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Q&A

在宅介護

施設入居 在宅介護

親の介護が私に集中してしんどいです。どうやったら他の兄弟と分担できるのでしょうか?

先日、退院した義母の状態が想像以上に悪く、介護をしなければいけない状況になってしまいました。でも、他の義兄弟は「長男の嫁だから」と私に任せきり。介護サービスではまったく足りず、毎日私が義母の家に通って介護しています。 他の義兄弟と介護を分担したいのですが、どうしたら良いでしょうか? (吉川さん・パート・57歳) まずは、他のご兄弟の「できること」「できないこと」を整理しましょう。そのうえで、「平日は誰が対応」「休日は別の誰かが対応」といったように、曜日で介護の分担をすると良いかもしれません。遠方で直接の介護が難しいご兄弟がいる場合は、介護費用を多めに負担してもらったりと、トータルとして負担が均一になるようにするとご兄弟間の不公平感が少なくなるでしょう。 兄弟で介護を分担するには? 病院から帰ってきた義母の状態が思ったよりも悪く、介護をしなければいけなくなりました。とりあえず、私が義母宅に通って介護をしているのですが、仕事や自宅の家事もあるので体力的にもきつくて…。でも他の兄弟は「長男の嫁だから」と、それが当たり前といった様子なんです。老人ホームに入れたくてもそんなお金はないし、介護サービスはすでに上限まで利用しています。義兄弟たちが少しでも介護に参加してくれたら、多少は楽になると思うんです。どうしたら介護を分担できるのでしょうか? なるほど…。古川さんに介護の負担が集中している状況なんですね。おそらくご兄弟に「介護を手伝って」と言うだけではなかなか動いてくれないと思います。なので、まずはご兄弟の「何ができるか」「何ができないのか」を整理することで、介護を分担しやすくしましょう。 「何ができるか」「何ができないのか」というと、具体的にはどんなことですか? 例えば、「休日なら介護ができる」「◯曜日であれば、毎週通える」といったことです。曜日ごとに介護を分担することで、かなり負担が軽減できると思います。 なるほど!今は毎日、私が義母の家に通っているので、それが少しでも減ればとても楽になります。 また、ご兄弟の中には遠方に住んでいるといった理由で、直接的な介護ができない人もいるかもしれません。そのときは介護ができない分、介護費用を多めに出してもらうなど、トータルで見て負担が均一になるように分担しましょう。 そういう方法もあるんですね!三男が遠くに住んでいて直接的な介護は頼めなさそうなので、多めにお金を出してもらえるか聞いてみます。 あとは、「主介護者」「キーパーソン」を決めることも忘れないでください。主介護者というのは、中心となって実際の介護をする人のこと。キーパーソンは、介護をするうえでの意思決定の中心となる人のことです。主介護者とキーパーソンは、同じ人でも構いません。ただ、これをはっきりさせておかないと、後々、兄弟トラブルにつながる可能性があります。 トラブルですか? 例えば、お義母さまの状態が進行して、老人ホームなどに入居することになったときに、「どの兄弟の近くの施設にするのか」「施設選びの軸は何か」といった選択にブレが生じるかもしれません。ときには、施設探しが原因でご兄弟が仲違いしてしまうケースも…。主介護者とキーパーソンを事前に決めておけば、その人が中心となって施設探しができますよね。 なるほど!実際に介護するだけでなくて、介護に関するいろんな選択に責任を持つ人が必要なんですね。 ちなみに、トラブルといえばお金にまつわることも多いので注意が必要です。介護費用がお義母さまの年金や貯金で賄えるのか、不足分は誰がどのくらい出すのか、といったことも早い段階で決めておきましょう。また、介護費用は介護度が進行することで増えていきますから、定期的な見直しも必要です。 介護の役割分担のトラブルを予防するために よくわからないまま急に義母の介護が始まってしまい、対策のしようがありませんでしたが、何か事前に対策できることはあったんでしょうか?実の両親も高齢で介護が始まるかもしれないので、事前に知っておきたくて。 そうですね…。まずは、普段の会話の中で介護について聞いてみるのが良いですね。ただ、「介護が必要になったらどうする?」とは聞きづらいと思います。なので、テレビ番組などで介護の特集をしているときに自然に聞いてみたり、介護に関係する話題が出たときに質問してみると自然に聞けると思います。 両親の介護についてなんてまったく考えたこともなかったので、テレビの特集を気に留めていませんでした。 多くの人がそうだと思います。でも、急に介護が始まると誰もが戸惑ってしまうので、きちんとご両親に意向を聞くのは大切です。それに、突然、脳梗塞や認知症などで意思の疎通ができなくなる可能性もあります。介護が必要になったら、「介護サービスを利用しながら自宅で暮らしたいか」「介護施設に入りたいか」などをご両親がお元気なうちに確認しておきましょう。そして、それをご兄弟で共有しておいてくださいね。 自宅で暮らしたいって言うだろうなぁ…。 また、これも聞きにくいことだとは思いますが、ご両親の経済状況を聞いておくことも大切です。いざ介護が必要となったときに、費用はどこから出すのかは大きな問題になりますから。年金などの収入や預貯金額、通帳や印鑑、権利証などの重要書類がしまってある場所についても確認しておきましょう。 え!そんなことも聞くんですか!?…あ、でも、今回の義母の介護でもお金の負担が大きいので、両親のお金周りのことを予め知っておくことは重要なのは痛感しました。義母の通帳がどこにあるのかわからなくて、家中探し回りましたから…。 そうなんですよね…。聞きにくいとは思いますが、ご両親が元気なうちに聞いておいてください。…ちなみに、スムーズに介護の負担をご兄弟で分担するために、ちょっとしたコツがあるんです。 コツ?どんなことですか? 本格的な介護が始まる前の「ちょっとした手伝い」を、ご兄弟で分担しておくんです。実は、日常的な買い物や掃除などを負担に感じているご高齢者はとても多いです。なので、定期的な買い物の手伝いをする人、掃除の手伝いをする人、料理を作りに行く人など、ご兄弟で役割分担しておくことをおすすめします。普段から各兄弟が生活の支援をしていると、いざというときも介護に参加しやすいですよね。 確かにそうですね!今は実家の近くに住んでいる姉が主に手伝いに行っているので、他の兄弟とも分担できるように相談してみます。 介護が始まる前からご兄弟が分担して手伝いをすることで、お互いを頼りやすくなります。さらに、普段のご両親の様子の把握もできますよね。介護は1人抱え込むととても負担が大きいものですから、兄弟で気軽に頼り合える状況にしておくことが大切です。 家族の中の「主介護者」「キーパーソン」を決めておく 介護が始まる前から、親に介護の意向や経済状況を聞いておく 遠方で介護に参加できない分お金を出すなど、トータルの負担を均一に pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { content: '[sample]'; ...

2022/10/27

施設入居 在宅介護

冬だけ入居できる老人ホームはありますか?雪が多い地域でひとり暮らしをする母が心配です。

一冬の間だけ入居できる介護施設はありますか?北海道の実家で母がひとり暮らしをしており、この数年、雪下ろしをしたり雪の中で外出するのが大変になってきた様子です。 私は遠方に住んでいて身の回りの世話ができないので、冬だけでも入れる施設はあるのでしょうか? (杉本さん・パート・65歳) 冬の間だけ入れる施設はありますよ。特に冬が厳しい寒冷地にある施設では、「越冬プラン」といった冬期限定で入居できるプランを用意している施設も。ただ、こうしたプランがあるかないか、期間限定で入居できるかどうかは施設ごとに異なるので確認する必要があります。 老人ホームに冬だけ入居はできる? 母が北海道の実家でひとり暮らしをしています。冬は雪がとても多い地域で、雪下ろしはもちろん、買い物に出かけるのも一苦労なところなんです。なので、高齢の母が冬の間、生活するのが大変そうで…。母は、まだ介護が必要な状態ではないのですが、冬の間だけ入居できる介護施設ってあるんでしょうか? はい、ありますよ!特に雪国では、「冬だけ老人ホームに入りたい」というご要望が多いので、中には「越冬プラン」という冬期限定のプランを用意している施設もあるくらいです! そうなんですね!それは助かります! ただ、冬の間だけ入居できるかどうかは施設によって大きく異なります。特に民間の有料老人ホームは、長期入居が前提の施設です。そのため、期間限定の入居は受け入れてくれないこともあります。また、「越冬プラン」などの特別なプランがなくても「ミドルステイ」として、1~6ヵ月の限定の入居ができる施設もあります。そうしたプランを活用するのも良いですね。 ミドルステイというものがあるんですね。「ショートステイ」という介護サービスもあると聞いたことがあるのですが、何が違うんでしょうか? 大きな違いは宿泊期間です。ショートステイは1日から利用でき、最大30日連続で宿泊できます。一方でミドルステイは、1ヵ月以上の宿泊サービスのこと。明確に基準があるわけではありませんが、大抵の施設では1~6ヵ月の宿泊をミドルステイと呼んでいます。 名前の通り、宿泊期間の違いなんですね! また、有料老人ホームを期間を限定して利用する場合、1ヵ月未満だと介護保険が適用されません。そのため、ショートステイは全額自己負担です。対して1ヵ月以上のミドルステイになると介護保険の適用になるので、費用を抑えられるという点も異なります。 冬期限定で老人ホームに入居する方法 先ほどもお話した通り、冬の間だけ介護施設を利用する方法はいくつかあります。ややこしいところもあるので、詳しくお伝えしていきますね。 入居する方法はさまざま 冬の間限定で介護施設に入居するにはいくつか方法があります。例えば、以下のような形で入居できます。 「越冬プラン」を利用する ミドルステイで宿泊する 月払いプランで入居する 介護老人保健施設(老健)に入居する 越冬プランとミドルステイというのは、さっき話したことですよね。 そうです。ただ、ミドルステイについてはちょっと注意点があります。ミドルステイには、民間の老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅などが提供しているものと、自治体が提供しているものがあります。自治体がおこなっているミドルステイは、利用条件が障がい者の人に限られていたりと厳しいので要注意。また、すべての自治体で提供しているわけでもないので、お母様の自治体でミドルステイをおこなっているのかを確認してください。 自治体がおこなっているミドルステイなら安心できますが、条件が厳しいんですね…。よくチェックしておきます。 もちろん、民間の施設であれば、そうした厳しい条件は基本的にありません。民間の施設の方が料金が割高になる傾向がありますが、確実に入居したい、ということであれば民間の施設の中で探した方が良いですよ。 そういえば、ミドルステイの料金はいくらくらいかかるんですか? 自治体がおこなっているミドルステイだと、1日2000~3000円前後。収入によって補助が出る場合もあるので、金額は前後します。民間施設の場合は、施設によって大きく異なります。1日5000~3万円の施設もあれば、月額15万~60万円もするところもあります。一概には言えませんね… 60万円も!?すごく料金に幅があるんですね…。…ミドルステイの次の「月払いプランで入居する」とはどういう意味ですか? これは、もともと施設が設けている「月払いプラン」で入居して、暖かくなったら退去する方法です。「月払いプラン」とは、入居金などの前払い金がない料金プランのこと。入居している間だけ料金を支払う形になっているんです。なので、ミドルステイなどと異なり、期間を定めないで入居できるので、冬が長い年だったら長く入居できますし、短い年だったら早めに帰ることもできますよ。 へー!そういう入居の方法もあるんですね! 最後の「老健に入居する」についてもお話しますね。老健はそもそも入居期間が短期間であることを前提とした施設です。入院などで身体機能が低下してしまった人が老健でリハビリをしてその後の在宅復帰を目的としているところなんです。入居期間は3~6ヵ月ですので、冬を越す期間とちょうど良いですよね。ただ、要介護1以上でないと入居できない点は注意してください。 冬だけ入居できる施設をどう探したら良い? 冬の間だけ入居できる施設についていろいろとわかったのは良いんですが、入居できる施設の探し方がわかりません! わかりました!探し方についてもお話ししましょう!冬期限定で入居できる施設の探し方は、公的機関で提供しているサービスを利用するか、民間施設のサービスを利用するのかで異なります。 なるほど、では公的機関のサービスの探し方から教えてください。 はい!公的機関のサービスというのは、自治体によるミドルステイや老健のことです。ミドルステイの場合、そもそもミドルステイの提供の有無、利用条件も自治体によって違います。まずはその確認が必要。すでに担当のケアマネジャーさんがいる場合は、ケアマネジャーさんに相談してみてください。もし、担当ケアマネジャーさんがいない場合は、地域包括支援センターに問い合わせれば、詳しく教えてもらえますよ。 なるほど!母は、要介護1で担当のケアマネジャーさんがいるので、ケアマネジャーさんに聞いてみます。 また、老健に関しても空室がない可能性がありますから、ケアマネジャーさんに確認してもらうのが良いですね。 公的機関のサービスについては、ケアマネジャーさんか地域包括支援センターに相談、というわけですね。 対して、民間施設の越冬プランやミドルステイ、月払いプランを利用する場合は、各施設に直接問い合わせる必要があります。越冬プランやミドルステイといった特別なプランがない施設でも、月払いプランで短期間の入居が可能な場合がありますから、まずは「冬の間だけ入居できますか?」と聞いてみるのが良いでしょう。 越冬プラン、ミドルステイ、月払いプランがないかをそれぞれ聞いていかなくちゃいけないんですね。どんな施設があるのかもわからないのに、すごく大変そうですね…。 本当にそうだと思います。介護施設に1件1件問い合わせるのはかなり骨が折れますよね。なので、そういうときには「いい介護 入居相談室」を頼ってください。ご希望条件を言っていただければ、杉本さんの代わりにいい介護の入居相談員がまとめて施設に問い合わせしますよ! 介護施設によっては冬の期間限定で入居を受け入れているところはある 越冬プラン、ミドルステイ、老健など、入居の方法はさまざま 自治体や介護施設に問い合わせるなどの探し方がある pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/10/26

認知症対策 在宅介護 認知症介護 デイサービス

母の帰宅願望に困っています。夕方になると、昔の自宅に帰ろうとして外に出ようとするんです

母の帰宅願望の対応を教えてください。夕方になると、部屋の中を歩きまわって「家に帰る」と言って落ち着かなくなるんです。ひどいときには、家から出ていってしまうこともあります。 通っているデイサービスでも帰宅願望が出てしまっていて、職員さんにご迷惑をかけてしまっているみたいです。 (大西さん・会社員・57歳) 認知症の記憶障害が見当識障害などの影響で、帰宅願望が強く出てしまうことがあります。特に夕方になるとその症状が出ることが多く、「夕暮れ症候群」と呼ばれることもあります。ただ、帰宅願望が出たときには、お母様の発言を否定せずに「今日はここにお泊りだよ」など、安心できる言葉をかけてみてください。 認知症による帰宅願望の原因は? 母の帰宅願望に困っています。夕方になると「家に帰りたい」と言って落ち着かなくなり、部屋の中を歩き回るんです。それだけなら良いんですが、ひどいときにはそのまま家を出ていこうとします。1人で出ていったら事故の危険もあるから心配で…。何か対応策はありますか? そうですね…。対応策を考える前に、帰宅願望の原因を知るところから始めましょう。原因を理解した方が、適切な対策がとれるようになりますから。 確かにそうですね。帰宅願望の原因って何でしょうか? 帰宅願望の原因は、大きく分けて次の3つがあります。 認知症の症状によるもの 環境によるもの 生理的欲求によるもの 認知症の症状というと、どんなことが原因になっているんですか? 帰宅願望の原因となるのは、「記憶障害」と「見当識障害」です。記憶障害とは、その名の通り記憶が覚えられなくなること。特に認知症の人は新しい記憶から忘れていき、記憶が何十年も前に戻ってしまうこともあるんです。また見当識障害とは、現在の時間や居場所がわからなくなることです。進行すると、自宅にいることもわからなくなることがあります。 「自宅にいることもわからない」というのは、母に当てはまると思います。だって、自宅にいるのに「家に帰りたい」と言いますし。 もしかしたら、見当識障害が進行しているかもしれませんね…。それと、お話を聞いていると典型的な「夕暮れ症候群」の可能性もありますね。 「夕暮れ症候群」って何ですか? 夕方になると落ち着かなくなって帰宅願望が出ることを「夕暮れ症候群」と呼ぶんですよ。私たちも夕方になれば職場などから帰宅しますよね。そうしたかつての生活習慣から、外が薄暗くなると「家に帰りたい」と感じてしまうんですね。もちろん、これも自分がいる場所が自宅ではないと認識していることに理由があります。 そういえば、夕方になると「夕飯を作りに帰らなきゃ」とかばんを持って出かけようとするんですよね。もう10年以上、料理は私の妻に任せきりでやっていないというのに。 記憶障害によって、10年以上も昔の、自分の料理を振る舞っていた時代に心が巻き戻っているのかもしれませんね。また、認知症の人は周囲の環境にも影響を受けやすいんです。なので、居心地が悪かったりなじみがない場所だと不安になって、帰宅願望が出ることがあります。ご自宅だとこの原因は当てはまらないかもしれませんが…。 いえ、デイサービスでも帰宅願望が頻繁に出ているようなので当てはまっているかもしれません。デイサービスには週に2回通っているのですが、なかなかなじめないみたいで。それに曜日によってはあまり仲の良くない利用者さんと被る日があるらしく、その日はずっと落ち着かない様子らしいです。 そういうこともありますね。やはり、私たちも仲の良くない人が近くにいるとそわそわしてしまいますもんね。そうした環境的な要因とあわせて、生理的欲求がきっかけで帰宅願望が出ることもあります。例えば、「眠い」「お腹がすいた」「のどが渇いた」といった欲求ですね。加えて、便秘などの体調が良くない場合も上手く言葉で伝えられずに不安なために、帰宅願望という形で出ることがあるんです。 認知症の帰宅願望にはどう対応する? なんとなく母の帰宅願望の原因が見えてきました。これからどうやって対応したら良いんでしょうか? はい、帰宅願望への対策としては、以下のようなことが挙げられます。 間違いを否定しない 普段の習慣に注意する 環境を調整する 徘徊の対策をする 「間違いを否定しない」というのは帰宅願望への対応だけでなく、認知症の人のケアにとってとても大切なポイントです。例えば「家に帰りたい」と言ったときに「家はここでしょ」と否定してしまうのはNGです。ご本人の中では今いる場所は自宅ではありません。それを否定すると、混乱が大きくなって余計に帰宅願望が強くなってしまう可能性があります。そのため、「今日はここにお泊まりだよ」と帰らなくても良いことを伝えて、安心させてあげてください。 へー!これまで「家はここなんだから座ってて」と無理やり椅子に座らせていました。それではダメだったんだ…。 また、帰宅願望は過去の生活習慣と結びついていることが多いです。具体的には、「朝は会社に行く」「夕方になったら夕飯の準備をする」といったことですね。大西さんのお母様も「夕飯を作りに帰る」と言うことがあるんですよね。でしたら、もしかしたら大西さんが子どもの頃の習慣で、「子どもにごはんを作ってあげなきゃ」と考えているのかもしれませんね。 あー、なるほど…。誰のごはんを作るのかわからなかったのですが、そういうことだったんですね。 そういうときは、「今日は夕飯の準備をしてあるから大丈夫だよ」など声掛けをしてみると、気持ちが落ち着くかもしれませんね。 そういう言い方もあるんですね。今度からそうしてみます。 また、「環境を調整する」というのは、ご自宅よりもデイサービスでやってもらうのが良いですね。もし、まだデイサービスに慣れていなくて落ち着かないのだとしたら、普段から使っている雑貨などをお母様の近くに置いておいてもらうのも良いでしょう。また、認知症の人は人の顔を覚えるのが苦手なため、大人数も苦手な傾向があります。そのため、少人数グループで対応してもらったりすると落ち着けるかもしれません。 なるほど…。そういったこともデイサービスでやってもらえるのか確認してみます。 加えて、帰宅願望が強い場合に外出して徘徊してしまうケースも少なくありません。認知症の人が1人で歩き回るのは大変危険。大西さんもさきほどおっしゃってましたが、事故や怪我、時期によっては熱中症や低体温症で命に関わることもあります。そのため、まずは徘徊を防止することが大切です。例えば、玄関にセンサーやベルを設置して外出に気がつけるようにしたり、外出してしまってもすぐに見つけられるようにGPSのついた靴などを使用することもひとつの手ですね。 すぐに見つかったから良いものの、何度か徘徊して警察に保護されたこともあるので、何か対策をしておきたいと思います。本当に危険ですから…。 おっしゃる通りです。夕方に帰宅願望が出たり徘徊してしまうとなると、介護をするご家族の負担は大きいと思います。今回、お伝えした対策を実行したら負担が小さくなるかもしれないので、できることから始めてみてくださいね。 帰宅願望は認知症の症状や周囲の環境などの影響がある 帰宅願望が出たときに否定してしまうとさらに混乱してしまうことも 徘徊することもあるので、玄関にセンサーをつけるなどの対策を pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/10/21

在宅介護 老後の備え 介護のお金

介護費用が思ったよりも高くて驚いています。もっと安くする方法はないでしょうか?

母の介護にかかる費用が想像以上に高くて困っています。でも、私の仕事を続けるためには、デイサービスや訪問介護の回数を減らすことはできません。 費用を安くする方法はありますか? (菊地さん・パート・62歳) 介護の費用を抑える方法のひとつに、世帯分離があります。これは、同じ家にいながらも住民票の世帯を分けて世帯当たりの所得を減らすことで、介護保険の自己負担額や国民健康保険料を軽減できることがあります。ただ、すべての人が負担を軽減できるわけではないので、事前に所得などの確認をしておく必要があります。 世帯分離をするメリット・デメリットは? 介護にかかる費用が高くて悩んでいます。最近、母が病院から退院してきたので、介護サービスを使いながら介護をしているのですが、思ったよりもお金がかかって…。自分たちの老後のことも考えると少しでも出費を抑えたいのですが、費用を安くする方法はありますか? そうですね…。例えば、世帯分離をするのはどうでしょうか? 「世帯分離」ですか?初めて聞きました。 世帯分離というのは、同じ家に住みながら住民票の世帯を2つに分けることです。今は、お母様と同一世帯になっていますよね? はい。夫が世帯主で、私と母も同一世帯です。 でしたら、世帯を分けてお母様を世帯主にすることが世帯分離です。1つの家に世帯主が2人いるイメージですね。 そんなことができるんですね!でも、世帯分離をすると何で介護の費用が安くなるんですか? それは、世帯分離をすることでお母様の世帯の所得が減り、住民税が軽減されるからです。となると、介護保険の自己負担額だけでなく、国民健康保険料の軽減もできることがあります。ただ、そうしたメリットだけでなくデメリットもあります。よく理解してから世帯分離をするか検討していただきたいので、順にお話していきますね。 世帯分離のメリット 世帯分離をするメリットは、主に以下の4つが挙げられます。 介護保険の自己負担額を減らせる 公的施設の費用を軽減できる 後期高齢者医療制度の保険料が下げられる 国民健康保険料の負担を軽減 介護サービスを利用するためにお金を支払っていますよね。それが介護保険の自己負担額です。実は、この金額はサービス費の全額ではありません。ご本人や世帯の収入に応じて自己負担割合が決められており、その割合をもとに支払い額が決まります。そのため、世帯所得が多いと自己負担割合が増えてしまうんです。現役世代並みの収入があると3割負担となり、介護サービス費だけでもかなりの金額になってしまいます。 そうなんですね!急に母の介護が始まったもので、介護保険についてちゃんと理解できていませんでした…。 また、介護施設に入るときにも世帯の所得が関係します。というのも、特別養護老人ホームなどの公的施設の場合、居住費や食費が世帯の年収や預貯金額によって決まるんです。そのため、世帯分離をしてお母様の世帯所得を減らしておくことで、公的施設の入居費用を軽減できます。 へー!介護施設に入居させることは特に考えていませんでしたが、世帯分離をしておいて備えることも必要そうですね。 また、世帯分離をすると介護費用だけでなく国民健康や後期高齢者医療制度の保険料も軽減できる場合があります。やはり、国民健康や後期高齢者医療制度の保険料も世帯の所得をもとに算出されています。なので、世帯当たりの所得を減らしておくことで、保険料も下げられるんですね。 世帯分離のデメリット 世帯分離って良いですね、いろんな費用が安くなりそう!…でも、デメリットもあるんですよね? そうなんです。世帯分離のデメリットは、主に「国民健康保険料が高くなる可能性がある」「扶養手当や家族手当が受け取れなくなる」という2点があります。 あれ?さっきは、世帯分離をすると「国民健康保険料が安くなる」って言ってませんでしたっけ? はい、そうお伝えしました。国民健康保険料が高くなるか安くなるかは、そのご家庭によるのでケースバイケースなんです。というのも、国民健康保険料は世帯主それぞれが納めるもの。なので、世帯分離をして世帯主が2人になると、2世帯分の保険料を支払わなければいけません。つまり、2世帯の金額を合計すると、世帯分離前よりも高くなってしまう可能性があります。世帯分離をする前後で金額がどう変わるのか、事前に確認しておくことが大切ですね。 うーん、そうなんですね。保険料をきちんと確認しておかないと…。 そして、扶養手当・家族手当は扶養に入っている同一世帯の人がいる場合に支給されるケースが多いですよね。なので、世帯分離をして扶養から外れてしまうと、扶養手当や家族手当が受け取れなくなる可能性があります。 そういうこともあるんですね!今は夫の扶養に入っている状況なので、扶養から外れたらどうなるのか確認しておきます。 世帯分離の手続き方法は? 世帯分離のメリットとデメリットについてはわかりました。もし、世帯分離をするとしたら、どんな手続きをすれば良いんでしょうか? 世帯分離をするには、必要書類を揃えて市区町村の窓口に提出する必要があります。手続きの際に必要な書類は以下の通りです。 本人確認書類 世帯変更届 国民健康保険証(国民健康保険加入者の場合) 委任状(本人・世帯主以外が提出する場合) もし、書類に不備があったときには印鑑を押すこともあるので、念のため持っていくとスムーズに手続きが進められますよ。介護が始まると、何かとお金が必要になります。経済的な不安があると、介護に対する精神的な負担が大きくなってしまうので、少しでもお金の負担を減らせるように世帯分離を活用してみてくださいね。 世帯を分けると世帯収入が減って、介護費の自己負担額が減らせることも 国民健康保険料が高くなる、扶養手当が受け取れなくなるデメリットも pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/10/20

施設入居 在宅介護

入院中に母親が寝たきりに…。在宅介護は無理でしょうか?

母が足の骨折をきっかけに入院し、寝たきりになってしまいました。病院ではずっとベッドで寝かされており、ほとんど歩けません。お風呂も介助が必要で、おむつ交換もしなければいけない状況です。 母は「自宅に帰りたい」と言っていますが、こんな状況で自宅で介護ができるでしょうか? (島田さん・会社員・63歳) 寝たきりの人の在宅介護は可能ではありますが、負担がかなり大きいです。ご家族だけでは難しいので、訪問介護や訪問入浴などの介護サービスを積極的に活用しましょう。もし、在宅介護に限界を感じ始めたら、ショートステイを利用して介護を休憩したり、介護施設への入居も検討してくださいね。 寝たきりでも在宅介護はできる? 母が骨折して入院している間に寝たきりになってしまいました。入院前は何とか歩いていたものの、今はほとんど歩けません。それに、おむつ交換やお風呂の介助も必要です。母は「早く家に帰りたい」と言っているので、自宅で介護したいとは考えているのですが、このような状態で在宅介護はできるのでしょうか? うーん…。正直なところ、寝たきりの状態の在宅介護はおすすめはしませんが、「絶対にできない」とも言えませんね。在宅介護サービスを積極的に活用しながらであれば、ご自宅での生活は可能ではあると思います。が、ご家族の介護の負担が大きくなる可能性は高いです。 そうですよね…。入院前はデイサービスと訪問介護を利用していました。たぶん、デイサービスはもう通えないと思うのですが、どんな介護サービスを利用すれば良いんでしょうか? そうですね…。寝たきりの人も利用しやすい在宅介護サービスというと、以下のようなものがあります。もちろん、これ以外のサービスが全く利用できないというわけではありませんよ。 訪問介護 訪問入浴 訪問看護 訪問リハビリテーション ショートステイ 訪問介護は、訪問ヘルパーさんが家に来てくれて身の回りの世話や介助をしてくれるサービスです。お母様が利用していたので、よくご存知ですよね。 そうですね。入院前は週2回、来てもらっていました。 今後はもっと回数を増やしても良いかもしれません。おむつ交換が必要となると、介護するご家族の負担が一気に増えますから。おむつ交換は腰をかがめないといけないので、身体的な負担が大きい介助です。なので、介護のプロにお願いするのが良いでしょう。 それはそうですね。おむつ交換なんて、子どもが赤ん坊のとき以来ですので、上手くできるか不安ですし…。 夜間対応型訪問介護とは 夜間対応型訪問介護とは、夜間の時間に限定した訪問介護が受けられる介護保険サービスのことです。 高齢化が進み、老老介護が増えたことなどから夜間の介護ニーズが高まり、2006年から始まった地域密着型サービスです。介護スタッフが定期的に訪問する「定期巡回訪問サービス」と、利用者から通報を受けて都度訪問する「随時対応サービス」があります。 あと、ぜひ活用していただきたいのが訪問入浴サービスです。訪問入浴では、横になったまま入浴できる大きな浴槽を自宅に運び込んで入浴介助をおこないます。家庭のお風呂では寝たきりの人がお湯に浸かるのはまずできませんから、お母様も喜ばれると思いますよ。 訪問入浴とは 訪問入浴とは、看護師1名を含めた2〜3名の介護スタッフが入浴のサポートをおこなってくれる介護サービスのことです。 要介護度が高く自力では入浴が困難な方や、家族の手だけでは入浴が難しい場合などさまざまなケースで利用されています。 ...

2022/10/19

在宅介護 介護の基礎知識 介護認定

介護認定のやり直しはできますか?再申請をして要介護度を上げる方法を教えてください

先日、母に「要支援2」という介護認定が下りました。しかし、実際は認知症がありますし、介助が必要なときも多くなってきたのでもっと重い介護度だと思っています。 このままでは、利用できる介護サービスの量が十分ではありません。介護認定のやり直しは可能ですか? (市川さん・自営業・58歳) 介護認定のやり直しはできます。「審査請求」と「区分変更」の2つの方法がありますが、審査請求は時間がかかるので、区分変更をすることをおすすめします。また再度、認定調査を受けるときにはできるだけご家族が同席してください。そのときに、認定員さんに困っていることなどをはっきり伝えましょう。 介護認定のやり直しはできる?その方法は 先日、母の介護認定の結果が出て、「要支援2」だったんです。でも、私としてはもっと重いと思っていて、「要介護1」か「要介護2」になると思っていました。認知症の症状が進行してきましたし、足もおぼつかなくなっているのに「要支援2」ということはないと思うんです。「要介護1」か「要介護2」にならないと利用できるサービスの量が少ないので、私の仕事ができなくて…。こういうときに、介護認定のやり直しはできるんでしょうか? はい、できますよ。「審査請求(不服申し立て)」か「区分変更」をすることで、介護認定のやり直しが可能です。 「審査請求」と「区分変更」ですか…。区分変更は、今回が区分変更だったのでわかります。 そうだったんですね。では、改めてこの2つの違いについてお話ししますね。まず、審査請求とは都道府県に設置されている「介護保険審査会」に不服申し立てをすることです。申立てが認められたときには、要介護認定のやり直しができます。ただ、これには時間がかかり、申請から数ヵ月待たされることも珍しくないんです。 え!そんなに待たされるんですか!?待ってられないですよ! そうですよね。そういう人が多いので、やり直しをしたい場合は区分変更をかけるケースがほとんどです。区分変更は、本来はご本人の心身の状態が変化したときに改めて認定調査をすることですが、認定結果に納得がいかないときでも申請できるんですよ。 そうなんですね!じゃあ、また役所に区分変更の申請をしに行けば良いんですね? その通りです。区分変更の申請には、再度、主治医の意見書が必要になります。かかりつけ医に納得のいかない認定結果になったことを伝えれば、より実情に合った意見書になるでしょう。 介護認定申請後から結果までの流れ 1.訪問調査 市区町村の職員が介護認定調査員として、自宅や施設、病院を訪れて直接訪問調査を行います。介護を受けたい本人が介護が必要な状態か、介護が必要な場合はどの程度の介護や支援が必要なのかなどを確認します。 家族構成・生活状態、心身の状態をはじめ、身体機能、生活機能、認知機能、特別な医療が必要なのかなど。決められた質問形式で調査が行われます。 訪問調査の結果と主治医意見書の一部の項目をコンピュータ入力して一次判定を行います。厚生労働省が作成した全国共通の要介護認定ソフトが使われ、客観的に分析し申請者を振り分けます。 3.二次判定(介護認定審査会) コンピュータによる一次判定結果に、主治医意見書と認定調査における特記事項を踏まえて二次判定が行われます。 各市区町村が設置している「介護認定審査会」は保健・医療・福祉の学識経験者5名ほどで構成され、ここで申請者の介護度や支援度を検討します。 4.認定結果通知 「介護認定審査会」の審査結果に基づき、要介護度が認定され通知されます。一般的に介護認定申請から約30日で結果が通知されますが、​​地域によっては申請から判定まで1ヵ月以上かかる場合もあります。 認定結果は「申請日から30日以内に利用者へ通知する」ことになっているので、認定通知が遅れる場合には、申請者に見込み期間と遅れる理由が通知されます。 認定結果は「要介護1~5」「要支援1・2」「非該当(自立)」のいずれかに分類され、「要介護認定1~5」に認定されると「介護保険サービス」が利用できるようになります。 やり直しをするときの注意点 介護認定をやり直しするときに、いくつか注意点があります。 それは何ですか? まず、「認定結果が希望通り出るわけではない」ということです。介護認定の結果はコントロールできるものではありませんから、もっと低い介護度になってしまう可能性もあります。 そうか!「要支援1」になってしまうこともあるんですね。 それと、審査請求をする場合にはこちらの申し立てが却下されることもありえます。そもそも、認定調査のやり直しができない可能性もあるんですね。こうしたことも頭に入れて、介護認定のやり直しをしてくださいね。 認定結果と実際の状況がずれてしまうのはなぜ? そもそも、うちの母が「要支援2」なんて軽いわけがないのに、介護度が低い結果になってしまったんでしょう? よくあるパターンとしては、「認定調査のときにがんばってしまう」ことがあります。 「がんばってしまう」?どういうことですか? 介護認定は、「認定調査」「一次判定」「二次判定」の順におこなわれますよね。介護認定は、この最初に実施される認定調査の結果と主治医の意見書をもとに判断されます。そのため、認定調査のときにご本人が元気な様子だったら、当然、「介護の必要性が低い」と判断され、介護度が低くなってしまうんですね。 なるほど。そういえば、母は最近、ぼーっとしていることが多いのに、認定員さんと話しているときはしゃっきりしていましたね。それに、はりきって家の中を歩きまわったりして…。 認定調査では、ご本人の身体機能や、心身の状態、認知機能などを確認しています。そのため、お元気なお母様の様子を見て、「要支援2」と判断されたんじゃないでしょうか?実は、こういうケースは少なくないんです。認定調査では、日常生活について「こういうことは1人でできますか?」と質問をされますよね。それに対して、プライドや思い込みで「できる」と回答してしまったり、かしこまった状況だとちゃんと受け答えができることも。そのため、実際よりも軽い介護度が出てしまうんですね。 適切な介護認定が下りるために では、次は適切な介護認定が下りるために、いくつか注意していただきたいポイントをお伝えしますね。まずは、認定調査にご家族が同席すること。ご本人だけだとその日の体調や気分によって、調査結果が左右されてしまいます。そのため、普段の様子を正しく伝えるためにできるだけ同席してください。 やっぱりそうですよね。前回の認定調査のときも、母は「1人で大丈夫」と言っていたんですが、同席したんです。今回も付き添うことにします。 はい、その方が良いと思います。それに、もしお母様の前では言いにくいことがある場合でも、ご本人がいない場所でこっそり認定員さんに伝えることもできます。また、あわせて認定調査のときに伝え忘れのないように事前にメモを作っておいてください。介護で困っていることや普段の様子をメモにまとめておくと、スムーズに伝えられますよ。 あぁ、そういえば、前回の認定調査の後に「あれを言っておけばよかった」と言い忘れたことがいくつかあったんですよね。次は忘れないようにしないと。 そうですね。あと、区分変更の申請をする前に担当のケアマネジャーさんに相談してみるのもおすすめです。ケアマネジャーさんであればだいたいの介護度がわかるので、お母様の状態でどのくらいの介護度になりそうか教えてくれると思います。今回の結果が適正でないのか、区分変更で介護度がいくつになりそうか、などアドバイスを事前にもらっておくとスムーズですよ。 介護認定は「審査請求」「区分変更」でやり直しができる! やり直しても、希望通りの介護度が出ない可能性があることに注意 認定調査に家族が同席して、実情や困っていることをはっきり伝えよう pre ...

2022/10/19

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の父がなぜか食事介助を拒否します。体重が減ってきたのでとても心配です

認知症を発症している父の介護をしています。ちょっと前までは自分で食べていたのに急に食べなくなり、私が介助しても嫌がって食べてくれません。そのせいか痩せてきたので、やせてきています。 どうしたら食べてくれるようになるでしょうか? (野口さん・主婦・63歳) 認知症が進行すると、食べ物を食べ物と認識できない「失認」、食べ方がわからない「失行」といった症状が出ることがあります。その他、環境や声掛けなどで食べたい気持ちが失われている可能性があるので、認知症の人が食事をしやすい状況を整えていきましょう。 食事介助を拒否される!なぜ? このところ、認知症の父が食事をしてくれないことが増えて困っています。私がスプーンで食べさせようとしても、手で押しのけるんです。ちょっと前までは、自分で食べられていたのに…。どうして急に食べなくなったんでしょうか? 状況によっていろいろ考えられますが…。主な食事拒否の理由を以下にまとめてみました。 「失認」で食べものを認識できない 「失行」で食べ方がわからない 集中力の低下 環境が整っていない 嚥下機能の低下 不安を感じている …もしかしたら、お父様は認知症の症状の影響で食事が進まなくなったのかもしれません。 というと、どういうことですか? 例えば、お父様は「食べ物が食べ物であることがわからなくなっている」こともありえます。認知症には「失認」という症状があり、食べ物に限らず「これは何か」ということがわからなくなってしまうんです。そうなると、お箸などを使って口に入れようとは思わないですよね。それに、食事介助をされても「よくわからない物を食べさせられる」と感じれば、食べたいとは思えないかもしれません。 「食べ物が食べ物とわからない」なんてことがあるんですね。だから、お父さんはごはんを食べたがらないのかな…。 それか、食べ物であることはわかっていても、食べ方がわからないこともあります。こうした症状を「失行」と呼びます。失行がある場合、これまで普通にできていた「お箸を使って食べ物をつかむ」「口まで持っていく」という動作がわからなくなります。なので、食器などの道具の使い方がわからなくなってしまって、困っているのかもしれません。 つまり、箸やスプーンの使い方がわからなくなって自分で食べられなくなった、ということですね。でも、そうしたら私が口元に持っていけば食べてくれそうな気がしますけど…。 これも可能性の話ですが、自分の力で食べたい気持ちが強いのかもしれません。少し前までできていたことが急にできなくなって、それが受け入れられないことも考えられます。「自分の手で食べたいけど、食べ方がわからない」という混乱の結果、野口さんの介助を拒否してしまっている可能性もあります。 なるほど…。頑固な父のことですから、それもありえそうです。 あとは、環境的な要因も関係することがあります。例えば、音。テレビの音や部屋の外から聞こえる声などによって食事に集中できないことも。認知症の人は脳の機能が低下して、集中力が低下する傾向があるので、ちょっとした音でも気になりやすいんです。 そうなんですね!昔からテレビを見ながら食事をしていたので、いつもテレビを付けていました。 あとは、姿勢や食器といったところも影響することがあります。特に食事をするときの姿勢は大切。椅子からずり落ちていたり、左右に身体が傾いていることで食欲が削がれている可能性があります。また、認知症になると視覚による物の区別がつきにくくなります。なので、お皿の柄が食べ物に見えてそれを箸でつまもうとしたり、白いお茶碗に白いごはんで見にくいために手が伸びないということもあるんです。 え、そんなちょっとしたことでごはんを食べないことがあるんですね! そうなんですよ。また、飲み込む力が衰えたせいで食べることが嫌になっているケースもあります。飲み込む力が衰えると、具材がうまく飲み込めなくなってむせることが多くなります。となると、食事をするのが嫌になりますよね。 うちの父はたまにむせますけど、食事が嫌になるほどしょっちゅうではないですね…。 なるほど、そうなんですね。あと考えられる原因は、認知症が進行したことや声掛けによって不安を感じている、ということでしょうか…。 それってどういうことですか? 介護をしていると、忙しかったり焦ったりして「早く食べて」「どうして食べないの」と強い口調になってしまうこともあるかもしれません。でも、そういう対応は認知症の人にはNGなんです。ご本人はどんどん自分がおかしくなっていくように感じて、不安になっています。そこに強い口調で声掛けしてしまうともっと不安になってしまいます。時間がなかったり疲れているかもしれませんが、いったん落ち着いて介助することも大切なんですね。 食事介助ができないときの対策 父が食事を嫌がる理由がなんとなくわかった気がします。でも、具体的にはどうしたら良いんでしょうか? 対応策もいろいろありますが、大まかには、以下の3つのポイントが大切です。 環境を整える 声掛けを工夫する 食べ物を工夫する まずは環境を整えるんですね。 そうです。先ほどお伝えした通り、認知症の人は集中力が低下していたり物の区別がつきにくくなっています。なので、まずは食事にしっかり集中できるように、「身体をまっすぐ起こした姿勢を保つ」「テレビを消す」「具材が見えやすい無地の器にする」といった対策をとると良いでしょう。 それくらいだったら、すぐできそうです。今日から始めてみます。 あとは声掛けです。食べ物が食べ物であるとわかっていない場合、「炊きたてのごはんだよ」「温かい味噌汁だよ」といった食事の名前を言いながら食事を促してみましょう。もしかしたら、食べ物であることがわかって自分から食べてくれるようになるかもしれません。 忙しくて、そんなゆっくり声掛けをしたことがなかったですね…。 介護をしていると、そうなってしまいますよね。ただ、声掛けをちょっと工夫するだけで意外と介助がスムーズに行くことがあるんですよ。それに、もし箸やスプーンなどの使い方を忘れてしまっているのであれば、言葉で伝えたり食べているところを見せて、道具の使い方を思い出してもらうことも有効です。どれも特別なことではないですが、これをきっかけに食事介助の拒否がなくなったり自分で食べられるようになることもあるんですね。 へぇ、本当にちょっとしたことで介護が上手くいくんですね。 他にも、食べ物を工夫することも有効かもしれません。お父様が好きな食べ物にすることももちろんですが、食べやすい形に変えるだけでも食事をする気になることもありますよ。 「食べやすい形」ってなんですか? 例えば、具材を一口サイズにすること。それに一口おにぎりにすれば、手づかみで食べられるのでお茶碗に盛ったごはんよりも食べやすいですよね。それに、食事ができるのであれば「手づかみで食べてもOK」と考えるのもアリじゃないでしょうか。あえて、箸やスプーンを使って食べることにこだわらなければ、介助をするときの気持ちも少し楽になると思いますよ。 確かに!今まで箸を使わせることにこだわっていましたが、手づかみでも食べやすいようにすれば良いんですよね。 そうです!食べてもらうことの方が重要ですからね。ただ、いろいろ試してもなかなか食が進まないこともあると思います。そういうときは、少量でも栄養がたくさんとれる栄養補助食品を利用してみましょう。高カロリーゼリーやドリンクなどがドラッグストアに売られているので、試してみてください。お父様が食事をしてくれないのは、とても心配なことだと思います。ちょっとした工夫で改善することもあるので、いろいろ試してみてくださいね。 認知症によって、食べ物がわからなかったり食べ方がわからなくなる 食べる姿勢を整え、どんな食べ物なのかを説明しながら介助をする それでも食が進まないときは、栄養補助食品などを活用して pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } ...

2022/10/13

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の父に介護拒否をされ、トイレや入浴の介助を嫌がられます。暴力を振るわれることもあり、どうしたら良いかわかりません

認知症の父が介護を拒否して困っています。特にトイレや入浴の介助を嫌がり、トイレの失敗が増えているうえに、数週間お風呂に入らないときもあります。 拒否が強いときは手を上げることもあるので、恐怖を感じるときもあるんです。何か解決策はないでしょうか? (菅原さん・主婦・63歳) まずは、お父様がどうして介護を拒否しているのか知ることが大切です。認知症の人の場合、認知機能の低下によって介護の必要性を理解できないことがあります。また、介助を受けること自体に抵抗感を持っていることもあるかもしれません。そのため、どうして介助を拒否するのか、お父様の意思を尊重してみてください。それによって、気持ちが落ち着いて拒否の回数が減るかもしれませんよ。 介護拒否の原因は? 認知症の父の介護をしているのですが、何をするのも拒否をするので困っています。中でもトイレと入浴の介助を嫌がるんです。最近はトイレの失敗が増えてきていて、汚れた衣服を部屋にしまいこんだりしています。お風呂は、入るのが面倒みたいで、何週間も入らないことがあります。何か良い方法はありませんか? そうですね…。対策はいくつかありますが、まずは、なぜお父様が介護拒否をするのかを把握した方が良いかもしれません。というのも、介護拒否の理由によって対策も異なるからです。 介護拒否の理由、ですか…。よく「さわるな!」とか怒鳴っていますね…。殴られることもあります。 うーん。もしかしたら、認知症による認知機能の低下によって、「介護をされる意味がわからない」のかもしれません。入浴だったら「どうして風呂に入らないといけないかわからない」「どうして服を脱がされるのかわからない」といった風です。何もわからず浴室に連れて行かれて服を脱がされそうになったら、誰でも驚きますよね。そういった理由で抵抗していることもありえます。 お風呂に入る意味がわからないってことですか?認知症だと、そんな日常的なこともわからなくなってしまうんですね。 そうなんです。それに、記憶障害の影響ではじめは介護の意味を理解していたのに、介助されている途中で忘れてしまうこともあります。お風呂に入ろうとして服を脱ぎ始めたのに、その最中で何で服を脱いでいるのかわからなくなった、というようなケースですね。意味もわからず服を脱がされていたら、やはり混乱して抵抗してもしょうがないのかもしれません。 なるほど…。そんなことを考えたこともありませんでした。 あとは認知症が進んでくると、ご家族などの良く知った人の顔もわからなくなります。なので、認知症のご本人にとっては「知らない人に服を脱がされている」という状況になるんですね。 それもやっぱり抵抗したくなりますよね。幸い、まだうちの父は私や他の家族の顔はわかっているようですが…。 あとは、排泄や入浴介助に関しては羞恥心があることも考えられます。裸になったり、ズボンや下着を下ろしたりするわけですからね。特に排泄介助の場合、失敗してしまった下着を見られるのが恥ずかしいと感じていることもあります。なので、介助を拒否してしまうんですね。 あ、父の場合、それかもしれません!先日、父の部屋を掃除したらタンスの奥に汚れた下着がたくさんあって…。掃除するのも洗濯するのも大変でした…。 それは大変でしたね…。汚れた下着を発見するというのは、羞恥心もありますがその人の自尊心を傷つけることにもなりかねないんです。トイレを失敗したり、汚れた下着を正しく処理できない自分を「情けない」と感じてしまうんですね。それを避けるためにトイレ介助を拒否したり、汚れた下着を隠していたのかもしれませんね。 あー、それもあるかもしれないです。 また、介助を受けること自体に抵抗感を持つ人もいます。「誰かの世話を受けたくない」「まだ自分でできる」と感じて、介助を拒否してしまうんです。 介護拒否にはどう対応したら良い? 父がなんで介助を受けたがらないのか、何となくわかった気がします。どうしたら、拒否されなくなるでしょうか?今のままだと衛生的にも良くないですし、早くなんとかしたいです。 介護拒否への対応としては、主に以下のようなものがあります。 本人の意思を尊重する 具体的な声かけをする タイミングを見計らう 介護サービスを利用する 「本人の意思を尊重する」というのは、介護を受ける人の気持ちを優先した介護をするということ。介護をするのはとても大変ですから、介護する側の気持ちの余裕がなくなって、忙しないケアになってしまいがちです。そのうえ、介護を拒否されたらもっと余裕がなくなることもあるでしょう。そこを一呼吸おいて、ご本人の意思に寄り添ってみましょう。 「意思に寄り添う」って、具体的にはどんなことをするんですか? 拒否されたときに無理やり介助するのではなく、「これをしたくないんだね」と共感すること。そのうえで、「こうしたら良いんじゃない?」「自分で服を選んでみようか」などのご本人の意思を尊重するような声掛けをします。こうすることで、介護を受ける人が「対等な立場で対応してくれる」と感じ、自尊心が保たれるため、介護を受け入れるようになっていくでしょう。 うーん。それってなかなか難しいですね…。そんな風にのんびり介護したら終わらないし、イライラしちゃうし…。いけないとわかっていても、父に介護を拒否されると怒鳴ってしまっています。 そうなんですよね…。ただ、拒否されたときに叱ってしまうと、余計に拒絶されて介助がまったく進まないことも。それを考えれば、いったん落ち着いてから穏やかに声掛けをした方がスムーズに介護が進む可能性があるんじゃないでしょうか。 確かにそうですね…。気持ちの余裕が大切ですね。…その次の「具体的な声かけをする」というのはどういうことですか?普通の声掛けとは違うんですか? 普通の声掛けは「お風呂入るよ」「トイレ行こう」といったことが多いと思います。でも、これだと認知機能が落ちている人の場合、どうしてお風呂やトイレに行かなきゃいけないのかがわかりません。なので、「汗をかいたからお風呂に入ってさっぱりしよう」「トイレに行ったらお腹が軽くなって、ごはんがおいしく食べられるよ」など、理由もあわせて伝えるんです。そうしたら、介助を受ける意味もわかりやすいですよね。 そういうことですね。いつも「トイレ行くよ」だけだったので、今度からそうやって声掛けしてみます。 また、私たちが食事や入浴、トイレなどを自分のタイミングでおこなっているのと同じように、認知症で介助を受けている人にも自分のタイミングがあります。そのため、介護拒否をされるときは、違うタイミングだったから拒否したということも考えられます。そういうときは、少し時間を置いて再度、介助を試みてください。ちょっとタイミングをずらすだけで、意外にあっさりと介助を受け入れてくれることもあるんです。 へー!そんなこともあるんだ!忙しいから無理やりトイレに連れて行っちゃうこともあったので、今度からそうしてみます。 ただ、やはり松井さんがおっしゃる通り、認知症の人に合わせた介助というのは、時間がかかることもあります。介護する人に時間的・精神的な余裕がないとできないことも多いでしょう。なので、余裕のある介護をするためにも介護サービスを積極的に利用していくことが大切です。 でも、父は人と関わることが苦手で。今はデイサービスに週1回通っていますが、それも最近になってようやく通えるようになったんです。 ただ、やはり松井さんがおっしゃる通り、認知症の人に合わせた介助というのは、時間がかかることもあります。介護する人に時間的・精神的な余裕がないとできないことも多いでしょう。なので、余裕のある介護をするためにも介護サービスを積極的に利用していくことが大切です。 訪問介護は利用したことはないですね…。ヘルパーさんの言うことなら聞いてくれるかな。 やはりヘルパーさんは介護のプロですから、認知症の人の対応に慣れています。プロの力を借りて、少しでも介護の負担を減らしていきましょう。在宅介護は大変なので、気持ちに余裕がなくなって1人で抱え込みがちです。なので、できるだけ負担は分割していってくださいね。 認知症によって、介助の意味がわからなかったり羞恥心から介護拒否をしていることもある 本人の意思を尊重する介助をすると、拒否が減ることも 介護サービスを積極的に利用して、プロの手を借りて pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/10/12

認知症対策 施設入居 在宅介護 認知症介護

特養の待機者数が多くて入居できません。どれくらい待たなければいけないのですか?

先日、母を入所させたくて近くの特別養護老人ホームの見学に行ってきました。そしたら、入所待ちの人が50人!とりあえず申込みをしましたが、いつ入所できるかはわかりません。 この場合、入所するまでにどれくらいかかるんでしょうか?母の認知症が進行していて、一刻も早く入所させたいです。 (河野さん・主婦・59歳) 正直、待機期間がどれくらいになるかはわかりません。というのも、特養の入所の順番は申込み順ではなく、緊急度順で決まるからです。そのため、どれだけお母様が入所しないといけない状況なのかを特養に伝える必要があります。もし、今すぐにでも施設に入らなければいけない状況でしたら、待機期間中は民間の老人ホームに入所するのも手ですよ。 特養の待機期間はどれくらい? 先日、母を入所させたくて特養の見学に行ってきました。でも、今は満室で入所の順番待ちをしている人が50人もいるそうなんです!申込みはしてきましたが、入所できるのはずっと先になりそうです。こういう場合って、入所するのにどれくらい待てば良いんでしょうか?母の認知症が進行して、在宅介護が限界なんです。 申し訳ないのですが…正直、どれくらいの期間待つのかはわかりません。というのも、特養の入所順は申込順ではないからです。 え!?じゃあ、どんな順番で入所しているんですか? 入所の緊急性です。例えば、入所対象者さんの身体状態が悪く、在宅では介護しきれない状態だったり、ひとり暮らしやご家族が介護をできる状況でない場合は、優先度が高くなります。特養は公的なサービスのため、必要性の高い人から優先して入所するような流れになっているんですね。 うーん。じゃあ、母が緊急性が高いと思われなければいつまで経っても入所できないってことですか? 残念ながら、そういうことですね…。もちろん、入所待ちの順番が変わっているかは、こまめに施設に確認する必要があります。 そんな…。そもそも、なんで特養はこんなにも入所待ちしている人が多いんですか? 一番大きな要因は費用です。特養は公的施設のため、自治体などからの補助を受けて運営されています。そのため、入所者さんの費用負担が小さく済みますし、民間企業が運営している施設と比べて安定した運営がされているんです。それに、特養は終身利用が可能です。「終の棲家」を探している人にとっては、とても良い環境なんです。 特養の待機期間を短くするワザ 最近、母の介護するのも大変なんです。認知症が進んでいるのか、夜はあまり眠らずに落ち着きがないし、この間は夜中に家から勝手に出ていってしまい、警察に保護されました。そんなことがあってからは、私も落ち着いて眠れなくなってしまって…。早く特養に入れたいのですが、なんとかする方法はないですか? それは大変な状況です!でしたら、待機期間を短くする裏ワザをお教えしますね! 待機期間を短くする方法 待機期間を少しでも短くするためにできることをリストアップしました。もちろん、他の待機者さんとの兼ね合いもありますから、必ずしも有効とは言い切れません。が、何もしないよりはずっと良くなると思いますよ。 頻繁に情報収集をする 複数の特養施設に申込みをする 申し込み理由欄を詳しく書く 介護サービスを積極的に利用する ショートを連続で利用する 状況や介護度の変化を施設に都度報告 仕事をする 探す地域を拡大する はじめの「頻繁に情報収集をする」ってどういうことですか?特養を見つけたらあとは待つだけですよね? いえ、それだけでは順番は早くなりません!というのも、特養の空室状況は毎日のように変わります。そのため、ネットで空室状況を公開している特養であれば、頻繁にチェックをするのが大切。また、ケアマネジャーさんが空室状況に詳しいのであれば、ケアマネジャーさんを頼るのも良いでしょう。どちらにせよ、申込みできたからといって安心していると、いつまで経っても入所できない可能性があります。 そうなんですね!申込みした特養は、ケアマネジャーさんに教えてもらったところなので、空室状況をケアマネジャーさんに確認してみます。 あと、施設探しするときには、複数の施設に申込みをするのも戦略のひとつ。複数の施設に申込みをしていれば、1つの施設で空室が出たときに入所できますが、1つだけだとその可能性も低くなってしまいます。もちろん、入所先が決まったときには、その他の施設に断りの連絡を入れることはお忘れなく。そうでないと、実際には入らない待機者を施設が抱えることになってしまうので…。 なるほど…。申し込みするのは1つの施設だけでは足りないんですね。あと何ヵ所か探して、申し込んできます。 そのときに気をつけて頂きたいのが、「申し込み理由欄」を詳しく書くことです。入所の申し込みのときに必要書類に記入をするのですが、そこに申し込み理由を記入する欄があります。この申し込み理由欄に、「在宅介護での問題」「介護で困っていること」をできるだけ詳細に書いてください。詳しく書いてあることで、特養に入る必要性が高いと施設に判断してもらいやすくなります。 そうなんですね!この間の申し込みのときは、とても簡単に書いてしまいました。そんなにちゃんと読んでいるとは思わなくて…。 待機期間を短くするためには、特養に入る必要性を少しでも多く伝えることが重要です。そういう意味では、「介護サービスを積極的に利用する」ことも効果的です。 どういうことですか? 介護サービスをたくさん使うということは、ご家族だけの介護が難しいということです。積極的に利用して、「介護の手が家族だけでは足りていない」ことをアピールしましょう。また、特養の中にはショートステイをおこなっている施設もあります。なので、入所したい特養のショートステイを連続で利用するのもアリ。スタッフさんや施設担当者と顔なじみになっておいて、お母様の状況を把握してもらうんですね。 母の状況を知っていると、入所順が早くなるんですか? はい。やはりよく知っている利用者さんを受け入れる方が、見ず知らずの人を入所させるよりも施設の負担も少ないですから。それに、身近でお母様の状況を知っていれば、「入所の必要性が高い」と感じてもらいやすくなるかもしれません。ショートステイは、最大30日間連続で利用できます。なので、30日利用して1日だけ自宅に帰り、また30日間ショートステイをする、という使い方をしているご家庭もあります。こういった使い方を「ショートのロング」「ロングショート」と呼ぶこともあります。 「ショートのロング」なんて、初めて知りました…。このリストで気になっていたのですが、なんで仕事をすることが待機期間を短くすることになるんですか? これも、入所の必要性を高めるためです。介護の担い手であるご家庭が仕事をしているとなれば、介護できる人がいないので入所の緊急性は高くなりますよね。正社員でなくて、パートでも良いので仕事を始めるのも、特養に入所する戦略です。 そんな手が…。近くのスーパーで働いてみようかしら。 また、最後に特養を探す範囲を広げることも検討してください。多くの特養で待機者が多い状況ですが、中には空室が出ている施設もあります。近くの特養が空いていなくても、隣の市の特養では空室がある、なんてこともあるので、柔軟に考えて施設探しをしてくださいね。 特養の待機期間を乗り切るために 待機期間を短くするために、いくつかの裏ワザをお伝えしました。でも、やはり今すぐに入れる施設を探すのは難しいでしょう。そこで、待機期間の介護の負担をできるだけ減らす方法についてもお話しします。 そうですよね。やっぱり、待機期間がまったくないってことはないですもんね。 大きく分けると「在宅介護サービスを組み合わせる」「民間の介護施設に入居する」という2つの方法があります。在宅介護サービスを活用する方法は、今の生活に近い方法です。できるだけ介護負担が減るように、デイサービスやショートステイ、訪問介護などのサービスを組み合わせていきます。自宅での介護に限界を感じているのであれば、先ほど言った通り「ショートのロング」をすると良いかもしれません。 実は、母の介護が大変で参ってしまっていて…。ショートのロングができるところがないか探したいと思います。 そうですよね…。待機期間中も介護は続きますから、できるだけ河野さんの負担を減らすようなケアプランになるように、ケアマネジャーさんに相談してみてください。一方で、民間の介護施設にいったん入居してもらって、特養が空くのを待つ方法もあります。 民間の老人ホームも検討しましたけど、費用が高いですよね? 施設ごとに大きく金額が変わるので何とも言えないところですが、特養と比べたら料金が高くなる傾向がありますね。しかし、特養と比べて空室があるケースが多いのが特徴です。すぐに入れるところもあります。そのため、ちょっと割高でも「特養の待機期間だけ」と決めて、入居している人もいますよ。民間の施設側も、そういうケースが少なくないので遠慮せずに相談してみてください。もし、民間の老人ホーム探しで迷った場合は「いい介護 入居相談室」にご連絡ください。ベテランの相談員が、お母様の状況に合った施設をお探ししますよ。 特養の入所順は、申込み順ではなく「緊急度」順! 特養の待機申込みは、複数の施設にすること 仕事をしたり介護サービスを利用して、入所の必要性をアピール 待機期間だけ民間の施設に入居するのもアリ pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: scroll; line-height: 1.1; } pre:before { ...

2022/10/07

認知症対策 在宅介護 認知症介護

認知症の母が徘徊して警察に保護されました。徘徊対策を教えてください

先日、同居している認知症の母が1人で外出して帰ってこれなくなり、警察に保護されました。今回は無事で帰ってこれたから良いものの、今後、危険な目にあったら…と思うと心配です。 母の徘徊を防止するための方法はあるでしょうか? (大塚さん・会社員・59歳) 認知症の方の徘徊を予防するには、お母様の部屋のドアにベルを付けて外出に気が付きやすくしたり、身につけているものにGPSを付けるといった方法があります。万が一、また行方不明になってしまった場合はご家族だけで探すのではなく、すぐに警察に連絡しましょう。また、お母様のなじみのお店やケアマネジャーさんなどと連携して捜索してください。認知症の方は事故や低体温症などのリスクが高いので、一刻も早く見つけ出せる体制をとることが肝心です。 認知症になると、なぜ徘徊する? 先日、認知症の母が1人で外出してしまいました。近くを徘徊しているところを警察の方に保護してもらって大事には至っていません。母はこれまでも認知症の症状はありましたが、自分で家から出ることはなかったんです。なんで、徘徊するようになってしまったんでしょうか? 徘徊は、認知症の周辺症状(BPSD)のひとつです。認知症の典型的な症状である中核症状の影響で引き起こされますが、すべての認知症の方に現れるものではありません。おそらくですが、お母様の認知症の症状が進行したことで徘徊するようになったものと考えられます。 そうなんですね…。認知症になると徘徊するとは聞いていましたが、そもそもどうして徘徊するんでしょう?歩き回って、どこに行くわけでもないのに…。 周りからは目的もなく歩いている、と思われがちですが、実はご本人の中では目的があって歩きまわっているんです。 えっ、そうなんですか? はい。認知症によって徘徊するのには、主に次の3つのような理由があります。 何かを探している 目的の場所に行きたい 家に帰りたい 「何かを探している」ってどういうことですか?探しものなら、外じゃなくて家の中でするのでは? 徘徊は、屋外だけとは限りません。室内で歩きまわっていることも徘徊と呼ばれます。例えば、トイレに行きたいけどトイレの場所がわからなくなって廊下をうろうろしていたり、自分の部屋に戻りたいのに行き方がわからなくなった、というケースもあります。 ああ、母もよくあります。「トイレに行きたい」と歩き回っていたので、トイレまで連れて行きました。あれは、場所がわからなくなっていたんだ…。 たぶん、そうだと思います。認知症の記憶障害の影響で、長年暮らしている自宅でも迷ってしまうことがあるんですね。さらに、めがねなどを探していたのに、めがねを探していたこと自体を忘れて歩き回る、といったこともあるようです。どちらも記憶障害によって忘れてしまい、徘徊しているんです。 なるほど。その次の「目的の場所に行きたい」というのは、どこに行きたいんですか?母はめったに外に出ない人だったので、行きたい場所なんてないような気がするんですが…。 行きたい場所は、その人によって異なります。例えば、記憶障害によって自分の中の年齢が若返って「子どものお迎えに行く」と言うこともあります。現役時代を思い出して「職場に行く」とカバンを持って出かける人もいるようです。あとは、スーパーまで行く道がわからなくなって、まったく違う場所で保護されるケースもあります。何度も通った道でも、目印を忘れてしまって迷ってしまうんです。 そんなこともあるんですね。それと、「家に帰りたい」とはどういうことですか?自分で自宅から出て道に迷っているんですよね? もしかしたら、見当識障害のために自宅が自分の家だとわからなくなっている可能性があります。見当識障害とは、今いる場所がどこかわからなくなる症状です。つまり、自宅にいても「まったく知らないところにいる」と思い込み、自宅に帰るために外に出てしまうわけですね。あわせて、記憶障害によって昔住んでいた家や実家に帰ろうとしていることもあります。 何の意味もなく歩き回っていると思っていましたが、本人なりに理由があったんですね。 徘徊の危険性 北野室長 認知症の人が徘徊すると、行方不明になったり事故にあうリスクが非常に高いです。 例えば、認知症になると危険を察知する能力が下がったり交通ルールを忘れてしまうので、自転車や自動車との事故にあう危険性があります。加えて、踏切の線路内で立ち往生してしまい、電車との事故にあった事例がいくつもあります。 また、長時間の行方不明になると、転倒による怪我・骨折のリスクも高まります。また、夏は熱中症、冬は低体温症などを引き起こし、最悪の場合、命に関わることも…。 警察庁によると、行方不明になってから5日経過した場合の生存率は0%という調査結果もあるので、迅速に発見することがとても重要です。 徘徊への対策は… 母が目的もなく徘徊しているわけではないことはわかりました。でも、どうしたら母の徘徊を止められるのでしょうか? いくつか対策があるので、順番にお話ししていきますね。 徘徊への備え 認知症による徘徊の対策は、主に以下のようなものがあります。 徘徊に気づける住環境づくりをする GPSを活用する 服や持ち物に名前をつける デイサービスを活用する 地域と密に連携する 「徘徊に気づける住環境づくり」というのは、例えばお母様の自室のドアにベルを付けて外出をわかりやすくしたり、家の玄関にセンサーを設置して外に出るタイミングをわかるようにすることです。ご家族が家の中にいるときでも、ちょっと別のことをしている間に外に出てしまうことがあります。そういった場合でも、外出を察知できるような環境を作っておくんですね。 うーん、家族の誰かが家にいるときだったら良いですが、昼間、家族が全員出払ってしまって母が1人になる時間帯があるんです。そういうときはどうしたら良いですか? そういうときは、GPSを活用するのも良いでしょう。最近では靴に装着したりキーホルダータイプのGPSなど、さまざまな”見守りGPS”が登場しています。あらかじめ、ご家族がお母様のGPSの位置をわかるように設定しておき、外出してしまったときに居場所がわかるようにしておくだけでも、行方不明のリスクが下がるでしょう。外出するのを予防するものではありませんが、危険性は低くなると思いますよ。 なるほど、GPSですね。検討してみます。 あとは、デイサービスを利用するのも良いですね。今はデイサービスを利用していますか? はい。週2回、利用しています。 でしたら、デイサービスの回数を増やすこともおすすめです。誰かの見守りがある時間を増やすことも目的のひとつですが、デイサービスのレクリエーションで身体を動かして体力を使うことも徘徊の防止につながります。 なんで、身体を動かすのが徘徊の防止になるんですか? 体力を使って程よく疲れてもらうんです。外に出ようと考えるということは体力が余っている証拠ですから、安全な方法で体力を消費して、家ではゆっくり休んでもらうんです。デイサービスに定期的に外出することで生活のリズムも作られて、健康的な生活習慣にもつながるでしょう。 なるほど。母はデイサービスの日以外は、家でテレビを見てばかりですから、そういう意味でもデイサービスを増やした方が良いのかもしれないです。 また、万が一、行方不明になってしまったときに備えて、事前に近所の人や地域の自治体にお母様の状況を伝えておくことも大切です。ご家族が認知症であることを隠したがるご家庭は多いですが、高齢化が進んだ今、認知症は身近なことです。いざという時に協力してもらえるように、ご近所や近くの交番、駅などに話を通しておくと、迅速な発見につながるでしょう。 もし歩き回っていたら… ここまでの話を聞いて、このところ母が不安そうな顔で家の中をうろうろしていることが増えたのを思い出しました。あれも徘徊ということですよね? おっしゃる通りです。そのままの状態にしておいたら、もしかしたらご自宅を出て行方不明になっていたかもしれません。そういうときに上手く対応できると徘徊の頻度が減ることもありますし、何より大塚さんとお母様の両方のストレスの軽減につながりますよ。 例えば、どうしたら良いんですか? まずは、傾聴することが大切です。なんで歩き回っているのか、何が不安なのか、ストレスに感じていることは何かを聞いてみるんです。そうしたらどう対応したら良いのかわかりますから。重要なのは、このときに話を否定しないこと。「トイレがどこかわからない」と言われて「なんでわからないの!」と、わからないことを否定してしまうと不安が大きくなって徘徊がエスカレートしてしまうことがあります。 あぁ…何度も聞かれるのでイライラして「なんでわからないの」と怒ってしまっていました…。 トイレの場所がわからないのであればトイレに誘導すれば良いんですが、自宅にいるのに「家に帰りたい」と言われてしまうこともあるかもしれません。そういうときは、お母様の言う”自宅”に連れていくことは難しいので、お茶を勧めたりお菓子を出すなど、気をそらせてください。 え、それだけで良いんですか? はい。お茶をしながら世間話をすれば、歩き回っていた理由を忘れてしまうことが多いです。だましているような気持ちになるかもしれませんが、認知症の人の気持ちを落ち着けるためにはこうした対応が有効なんです。 初めて知りました。知らなかったら「ここが家でしょ!」と怒っていたかもしれません。 そうですね、そういう対応をする人が多いと思います。認知症介護に関しては、認知症の人の言動を否定しないことが重要。ですので、あまりにも落ち着かない場合は、ご家族が付き添って外を一緒に歩いても良いかもしれません。歩くことで体力を使いますし、満足して徘徊の衝動が収まることがあります。ただ、その人の状況にもよるので、すべての対策が必ず効果があるとは言えません。実行しやすいものからいろいろ試してみてください。 徘徊によって行方不明になったら… 徘徊の予防策についてお話ししましたが、いろんな対策をとっていてもちょっとした隙に家の外に出てしまい、行方不明になってしまうかもしれません。そういうときに、決してご家族だけでは探そうとしないでください。 この間、母がいなくなったときは、家族だけで探しているところに近くの交番から連絡がありました。家族だけで探すのはダメなんですか? 認知症の人が行方不明になったときは、すぐに警察に連絡してください。近所の人に声をかけたり、地域包括支援センターやケアマネジャーさんにも連絡しておくと良いでしょう。認知症の人が1人で外出すると、事故に巻き込まれたり、熱中症や低体温症などで命に危険が及ぶ可能性が非常に高いです。そのため、1人でも多くの人に助けを求めて少しでも早く発見することが大切です。 認知症の人が事故に巻き込まれた話は、ニュースで見たことがあります。確かに、この間は何事もなかったから良いものの、次もそうとは限らないですもんね…。 大塚さんのおっしゃる通りです。もし、徘徊が止められずに自宅での介護が難しいと感じたら、介護施設への入居も検討してください。もし施設探しでお困りのことがあったら「いい介護 入居相談室」にご連絡くださいね。介護施設に詳しい相談員がお母様に合った施設をご案内しますよ。 認知症による徘徊は、何かを探す、目的の場所に行くなどの目的のある行動 玄関にセンサーを付ける、GPSを持ち物につけるなどの予防策がある 地域の人や交番などと事前に連携しておくと発見が早くなりやすい 行方不明になったら家族だけで探すのはNG!まずは警察に連絡を pre { margin: 40px 0; background: #333; padding: 20px; color: white; overflow: ...

2022/10/06

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