の回りの世話をしている子ども、家計を支えるために労働している子どもなどが挙げられます。 勉強する時間や友人と遊ぶ時間などを犠牲に家族の世話をしているため、本来なら享受できたはずの「子どもとしての時間」が奪われているのです。 その結果、授業に出席できず、家でも勉強する時間がないため、学業へ悪影響が出ることもあります。また、課外活動もできず就職へ影響が出たり、コミュニケーションを取る時間も奪われるので、友人関係にも影響が出ることも考えられます。 千葉県の調査 千葉県は、千葉市をのぞく公立の小学6年生、中学・高校の2年生の計11万7000人を対象にアンケート調査を実施しました。 現在、自分が世話をしている人の有無を尋ねる質問で「いる」と答えたのは、小学6年生の14.6%、中学2年生の13.6%、高校2年生の10.5%でした。しかし、このうち「自分はヤングケアラーである」と認識しているのは、小学6年生で7.1%、中学2年生で6.4%、高校2年生で8.5%にとどまりました。 家族の世話をしている時間は、小中高生とも平均は2時間半程度となっています。さらに7時間以上世話をしていると回答した子どもも2%ほどいました。 子どもがのびのびと暮らし、健やかな成長ができる社会にするためにも、ヤングケアラー問題には早急に取り組む必要がありそうです。
2022/11/10
10月31日に介護保険の今後を話し合う、社会保障審議会介護保険部会が開かれました。そこで、要介護1と要介護2の高齢者に対する訪問介護と通所介護を、市町村の日常生活支援総合事業(以下「総合事業」と呼称)に移管するという構想が話し合われたのです。 この総合事業とはどういったものなのでしょうか? 総合事業は、今までは主に要支援者に該当した高齢者を対象に実施。高齢者が要介護状態になることを防止し、慣れ親しんだ地域の中で自立した生活を送れるように支援する制度です。 ただ、上限がない介護保険の一律給付と違って、総合事業には高齢者人口の伸び率に合わせた上限額が設定されており、行政が支出をコントロールしやすい代わりに、ケアに十分なお金が回らないリスクもあるのですります。 国が訪問介護と通所介護の該当者を減らし、総合事業に移管しようとしている理由として、高齢化が進行し、介護費用の総額が介護保険制度創設時と比べて約3.7倍になっていることが挙げられます。 今後も介護費は右肩上がりになることが予想され、国は現役世代の負担を減らそうとこの構想を打ち立てたのです。 介護福祉士会の意見 日本介護福祉士会は、総合事業に移管する案を「介護外し」だとして厳しく批判し、10月24日に要望書を、11月4日に意見表明書をそれぞれ国に提出しました。 要介護1や要介護2の人は、自立してほとんど他者の手を必要としない要支援の人と比べ、認知機能が低下し生活の一部または大半を支援する必要がある人も多く見受けられます。例えば、認知症でトイレが認識できず、トイレに行くことも1人では困難という人であっても、足腰がしっかりしていれば要介護1や要介護2の判定を受けてしまいます。 そのような人を、要支援の人をターゲットにしている総合事業に適応させるのは難しく、適切なケアが提供できなくなることも考え、かえって重度化を促進するおそれもあると、介護福祉士会は警鐘を鳴らしています。 総合事業に移すべきという意見 一方で、財務省や経済界は総合事業への移行を推進しています。 日本経団連は、「今後の社会保障を維持していくためにも経済の活性化が不可欠。そのためには現役世代の負担を減らしていく必要がある」と主張しました。 またほかにも、「現役世代の負担はすでに限界にあり、給付と負担のバランスを確保しなければならない」といった意見も出ました。 できる限り介護の水準は維持していきたいですが、下の世代にしわ寄せがいってしまうのも事実。うまく双方の妥協点を見つけたいところです。
2022/11/09
今年の7月、アサヒグループ食品は自身が家族の介護をしている531人の男女を対象に、介護世帯の食を中心としたアンケート調査を実施。家族は、長引くコロナ禍で増えた在宅介護の負担を減らそうと、さまざまな策を練っていることがわかりました。 介護における食と調理意識について まず、介護における食と調理意識に関する調査をしました。 調査結果を見ると、新型コロナウイルスが流行する以前に比べ、レトルトやインスタント食品を利用している人が増えていることが明らかに。65.9%の人が「レトルトやインスタント食品がある」と回答しています。「介護用のレトルト食品も活用していきたい」と答えた人もコロナ禍以前より増えていました。 さらに、「介護の食事は配食やホームヘルパーなどのサービスを活用した方がいい」と回答した人も、コロナ禍以前より大幅に増加しています。 これらの背景には、新型コロナウイルスの流行で介護施設の利用が制限され、家族が介護を必要としている人の食事作りも担っている人が増えていることが推測されます。その食事作りが負担になると感じている人も多いようで、「食事の支度は面倒だ」と回答した人は6割に上りました。 現在利用している介護サービスについて アンケートでは、現在利用している介護サービスに関する調査もおこないました。 すると、デイサービスなどの通所介護施設やショートステイを利用している人がコロナ禍以前に比べ大幅に減っていることが明らかに。やはり新型コロナウイルスの蔓延で、施設の利用を現在は控えている人も少なくないようです。 一方、介護食や配食サービスの利用はコロナ禍以前より増加傾向。家事代行サービスやクリーニングサービスを利用する人もコロナ禍以前に比べて増えています。その背景には、在宅介護の負担を少しでも減らそうとしていることが推測されます。 新型コロナウイルスの流行は、介護環境にも多大な影響を与えました。長く介護を続けていくためには、レトルト食品を使ったり配食サービスを利用するなど、負担を減らしていく工夫が大事になっていきそうです。
2022/11/09
11月1日、訪問介護のヘルパー3人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であり、裁判は原告側の訴えを退ける形となりました。 原告3人は、訪問介護ヘルパーが劣悪な労働条件や低賃金の中、働くことを余儀なくされているのは介護保険制度にあるとして国を提訴。また、「移動時間などの賃金未払いによって、介護労働者としての尊厳を傷つけられる働き方を強いられた」として、原告1人に対し330万円を支払うよう求めていました。 原告側の主張 訴えの中でヘルパーの労働実態が見えてきました。 原告側の主張は以下の通りです。 訪問介護事業所の中で大半を占める非正規雇用のヘルパーは、利用者宅への移動時間や合間の待機時間など介護サービス以外の時間に賃金が支払われない。その原因は、賃金を支払えるだけの介護報酬体系になっていないことにある 利用者側のキャンセルによる休業手当も発生しない 以上のような「労働基準法違反の状態を放置し、事業所を規制する権限を行使しなかったのは違法」として国を相手に裁判を起こしたのです。 裁判の結果 「移動時間などの未払い賃金が支払われていない」という原告側の訴えに対し、国側は「未払い賃金などの支払いは事業者側の義務である」と反論しています。 判決でも「労働条件は各事業所が是正すべきものだ」と国側の主張を認める形で、原告の訴えを棄却しました。 判決後の報告集会で、原告側は「介護サービスを提供した時間しか賃金が支払われない不安定な生活だ」と改めて苦しい現状を訴えました。 このような厳しい労働条件で、訪問介護の各事業所は深刻なヘルパー不足に悩まされています。公益財団法人「介護労働安定センター」の2021年度の調査では、事業所の実に8割が「ヘルパー不足」と回答しているのです。 高齢者が自宅で自分らしい暮らしを営んでいくけるためにも、ヘルパーの労働条件の改善は急務です。
2022/11/09
居宅介護支援とは、利用者が可能な限り自宅で自分らしい生活を送れるようにケアマネジャーがケアプランを作成し、関連機関と連携を取るように調整していく介護サービスです。 この居宅介護支援サービスは万人が公平に受けられるようにするため、制度発足から継続して利用者負担はなく、その費用はすべて介護保険財源で賄っていました。 しかし、少子高齢化で介護保険の対象になる人が増え、財源が圧迫されてきています。 そこで、国は増大する介護保険の費用を抑えるために、居宅介護支援費の一部を利用者にも負担を求めました。 それを受けて10月28日、ケアマネジャーが集う日本介護支援専門員協会は、居宅介護支援において現在おこなっている全額給付を今後も継続してほしいと国に要望書を提出したのです。 要望書の中身 要望書は、日本介護支援専門員協会や日本介護福祉士会など福祉系10団体の連名で提出されました。 中身は、居宅介護支援費を利用者が一部負担することに断固反対し、全額給付を維持するように要求するというもの。特に、全額給付が実現しているからこそ、居宅サービスが多種多様な利用者の状況に応じて効率的に提供されているという点を強調して訴えています。 全額給付の意義 居宅介護支援費の全額給付は、制度発足から今まで継続してきました。 この全額給付は、利用者それぞれが解決すべき課題や置かれている環境に応じて、医療・介護などのサービスが効率よく、誰に対しても総合的に提供されるようにするためにあります。 今回の要望書の中で、そうした意義は「今日の利用者に対しても薄らぐことはない」と強く訴えています。 もし居宅介護支援を利用者が一部負担することになれば、低所得者層は利用を控えることもあり得るでしょう。 しかし、居宅介護支援サービスは介護保険サービスを利用するための入口。有料化した結果、低所得者層にセーフティーネットとしての介護保険制度の手が届かなくなるおそれもあるのです。 居宅介護支援費の有料化は、2024年度の介護保健制度改正をめぐる大きな論点のひとつとなっています。今後の動向に注目ですね。
2022/11/08
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。