特集
新規感染者数が急増し、医療機関のひっ迫が問題となった新型コロナウイルスの第6波。介護施設で感染者が発生した際に医療機関での感染者の受け入れができず、施設療養となったケースも多数ありました。 しかし、施設の建物の中では感染者とそうでない人との区別が難しかったり免疫力の低い高齢者が集まっているため、感染が拡大してクラスターとなってしまうこともあったのです。 そこで、大阪府堺市はファストドクター社と連携し、介護施設などで感染者が発生した場合の往診体制や感染対策の支援などを実施することを明らかにしました。 加えて、保健所がおこなっていた自宅療養者への健康観察も実施するそうです。 迅速に医療チームの派遣を 大阪府堺市が、夜間・休日の往診救急サービスを提供するファストドクター社と連携し、新型コロナ拡大時の医療支援をおこなうことを発表しました。 この連携をおこなうことで、介護施設で感染者が発生した際に迅速に医師・看護師を派遣する体制を構築。具体的には、以下のような取り組みを実施するそうです。 救急往診・入院調整 高齢者施設等の感染制御対策 健康観察 まず、感染者発生時に医師が早急に介護施設を訪問。診察や検査などをおこない、必要な場合は重症化を防止するために中和抗体薬の投与を実施します。また、入院する必要があるときには保健所と連携して搬送などの手配をします。 そして、入居者・職員を対象にPCR検査や抗原検査を実施。加えて、施設内の衛生管理やゾーニング(感染者とそうでない人の生活空間を分けること)の指導をおこないます。 また、健康観察のためにファストドクターの健康観察センターの看護師が1日最大8回の電話をするそう。体調が悪化した場合は、医師と連携して迅速に治療につなげます。 このような同社による医療支援は、市内の介護施設の入居者・職員、自宅療養者を対象におこなわれるそうです。 新型コロナに対応できる体制を確保 第6波のときには、感染者が発生しても医療機関と提携していなかったり協力医療機関があっても新型コロナの対応をしていないなどの理由で、スムーズな治療を受けられないケースが問題となりました。 そこで、今年4月に厚生労働省は「24時間以内に感染制御・業務継続支援チームを派遣できる」体制を確保するよう自治体に求めています。 しかし、どの医療機関も人手不足のため、確保するのが難しいのが現状。そこで、ファストドクターのように柔軟に対応できるサービスを導入し、医療面をカバーできる体制があるといざというときに安心ですよね。
2022/06/22
「とりあえずビール」という言い回しがあるほど、日本でよく飲まれているお酒であるビール。ちなみに、日本のビール消費量は世界7位で、ビール大国ドイツの次に消費が多い国なのです。 今回、そんな身近なお酒であるビールを製造・販売しているキリンホールディングスらの「ホップが認知機能の改善に効果がある」という研究が、日本抗加齢医学会の2021年度の研究奨励賞を受賞したことを明らかにしました。 また、同時に「牛乳を原料とする『βラクトペプチド』が中高年の認知機能を改善する」という研究も同じ賞を受賞しています。 牛乳とホップが認知機能を改善? キリンホールディングスのキリン中央研究所による、βラクトペプチドと熟成ホップの認知機能への効果に関する研究が研究成果と証拠の信憑性が認められて、日本抗加齢医学会の2021年度の研究奨励賞を受賞したことを明らかにしました。 βラクトペプチドとは、キリンホールディングスが独自に発見した有効成分。牛乳に含まれているタンパク質をキリン独自の発酵技術によって分解し、この成分が発見されました。 この成分は、記憶力や集中力などの認知機能の改善、脳の血流を増やすことが期待されています。 また、熟成ホップというのは、キリンの熟成技術によって独自開発された素材。人間の消化管にある苦味センサーを通じて、神経を刺激して認知機能や抑うつ状態を改善する効果があることがわかっています。 さらに、中高年を対象とした臨床試験もおこなっており、苦味が軽減された熟成ホップを摂取することで注意の制御機能や不安感が改善することが判明しています。 今回、これらの研究の確からしさが認められて、国内の老化に関する研究で中心的な学会である日本抗加齢医学会の研究奨励賞を受賞したそうです。 身近なものから発見される健康成分 日本ではホップといえば「ビール」というイメージがありますが、西洋ではハーブとして昔から利用されている植物。ホップの苦味成分は食欲増進や消化促進、不安を解消する鎮静作用などもあるとされているのです。 また、βラクトペプチドも牛乳などに含まれている、実はとても身近な成分。普段、何気なく食べたり飲んだりしている食品の健康成分が、最新技術によって明らかになるのはとてもおもしろいですね。
2022/06/21
今月14日、政府の閣議で2022年版の「高齢社会白書」が決定。超高齢社会である日本の最新の状況が明らかになりました。 それによると、65歳以上の高齢者がいる世帯が全世帯の半数近くを占めており、中でも高齢者のひとり暮らし世帯が増加しています。 それによって問題となるのが、高齢者の孤立の問題。今回の高齢社会白書では、高齢者の生きがいについても調査されており、社会的なつながりが少ない人ほど生きがいを感じていないということがわかりました。 加えて、スマートフォンなどのデジタル機器を活用していたりSNSを活用しているなど、ネットを活用している高齢者の方が生きがいを感じている傾向があることもわかっています。 ネットが高齢者の生きがいに? 今月14日、政府は閣議で2022年版の「高齢社会白書」を決定しました。 高齢社会白書とは、政府が高齢者対策の実施の状況や高齢化の現状をまとめて毎年提出している報告書です。 2022年度版は、世帯数などの基本的な情報に加えて、「高齢者の生きがい」に関する調査を初めて実施。それによると、生きがいを「十分感じている」「多少感じている」と答えた高齢者は、あわせて約70%という結果になりました。 さらに、高齢社会白書では「生きがいを感じている人が、どのように人とのつながりを持っているのか」についても詳細に調査しています。 特にデジタル機器を活用している高齢者は、生きがいを感じている傾向があることが判明。例えば、生きがいを感じている人で「ネットで情報を集めたり、ショッピングをする」人は約85%、「SNSを利用する」人も約85%という結果でした。 一方で、生きがいを感じている人で「情報機器を使わない」人は約50%にとどまっています。 孤立の解消にもつながる? 今回の高齢社会白書によって、デジタル機器の活用が高齢者の生きがいにつながる可能性があることがわかりました。 SNSなどのネット上のサービスは、手間がなく人との交流ができますし、オンライン会議アプリを使えば外出しなくても人と会えるので、体力的に移動が大変な場合でも顔を合わせて話ができます。 つまり、ネットサービスを活用することが高齢者の孤立の解消につながるかもしれません。 しかし、まだデジタル機器を持っていなかったり、持っていても使いこなせていない高齢者が多いのも事実。こうしたデジタル格差をなくすための根本的な政策が政府に求められていると言えるでしょう。
2022/06/21
和食に欠かせない存在である大豆。豆腐、みそ汁、しょう油、がんもどきなど、さまざまな形で日本人は大豆を食べていますよね。 そんな大豆が「糖尿病リスクを下げる効果がある」という研究を大阪大学などの研究グループが発表しました。 それによると、豆腐などの大豆製品で大豆を頻繁に食べている人は、糖尿病リスクが下がっていたそうです。 大豆が糖尿病リスクを下げる 大阪大学などの研究グループは、日本人の生活習慣と生活習慣病の関係についての研究を実施。その中で、大豆や大豆製品と糖尿病リスクの関係性についての研究をおこないました。 この研究は、40~79歳の日本人約2万2000人を対象におこなわれたもの。対象者には、アンケートで大豆食品を「ほとんど食べない」「週に1~2回」など摂取する頻度を聞き取り、5年間の調査期間で糖尿病を発症するリスクと比較しました。 その結果、豆腐を頻繁に食べている女性は糖尿病リスクが低いことが判明。特にこの傾向は、体重過多の女性や閉経後の女性で顕著になる傾向があったそうです。 一方で、男性の大豆食品の摂取量と糖尿病リスクとの間に関連性はなかったそう。加えて、煮豆やみそ汁といった豆腐以外の大豆食品の摂取量と糖尿病の間にも関連はありませんでした。 研究グループは、体重過多の女性や閉経後の女性の糖尿病リスクが下がったことについて、大豆のイソフラボンがインスリンの効きやすさを改善する効果と、女性ホルモンと似た役割があることについて言及しました。 つまり、肥満の人はインスリンの効きやすさが低下しているため、インスリンの効きやすさを改善する効果のあるイソフラボンが体質を改善した可能性があるとのことです。 さらに、閉経後の女性については、イソフラボンが糖の代謝を促進する女性ホルモンと似た働きをするとされており、それが糖尿病のリスクを下げていると考えられるそうです。 「天然のサプリメント」の大豆 大豆には、タンパク質、食物繊維、ビタミン、ミネラルなどさまざまな栄養素が含まれており、”天然のサプリメント”と言えるほど。その健康効果は、有名なうえに日本人に馴染み深い食材のひとつでもあります。 さらに、今回の研究で糖尿病リスクを低下する効果もあることがわかりました。特に女性には効果が高いようなので、「血糖値が高め」と診断が出ている人は積極的に取り入れていきたいですね。
2022/06/21
テレビなどを通して、“終活”という言葉を耳にしたことがある人も多いのではないでしょうか。 しかし、「最期のときに家族に迷惑をかけたくない」と思いつつも、「元気だからまだ必要ない」と手を付けられていない人もいるかもしれません。 そこで、岡山県奈義町ではエンディングノート「私らしゅう生きるノート―大切な人に伝えたいこと―」を配布。死が近くなる終末期や介護が必要になったときの費用など、もしものときに備えられるようなノートを用意しています。 最期まで”私らしゅう” 奈義町では、2015年からエンディングノート「私らしゅう生きるノート―大切な人に伝えたいこと―」を配布しており、この3月に改訂をおこないました。 このノートは、A4判で14ページにわたるもの。介護が必要になった際に、施設で介護を受けるのか自宅で暮らし続けるのかといった希望を記入する欄や、費用は貯金から出すのか年金から出すのか、もしくは家族に負担をお願いしたいのか、といったことも記入できます。 加えて、もし認知症になったときの財産管理についての記入欄を用意。家族に任せるのか、成年後見制度を利用するのかも選択できるようになっています。 そして、重要なことにも関わらず家族との相談が難しい”人生の最期”についての記入欄もあります。 そこには、治らない病気にかかって死が近いときに、最期をどこで過ごすのか、延命治療を希望するのか、する場合は人工呼吸器や胃ろうを使うのか、といった踏み込んだ内容にも触れています。 このノートの初版が作成されたのは、地域住民が集まった地域医療について考える協議会で「嫁の立場から義父母の看取りの話はできない」「高齢者が自分から終活の話をするきっかけとなるエンディングノートがあると良い」という声があったため。そうした意見をもとに、町独自のエンディングノートが誕生したそうです。 家族で考えるきっかけにも 「終活」というと、介護のことだけでなく財産の管理や最期の過ごし方などさまざまなことを考える必要があるので、「どこから手をつけたらいいかわからない」といったこともあるかもしれません。 そうしたときに、エンディングノートとして1冊にまとまっていると助かりますね。 また、終活についてはなかなか家族で話し合いにくいもの。そこで、エンディングノートを手に入れたことをきっかけに、自分や家族の今後について一緒に考える時間を取っても良いかもしれませんね。
2022/06/20
新型コロナウイルスの感染拡大が始まってから2年以上。コロナ禍で外出することが減り、運動する機会も減ってしまった人もいるかもしれません。 しかし、身体を動かすことが減ると「フレイル」になってしまうことも。進行すると要介護状態になってしまう可能性もあります。 そこで、健幸ライフ社は足ふみ運動ができる「あしふみ健幸ライフ」を介護事業所向けにレンタルを開始。利用者のコロナフレイルに頭を悩ませる事業所を対象に20施設限定で無料で貸し出しをするそうです。 座ったままできる「足ふみ運動」 健幸ライフ社は、足ふみ運動ができる「あしふみ健幸ライフ」の無料レンタルをおこなうことを明らかにしました。 この商品は、いすに座ったままで足ふみ運動ができる運動器具。厳選した国産杉を使った台に脚を乗せて上下させることで効率的に脚の運動になります。 いすに座ってできるうえに、強い力を必要としないので足腰が弱った高齢者でも簡単に使用可能。その一方で、股関節や脚の大きな筋肉がほぐれ、第2の心臓とも呼ばれるふくらはぎも動かせるため、血行が良くなるそうです。 その効果は、同社の実験でも明らかになっており、この器具で足ふみをして30秒後には足首の血流が10倍、額の血流は2倍に増加していたとのこと。全身の血の巡りが良くなることでむくみや冷え性を解消したり足のリハビリ効果が期待できます。 また、この器具は一人ひとり個別で運動が可能。そのため、コロナ禍で集団での運動ができなくても1人で身体を動かせます。 コロナフレイルを防ぐために 外出機会が減って、運動不足だとわかってはいても人手が足りないために運動レクをおこなえなかったり、長時間の立位が難しい利用者が多いためにできる運動が限られていたりと頭を悩ませている事業所も多いのではないでしょうか。 そういったときに、この運動器具のような道具を導入してみるのも良いかもしれませんね。 「テレビばかりを見ている」「長時間、座りっぱなし」という状況は、フレイルを招いたり介護度を上げる原因になりかねないので、少しでも身体を動かせるようにしたいですね。
2022/06/20
厚生労働省の2017年の調査によると、高血圧で悩んでいるのは約990万人。特に高齢になるほどに高血圧患者は増えており、30代では男性23.1%、女性7.6%であるのに対して、70代では男性68.9%、女性64.9%に増加しています。 この高血圧について、アメリカ心臓学会が「オメガ3系脂肪酸を毎日摂取することで、高血圧リスクが減少する可能性がある」という研究結果を発表しました。 ちなみに、高血圧リスクを下げるためには、1日3グラム以上のオメガ3系脂肪酸が必要。これをサーモンで摂取するとしたら、110~140グラムに相当する量です。 血圧を下げる脂肪とは アメリカ心臓学会が、「オメガ3系脂肪酸を摂取することで高血圧リスクが下がる可能性がある」という研究を発表しました。 オメガ3系脂肪酸とは、サバやイワシなどの青魚に多く含まれるEPAやDHA、アマニ油やなたね油などに多く含まれる成分。血液をサラサラにして心疾患や脳卒中などのリスクを下げる効果があるとされています。 今回の研究は、オメガ3系脂肪酸の摂取と血圧の関連を調査した71件の研究を分析したもの。全体で約5000人の各研究の参加者は、平均10週間の間に食事やサプリメントでオメガ3系脂肪酸を摂取しています。 分析の結果、次のような点がわかりました。 DHAとEPAを毎日2~3グラム摂る人は、最高血圧と最低血圧が低下する 血圧や血中脂質の高い人は、毎日3グラム以上の摂取でさらに血圧を下げる効果が期待できる このような変化は、血中脂質が高い人と45歳以上の人で多かった 研究グループによると、今回、分析対象となった研究のほとんどがEPAとDHAなどをサプリメントで摂取していたそう。そのため、「オメガ3系脂肪酸を多く含む食品を定期的に食べられない人は、サプリメントでも代用できることを示唆している」としています。 サプリの効果は確かではない 健康のためには、オメガ3系脂肪酸を多く含む食品を毎日食べたいですが、献立や食事の支度のことを考えるとなかなか難しいもの。そのため、サプリメントで摂取するのでも効果があるのであればありがたいですよね。 ただ、オメガ3系脂肪酸が含まれているサプリメントに「高血圧リスクを下げる」という一貫性のある研究結果が出ていないとのこと。そのため、血圧を下げるためにサプリメントのみに頼るのではなく、高血圧予防策のひとつとして取り入れるのが良いかもしれません。
2022/06/20
高齢者にとって、犬などのペットを飼うことは身体的にも心理的にも良い効果があることがわかっています。 それは、国立環境研究所が「犬を飼っている人は飼ったことがない人に比べて介護リスクや死亡リスクが半減する」という研究結果を発表しているほどです。 その一方で、高齢になるとペットの世話が体力的に難しくなったり急に入院することになって預け先がみつからないなどのリスクもあります。 そこで、そうした不安を抱える高齢者とペットに寄り添うペットサロン「Cardamom(カルダモン)」が登場。急な入院時に愛犬を預かったり重いペットフードを定期配達するなど、高齢者に嬉しいサービスを提供します。 高齢の飼い主をサポート 7月1日、フロンティアスピリット社が東京都世田谷区に新しいペットサロン「Cardamom」をオープンします。 このペットサロンは、一般的なトリミングなどのサービスに加えて高齢の飼い主をサポートするサービスを提供しているのが特徴です。 例えば、愛犬と一緒に受けられる健康増進や認知症予防のサービスを提供。このサロンの関連会社がデイサービスなどの介護事業を展開しており、そのノウハウを生かしたプログラムをおこなっています。 さらに、「24h高齢者飼主様サポート」というサービスでは、有料会員になると急な入院などの際に愛犬を預かってくれます。加えて、会員になると重たいペットフードの定期配達もしてもらえるそうです。 同社がこうしたペットサロンをオープンするのには、高齢者の犬の飼育放棄という問題があったため。動物臨床医学会によると飼育放棄する飼い主の年代は60代以上が56.3%を占めており、放棄する理由は「世話ができなくなった」が最多でした。 そのため、高齢の飼い主のサポートをするサービスを提供したい、という思いでこのペットサロンを開店するそうです。 いざというときに安心 高齢者がペットを飼うことは、心身に良い影響を与える反面、入院や認知症などで世話ができなくなるというリスクがあります。 そうしたときに、知り合いや家族に引き取ってもらえるのであれば良いのですが、急なことだとすぐに引き取り手が見つからないこともあるでしょう。 そこで、一時的に預かってもらえる場所があるとその間に引き取り先を探すことができます。 ただ、ペットを飼う高齢者のためのサービスというのは、まだまだ少ないのが現状。こうしたサービスが全国的に広まると高齢でも安心してペットと暮らすことができそうですね。
2022/06/17
人間の腸の中には、100兆〜1000兆個、約1000種類の腸内細菌が存在しているとされています。 この腸内細菌の働きで注目されているもののひとつが「脳腸相関」。この「脳腸相関」について、順天堂大学が「ビフィズス菌を摂取することで、軽度認知障害(MCI)の人の認知機能改善の効果がある」という研究結果を発表しました。 腸を改善すると認知機能が改善する!? 順天堂大学が「軽度認知障害の人がビフィズス菌を摂取することで認知機能の改善、脳萎縮の進行を抑制できる」という研究結果を公表しました。 この研究は、認知症の前段階である軽度認知障害の患者130人を対象におこなったもの。腸内環境を整えるビフィズス菌を摂取することで、認知機能にどのような影響を与えるのかという「脳腸相関」について調査しました。 「脳腸相関」とは、脳と腸がお互いに影響を及ぼしあうこと。腸は「第2の脳」とも呼ばれており、脳と腸の関係は腸内細菌が大きく関係していることがわかっています。 今回の研究では、対象者を1日1回ビフィズス菌の粉末を摂取するグループとそうでないグループに分け、24週間にわたって調査をおこないました。 その結果、ビフィズス菌を摂取したグループは認知機能検査で「見当識」の成績が良くなっていることがわかりました。 「見当識」とは、時間や季節、場所などを把握する能力のこと。この能力が低下すると「今日が何月何日か」「季節がいつなのか」などがわからなくなる見当識障害を引き起こします。これは、アルツハイマー型認知症の症状で物忘れの次に現れやすいとされています。 さらに、ビフィズス菌を摂取したグループはMRI検査で脳の萎縮の進行が抑えられていることもわかりました。 今回の結果を受けて、研究グループは「腸の環境と脳機能の関係性を、実際の医療現場の支点でも確認していきたい」としています。 腸にも脳にも良い習慣を 腸内環境を良くすることで便秘を解消できることは良く知られていますが、まさか認知機能にも影響があるとは驚きです。 つまり、腸内環境を整えることで便秘対策と認知症予防の両方が叶えられると言えますね。 そのため、積極的に腸に良いことをしていきたいもの。例えば、ビフィズス菌のような乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維など腸内環境を整える食品を意識して摂取することもひとつの方法ですよ。
2022/06/17
介護の現場で働く人の多くが抱えている悩みのひとつに、腰痛があります。いすから車いすに移乗したりする際に、高齢者の身体を抱えあげることで腰に負担がかかり、腰痛を引き起こしてしまうのです。 しかし、介護現場では「腰痛になってからが一人前」という認識があり、腰痛があることが当たり前になっている実情もあります。 そうした状況を変えようと、大分県の福祉協議会が「ノーリフティングケア」の勉強会を実施。県内の介護施設の施設長など約100人が”抱えあげない介護”について学びました。 抱えあげない介護を学ぶ 今月15日、大分県大分市で「ノーリフティングケア」を学ぶ勉強会が開かれました。 ノーリフティングケアとは「抱えあげない介護」とも呼ばれており、人の力だけではなく福祉用具やロボットなどを活用して介護をおこなう手法です。 この介護手法はオーストラリアが発祥。かつて、看護師の身体疲労による腰痛が増えて看護師不足が深刻化した際に、腰痛予防策としてスタートしました。 ノーリフティングケアを広めている「日本ノーリフト協会」によると、日本での介護職の腰痛率は72%。「腰痛をもって一人前」との認識もあるほど、介護現場にとって腰痛が当たり前になっている現状があるそうです。 そこで、ノーリフティングケアは人の力を使わない介護を実施。今回の勉強会では、リフト式の移乗機械を使ってベッドから車いすへの移乗のデモンストレーションをおこなったり、スライディングボードなどの補助器具の紹介をしました。 このノーリフティングケアが広まることで腰痛を理由とした介護職員の離職を減らして、深刻な人手不足を軽減する効果も期待されています。 費用・設備面で課題 ノーリフティングケアは、介護職員のスキルだけに頼るのではなく、器具や機械を積極的に使って経験の浅い職員でも身体の負担のない介助ができるようにする、という考え方です。 そのため、介助を受ける高齢者にとっても職員の経験に左右されずにいつも安全なケアを受けられるメリットがあります。 ただ、介助器具・機械を導入するには費用がかかります。さらに、機械を使うための場所が足りなかったり、現在使っている車いすなどが補助器具に対応していない場合もあり、なかなか導入が進んでいないのが課題となっています。 ノーリフティングケアを実現するためには、そうした問題を解決する国や自治体の柔軟な支援が必要なのではないでしょうか。
2022/06/17
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。