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現在、糖尿病にはさまざまな治療薬が存在し、患者一人ひとりの状況に合わせて医師が処方しています。 特にアメリカでは、処方薬の選択などによって経済的な負担が大きくなることもあることから、従来のような医師や薬剤師による一方的な薬の選択だけでなく、患者自身が治療方針の決定に参加することが重要視されています。 そこで、糖尿病治療薬の効果を予測するAIシステムを日立製作所などが開発。長期にわたる糖尿病の治療法を医師と患者が決定するときの支援ツールになることを目指しているそうです。 複数の薬の効果をAIが予測 日立製作所やアメリカのユタ大学は、共同で「糖尿病治療の処方薬選択支援システム」を開発。患者一人ひとりの状況に応じて、糖尿病の治療薬の効果を予測するシステムの開発に取り組んでいました。 しかし、そのAIシステムを開発する際の参考データが1つの医療機関のものでは数が足りず、複雑な症状の場合には高精度な予測ができないことがありました。 だからといって複数の施設のデータを収集しようとしても、治療薬の違いや患者の状態を考慮する必要があるため実現が難しい状況。そこで、電子カルテを活用した医療情報技術の開発などをおこなっているレーゲンストリーフ研究所のAI技術を使って、複数の施設のデータを分析することに成功したそうです。 今回開発されたシステムは、ユタ州とインディアナ州の患者の電子カルテを分析。体重や検査値、治療薬などの情報が似ている患者をグループ化してAIに学習させました。 また、これまで患者数が少ないためにAIでの予測が難しかった症例に関しても、類似している患者の治療経過をもとに薬ごとの治療効果を予測します。 このシステムにより、複雑な治療が必要な場合でも薬の組み合わせごとの効果を確認して、医師と相談しながら自分にあった治療方針を決めやすくなるとのことです。 自分の治療方法は自分で決める 日本では5人に1人が発症していると言われる糖尿病。その治療は、さまざまな要因から治療を中断してしまう人がいることが課題となっています。 その要因のひとつが治療費。特にアメリカでは、治療薬の組み合わせなどによっては治療費が高額になってしまい、経済的に治療継続が困難になってしまうそうです。 そうした状況で今回のように効果を予測するシステムがあれば、治療開始前に治療法のイメージがつきやすくなるのではないでしょうか。 治療法に複数の選択肢があるときに、費用面だけではなく効果の面からもあらかじめわかっていれば、治療方針の決定に参加しやすくなりそうですよね。
2022/03/28
糖尿病は飲み薬の服薬などで治療するだけでなく、自分でインスリンを注射する治療法(インスリン自己注射)もあります。その自己注射の怖さからか、インスリンによる治療開始が遅れてしまう傾向にあるようです。 そうしたことを受けて、名古屋大学は6人の糖尿病患者に電話インタビューを実施。治療開始の後押しになる要因について調査しました。 インスリン治療が遅れる理由とは 名古屋大学がおこなったのは、インスリン注射治療を開始することの心理的ハードルについて実際の糖尿病患者へのインタビュー。6人の日本人患者に聞き取り調査をしています。 世界的にもインスリン治療の開始の遅れについて研究されており、この遅れのことを「心理的インスリン抵抗性」と呼ばれています。しかし、日本人の糖尿病患者における心理的インスリン抵抗性についての研究は少なかったそうです。 今回のインタビューの結果、心理的インスリン抵抗性を緩和するには、以下の3つの点が影響を与えることがわかりました。 インスリンが適切な治療であるとの医療従事者からのアドバイス 医療従事者によるインスリンペンや針の使い方の実演 インスリンに対する「あきらめ」「受容」「降伏」 一般的に、医師などからインスリン治療を勧められても抵抗を感じる患者が多いそう。そのため、信頼できる医師などからインスリンの利点・欠点などの説明を受けることが、心理的抵抗感を弱めることに効果的です。 また、インスリン注射の痛みへの恐怖なども治療開始のハードルに。そこで、医療従事者による実物を使った実演が抵抗感を緩和するのに有効だったそうです。 そして、最終的には「インスリン注射しか治療法がない」というあきらめが、インスリン治療法を開始するきっかけとなったという回答もありました。これは、特に血糖値のコントロールがうまくいっていない患者に顕著だったそうです。 治療継続にハードルがある糖尿病 糖尿病治療には、「心理的インスリン抵抗性」以外にも課題があります。 それは、高血糖であることがわかっていながら、受診できなかったり通院を続けられないことです。 糖尿病の初期段階では、食事管理や運動療法が治療の中心です。しかし、ライフスタイルを変更することが辛かったり仕事が忙しくて通院を止めてしまったりという理由で、治療を中断してしまう人がいるそうです。 もしかしたら「糖尿病治療=インスリン注射」というイメージがあり、自己注射の恐怖から治療ができなくなってしまう人もいるのでしょう。 そこで、今回の調査で指摘されている通り、医師や看護師からの適切なアドバイスやサポートがあると、「しょうがない」と覚悟を決められるのかもしれませんね。
2022/03/25
スマホアプリのなかには、体重を記録したり運動プログラムを提供してくれたりと健康を増進するためのものがたくさんあります。 なかには、血圧計や血糖自己測定器と連動して、測定結果を記録できるものも。高血圧や糖尿病のために日常的に体調を管理しなければいけない人をサポートするアプリも簡単に手に入ります。 しかしミシガン大学の研究によると、高齢者のうち健康アプリを使っているのは28%。そのうち、血糖値管理アプリを利用している糖尿病患者は28%にとどまったそうです。 健康アプリを利用しているのは約3割 アメリカのミシガン大学は、高齢者の健康アプリ利用に関する調査を実施。多くの高齢者がスマホを持っているのにも関わらず、健康アプリを活用していないことがわかりました。 この研究は、50~80歳の約2100人を対象におこなわれたもので、オンラインと電話で実施されました。 その結果、28%の人が「少なくとも1つの健康アプリを利用している」と回答。その目的として最も多かったのは「運動(34%)」で、「食事管理(22%)」「減量(20%)」が続いています。 なかでも糖尿病の人は、血糖値を記録するためにアプリを利用しているのは28%。服薬の管理のために利用している人は14%にとどまりました。 また、収入が10万ドル(1100万円)以上の人のアプリ利用率は43%であるのに対して、3万ドル(350万円)未満の人は15%という結果だったそうです。 収入や教育が健康格差につながる? 今回の研究から、健康アプリを活用している人ほど自分の健康を良い状態でコントロールしている傾向があったそうです。 加えて、収入や学歴、年齢によってもアプリ利用率に格差が生まれていることもわかりました。 アプリを利用していない人のなかには、そのセキュリティを理解していなかったり不信感を持っている人も少なくないそう。こうしたことから、収入やネットリテラシーなどの差が、健康の格差につながる可能性もありそうですね。 健康アプリの多くは無料で使えるため、手軽に健康になる手助けをしてくれます。ただ、どういったアプリなのかを理解していないとトラブルになりかねないので、機能やセキュリティ面はしっかり確認してから活用していきたいですね。
2022/03/24
毎年3月の第2木曜日は「世界腎臓デー」。今年は3月10日となり、それに合わせて世界各地でイベントが開催されています。 日本では、先月25日から今月27日の約1ヵ月間にわたってオンラインセミナーを開催。医療従事者向けの最新機器のPRや、患者向けの腎臓病や糖尿病の健康管理の方法など、さまざまなテーマについて学べるイベントです。 自覚がないうちに進行する腎臓病 3月10日の「世界腎臓デー」に合わせて、先月からオンラインセミナーが開催されています。 今年は「すべての人に腎臓病の健康を」をテーマに掲げ、腎臓病の早期発見と治療の重要性を啓発しています。 国内でも1000万人以上の慢性腎臓病の人がいるとされていますが、そのなかには診断や治療を受けていない人も多いそう。というのも、腎臓病の早期の段階ではほとんど自覚症状がないからです。 しかし、腎臓の機能低下が進行してしまうと、治療しても回復ができなくなります。「尿が出にくい」「疲れやすい」「血圧が上がる」といった自覚症状が出てくると、正常に戻せなくなることもあるとのこと。さらに進行すると、腎不全になって透析治療が必要になります。 もともと腎臓は加齢で機能が衰えていくもの。血液の老廃物や塩分のろ過をおこなっている「糸球体」が、年齢を重ねるにつれてその数が減ってしまうのです。 そのうえ、腎臓機能の低下は、糖尿病や高血圧などによってさらに加速します。つまり、生活習慣を見直すことでこれらすべての病気の予防や改善が見込めるそうです。 やはり、健康的な生活で予防できる 高血圧や糖尿病に比べて「慢性腎臓病」という病名は、あまり聞きなれないかもしれません。しかし、進行して透析が必要になると、生活に大きな影響が出る病気です。 例えば、血液透析が始まると、1~2日に1回、病院で透析治療を受ける必要があります。1回で4~5時間ほどかかるので身体への負担も大きいですし、生活スタイルの変更を余儀なくされるでしょう。 この腎臓病を予防するには、やっぱり生活習慣の改善が重要。食事や運動に加えて、血糖値や血圧が高めな人は定期的に測定して、コントロールすることも大切と言えるでしょう。
2022/03/16
国内の患者数は1100万人とも言われている糖尿病。現在のところ糖尿病を完治させる方法は確立されておらず、日常的な血糖値などのコントロールが重要です。 しかし、そのためには血糖値の自己測定の必要がありますが、1日に何度も指先に針を刺して血液を検査するのは痛みもありますし、手間もかかるため血糖コントロールをする人の負担となっていました。 そうしたことを解決したのが、血糖値を24時間チェックできるシステム「FreeStyleリブレ」。来月1日からは、インスリンの自己注射をしている人すべてに保険適用となり、さらに利用しやすくなるそうです。 体調管理をいつでもできるように 厚生労働省が、2022年度の診療報酬改定について公表しました。 来月1日から、アボットジャパン社の持続グルコース測定器「FreeStyleリブレ」の保険適用が「1日1回以上インスリン製剤の自己注射をおこなっている人」に拡大されることがわかりました。 この測定器は、24時間センサーでグルコース値を測定し、専用の読み取り機やスマホでその結果を確認できます。 グルコース値とは、細胞と細胞の間の間質液に含まれるグルコース(ブドウ糖)の値のこと。摂取した糖は血管から間質液へ、そして間質液から細胞へ吸収されるため、グルコース値と血糖値には相関関係があることがわかっているそうです。 そのため、血糖値の代わりにグルコース値を測ることで糖尿病の人の体調管理ができるわけです。 この測定器の特徴は、針を刺さずに測定ができること。薄型のセンサーを上腕の後ろ側に貼り付けることで、常に測定がおこなわれます。そして、センサーに専用の読み取り機を充てるだけでそのときのグルコース値や、直近数時間のデータも確認できます。 採血の痛み・測定の手間が減少 「採血が痛い」「測定に手間がかかる」といった自己血糖測定の問題は、この測定器で解決できるかもしれません。 また、自己血糖測定では測定時点の血糖値しかわかりませんが、この測定器では睡眠中なども含めて常にグルコース値を測定できるので、1日のグルコース値の波をチェックできるのも魅力的です。 ただ、グルコース値の急激な上昇・低下がある場合やグルコース値と一致しない症状が出ているときには、自己血糖測定が必要。そのときは通常通りの採血による血糖測定をすることになります。 とはいえ、日常の体調管理をするのにはとても便利。来年度からは保険適用されるので、経済的にも負担が減って助かりますね。
2022/03/16
超高齢化の進行に伴って、さまざまな病気の患者数が増えることが予想されています。 特に心不全や糖尿病など、生活習慣の悪化で起こる病気の患者が増加する見込み。なかでも心不全の患者が急激に増えることを「心不全パンデミック」と呼ぶそうです。 それを避けるために世界中で研究がおこなわれており、イギリスの大学では、糖尿病治療薬の「SGLT2阻害薬」が心不全の治療にも効果があることが発見されました。 糖尿病薬が心不全薬に? イギリスのイーストアングリア大学が糖尿病薬の「SGLT2阻害薬」が心不全の治療にも効果があることを発見しました。 そもそも心不全とは、病名ではなく心筋梗塞や心筋症、弁膜症、不整脈などが原因で、最終的に発症する症候群のこと。心臓の機能が悪くなることが原因で、息切れやむくみなどの症状が出ます。 また、SGLT2阻害薬とは、尿から糖を排出させることで血糖値を下げる薬。インスリン分泌に作用しないため、低血糖の心配がないのが特徴です。コレステロールの改善や体重減少などの効果もあるそうです。 この薬について研究グループは、既存の研究データ1万人分を集めて分析。SGLT2阻害薬を服薬している患者とプラセボ(偽薬)を服薬している人を比較しました。 その結果、SGLT2阻害薬を服薬している患者は、心臓に関する病気で死亡したり、心不全の悪化で入院するリスクが22%低いことがわかりました。 しかし、まだ「SGLT2阻害薬の心不全リスクを減らす可能性がある」と示された段階のため、さらに詳細な研究が必要とのことです。 心不全が要介護の引き金になることも… 心不全は高齢化に伴って患者数が増えると言われています。というのも、心臓病や高齢者に起こりやすい弁膜症や高血圧といった心不全の原因となる病気が増加すると予測されているからです。 また、高齢者の心不全で怖いのは、身体機能が低下して要介護状態になるかもしれないということ。心不全が起こる度に入院し、身体を動かす機会が減ることで身体の機能が低下して介助が必要になる可能性があります。 もし、SGLT2阻害薬が心不全の治療薬として活用できるようになれば、治療の幅が広がります。これからさらに詳細な研究が進むことに期待ですね。
2022/03/10
糖尿病の患者は、いわゆる”予備軍”の人も含めると全国で1000万人いると言われています。高齢化に伴ってこの数は増加していくと考えられています。 しかし、糖尿病はいまだに根本的な治療方法が確立していない病気でもあります。運動や食事によって、血糖値を正常値でコントロールできるようになることはありますが、完治とまではいかないようです。 そういった状況のなかで、アメリカの大学が糖尿病の根本治療につながる可能性のある治療法を開発。インスリンを分泌する細胞を増殖させる治療法だそうです。 既存薬と新薬の組み合わせで治療 アメリカのマウントサイナイ医科大学の研究グループが発表したのは、2種類の医薬品を組み合わせることで、インスリンを分泌するβ細胞を増殖させる方法です。 インスリンとは膵臓内のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖値を下げる働きがあります。糖尿病は、このインスリンの分泌量が少なくなったり働きが悪くなることで、慢性的に血糖値が高い状態になる病気です。 ちなみに高血糖の状態が続くと、血流が悪くなり視力障害や腎臓病、神経障害などが起こりやすくなります。 今回、研究グループが開発したのは、β細胞を増殖させる新しいアプローチの治療法。β細胞を1日5~6%の割合で増やせるそうです。 その治療法とは、開発中の「ハルミン」という薬と、糖尿病の治療に使われている「GLP-1受容体作動薬」という治療薬を組み合わせるというものです。 研究グループは、このハルミンがβ細胞の増殖を促す効果があることを実験で突き止めていました。そこで、血糖値を下げる働きのあるGLP-1受容体作動薬と併用することで、β細胞の増殖に成功したそうです。 今後の課題としては、「治療薬をβ細胞に確実に送ることで、他の細胞や臓器に作用して副作用が起こるのを防ぐこと」とのことです。 糖尿病が完治する病気に? 近年の糖尿病治療の研究は、血糖値を一時的にコントロールする方法から完治を目指す方向に変化しているようです。 ちなみに国内でも、低下した膵臓の機能を回復する研究が東大でおこなわれています。 東大の研究については、こちらの記事で紹介しています。 https://e-nursingcare.com/guide/news/news-5990/ これまで「治らない病気」とされてきた糖尿病も、これからは治る病気のひとつになるのかもしれませんね。
2022/03/09
アメリカのマサチューセッツ総合病院が先月に発表した研究によると、新型コロナウイルスに感染して入院した患者で、新たに糖尿病と診断される人が多いそうです。 そうした患者は、新型コロナに感染したストレスのために一時的に高血糖になっている可能性があるとのこと。そのため、「新型コロナが治って退院したあとは正常な血糖値に戻る可能性が高い」と発表しました。 新型コロナ感染で糖尿病に? 先月、マサチューセッツ総合病院が「新型コロナに感染後、新たに糖尿病と診断された患者は一時的な高血糖になっている可能性がある」と発表しました。 ちなみに糖尿病は、新型コロナが重症化するリスクを上げる要因のひとつとされています。糖尿病で血糖値のコントロールが上手くいっていない人は、重症化率や死亡率が高いそうです。 また、新型コロナに感染して入院した際に糖尿病と診断されるケースが多く、そうした場合も新型コロナの重症化リスクが上がることが報告されています。 しかし、新型コロナに感染したから糖尿病になったのか、それ以前から糖尿病だったのかはよくわかっていなかったそうです。 そこで同病院では、既存の糖尿病患者と新たに糖尿病と診断された患者の血糖値や新型コロナの重症化率を調査しました。 その結果、新たに糖尿病になった人は、既存の糖尿病患者と比べて血糖値がそれほど高いわけではないのにも関わらず、新型コロナの重症化率が高かったそうです。 また、新たな糖尿病患者の約40%は、新型コロナが治った後は正常な血糖値になるか、糖尿病予備軍程度の数値まで下がったとのこと。感染1年後にインスリン治療を必要としていた人は8%だけでした。 そのため「新型コロナのウイルス感染による急性ストレスによるもの」という可能性を同病院は示しています。 糖尿病予備軍の人は要注意 もしかしたら、糖尿病と診断されて以前から治療をしている人より、糖尿病予備軍で何も対策をしてこなかった人の方が新型コロナの重症化リスクが高くなるかもしれません。 というのも、「普段から血糖値を良好にコントロールしている人は、さほど重症化リスクが高くない」という研究結果があるためです。 そのため、糖尿病予備軍でこれまで対策をせずに放置してきた人は要注意です。 まだまだ新型コロナが収束する見込みがない以上、重症化しないために病院で糖尿病の詳細な検査を受けたり、生活習慣の見直しをした方が良いかもしれません。
2022/03/04
実は日本は世界2位の人工透析大国。国内の約34万人が人工透析を受けており、なかでも糖尿病と合わせて発症する「糖尿病性腎臓病」による透析患者数は全体の4割にもなります。 この糖尿病性腎臓病の重症化を防ぐために、金沢大学などの共同研究グループがAI(人工知能)を使った実証実験を開始することを公表しました。 この実証実験の結果をもとに、AIシステムの普及をおこなって多くの患者の生活の質の向上を目指すとしています。 AIが病気の重症化リスクを解析 金沢大学の和田理事・副学長らの研究グループは、糖尿病性腎臓病の重症化を予防するAIシステムの実証実験の開始を公表しました。 このシステムは、2019年8月から糖尿病性腎臓病が悪化・改善するメカニズムを金沢大学と東芝グループが共同で研究していたものです。 具体的には、金沢大学が長期にわたって研究してきた糖尿病性腎臓病のデータを、東芝のAIによって解析し、詳細なメカニズムを調べていました。 その後、SOMPOグループの研究の参加によって、同社の持つヘルスケアのノウハウなども組み合わさり、糖尿病性腎臓病が重症化するリスクを算出するAIシステムの開発に成功したそうです。 今回の実証実験では、研究の対象者それぞれの健康診断結果をAIが解析。それによって、対象者の良好な項目と改善が必要な項目が記載された「生活習慣の維持/改善目標シート」を作成します。 そして、そのシートを活用して管理栄養士が患者への保健指導を実施。さらに従来の健康指導も組み合わせることで、対象者の生活習慣などの変化を検証するそうです。 今後はこの研究のデータをもとに、このAIシステムの糖尿病性腎臓病の重症化予防効果を検証。医療機関や自治体、民間事業者が連携してプログラムの普及を目指すとしています。 AIはあくまで”補助”するもの 研究グループによると、今回のAIシステムは「人をサポートする」もの。AIがすべてを判断するのではなく、専門家が指導・指示をするときの補助としての役割が期待されています。 つまり、健康を維持するためには「AIが判断してくれるから、すべて任せておけばいい」と思うのではなく、自分から生活習慣を変える努力もしなければならないということかもしれませんね。
2022/02/25
在宅医療に関するヘルスケアサービスを提供しているUMed社が、オンライン受診を支援するアプリ「UMed Healthcare(ユーメッドヘルスケア)」の配信を開始します。 定期的な通院が必要な糖尿病・高血圧症・脂質異常症の患者が、保険適用の診療を自宅にいながら受けられるサービスだそうです。 時間短縮・感染対策ができる 糖尿病や高血圧、脂質異常症の人の多くは、定期的な通院で治療をおこなっています。しかし通院のほとんどは診察のみで、薬の処方箋をもらうために通っている人も多いのではないでしょうか。 そこでUMed社が提供するのは、オンライン診療アプリの「UMed Healthcare」です。 これはスマホなどを使ったオンライン診療のため、移動時間や待ち時間はありません。そして自宅で受診できるので、感染予防にもなります。 また検査が必要なときには、看護師が訪問して採血や尿検査をしてくれるそう。診察だけでなく検査も受けられるようになっています。 このオンライン診療の予約は、24時間いつでもアプリ上でおこなえるとのこと。診察開始の直前まで変更できるそうなので、急な用事が入ったときも対応できます。 加えて、支払いもアプリに登録したクレジットカードで支払うため、自動で引き落としされます。 薬もオンラインで服薬指導を受けることで自宅に配送。最短で診療の翌日、もしくは翌々日に到着するそうです。 そして、気になる費用は保険適用。検査をする場合はシステム料がかかりますが、リーズナブルな価格に抑えているそうです。 「薬さえもらえれば」患者の声に注目 糖尿病・高血圧・脂質異常症の持病がある人の中には、薬をもらうために通院している人も多いはず。そうなると移動時間や病院の待ち時間もあって「薬だけもらえれば良いのに…」と思うこともあるかもしれません。 このアプリではオンラインで診療を受けられるので、移動時間も待ち時間もありません。また、外に出なくてもいいので、感染リスクを避けることにもつながりますよね。 ただ、提供エリアが限られているのが難点。現在、渋谷区・新宿区・中野区・杉並区・世田谷区で提供しているそうなので、エリア外の人はサービスを利用できません。 また、このサービスと提携している医療機関も限られているため、かかりつけ医を変更する必要があるかもしれません。かかりつけ医を変えることに抵抗がある人には、利用しにくいサービスと言えます。 とはいえ、忙しい人や感染リスクを減らしたい人には使いやすいサービスと言えます。今後、こういったオンライン診療サービスが一般的になっていくと良いですね。
2022/02/17
介護施設への入居について、地域に特化した専門相談員が電話・WEB・対面などさまざまな方法でアドバイス。東証プライム上場の鎌倉新書の100%子会社である株式会社エイジプラスが運営する信頼のサービスです。